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スノーフレークの咲く庭で  作者: 桔梗
第1章 出会い
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出会い 3

「おい!」


 声のするほうを振り返ると、すごく怖い顔をした男がオレのことを

睨みつけている。


(オ、オレ?)


 周りをキョロキョロと見渡すが、オレと斜め後ろにいる男以外の

人物は見当たらない。その男は、多分、オレより10センチ以上背が

高くて、大きな桜の木の幹に寄りかかるように、ごろんと横になっ

ていた。


「お前だよ!人の睡眠の邪魔しやがって!」


 オレが何も言わないのが気に触ったのか、さっきより、さらにドス

の利いた声になってる。


「ひぃ!

 す、すみません…」


 怖くて、思わず声が震える。やべえ。わずかだが足も震えてきた。

オレの前にいる人は、相変わらず、オレを睨みつけながら、足元に

落ちている草を拾った。白くて小さい花がついてるが、オレが踏み

つけたらしく、ぺしゃんこになってる。


「花もこんなに踏みつけて。この花、結構、気に入ってたのに・・・

 この落とし前、きっちり、とってもらおうじゃないか。」


 ええーっ!

 落とし前って、もしかして、とてつもなくヤバい人に絡まれてる、オレ?


「ところで、ここの学生?」


「はい、そうです。」

 おそるおそる答える。


「名前は?」


「桜庭 智哉です。」


 おもむろに、鞄を探り、紙とシャーペンを取り出し、オレの名前

控える。オレは、目をまん丸に見開き、脈が、一気に跳ね上がる。


「学部は?」


「あ、あのー、今日から、経済学部です」


 ぷぷぷっ!

 相手が、突然、吹き出した。


「今日からって、面白過ぎ。あはははー。」


 もしや、オレって、この男に、からかわれた?

 コイツって、悪魔?

 そうこうしてる間に、1枚の紙切れを渡された。


「明日、この紙に書いてあるところまで、来て~。

 あ、時間厳守でね。

 ところで・・・・・、

 入学式、始まってるんじゃなーいー?」


 !!!


 忘れてた!


「すみません、失礼させていただきます。」

「あ、待って」


 そう言って、髪の毛を直してくれた。この人、ちょっと、いい人

かもしれない。


「さあ、これで、かわいくなったよ、BABYちゃん」

 にっこりと微笑みかけられた。


「か、わ、いい・・・わけ、ないだろー!

 オレ、男。しかも、BABYじゃなーい!」


 いやいや、さっきのは間違いだ。いい人なんかじゃない。悪魔だ、

この人!

 かわいいというのは、普通、女の子に対して使う表現じゃないか。

それを、このオレに対して、しれ~と言うなんて。キリリと、睨ん

でから、講堂へ急いだ。


「そんな顔して睨んでも、元がかわいいから、全然迫力ないよ~。

 明日、来てね~。待ってるから、さくらちゃーん。」

 背中から、そんな言葉が聞こえてきたが、無視した。

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