別荘って、ココ? 8
ほどよくして、会長と伊藤さんがやって来た。これで全員揃った
ので、執事さんの顔を見て、うなずいて合図を送ってる。すぐに、
昼食を持ったメイドさんが列をなして、料理を運んでくる。
「昼食のクロワッサンサンドとビーフシチューをお持ちしました。
ごゆっくりどうぞ。」
オレらのテーブルにも、メイドさんがお皿を置いていく。レタス
やカッテージチーズやトマトなどが入った色鮮やかなクロワッサン
サンドと、香り豊かなビーフシチューが目の前にある。あまりにも
おいしそうで、生唾を飲み込む。
「サクラちゃん、食べようか。」
「はい」
はいと言いながら、首を細か激しく上下に振ったら、また笑われた。
気にしないで食べよう。それにしても、美味しいなぁ。どこが残り物
なんだよ。気づけば、ビーフシチューの皿は空っぽになっていた。
「おかわりは、いかがですか?」
隣に、執事さんが立っていた。
「美味しいので、おかわりくださーい。」
オレは思わず、大きな声で言ってしまった。言ってから”しまった”
と後悔するのと同時に、周りから飛んでくる熱い視線に耐えられなく
なって、小さくなって、うつむいてしまった。そんなオレを見て、山田
さんが声を掛ける。
「美味しかったのなら、いいじゃん。ほら、執事さん、帰ってきたよ。
さ、顔を上げて。」
目の前に、湯気をたてたビーフシチューが置かれた。そして、さらに
もう1つ、お皿が置かれる。見ると、フランスパンだった。
「よかったら、一緒にどうぞ。」
「ありがとうございます。これ、好物なんです。」
「それは良かった。熱いうちにお召し上がりください。」
執事さんが去ると、猛烈な勢いで食べてるオレにむかって、山田さん
が、案の定、聞いてきた。
「好物って、まさか、こっち?」
迷いながら、指差してるのは、フランスパンである。
「そう、オレ、フランスパンとか、クロワッサンとか、皮がカリッと
しているパン、好きなんだよね~。」
「へえー、そうなんだー。俺は、パンよりかは、シチューの方が好き
だけどな。俺もおかわりしようっと。」
そんなこと言いながらも、山田さんは、食べるスピードが相当遅く
て、まだ、半分しか食べてなかった。でも、宣言どおり、おかわりし
てた。オレも、3杯目を頼んだ。




