受難の日々 5
夕方になったので、寮に戻り、ご飯を食べてから、カズ君との
約束を果たす為、風呂の脱衣場に行くと、カズ君は準備万端で
待っていた。
「トモ、遅い!」
「わりぃ、すぐ行くから。」
慌てて、服を脱ぎ捨て、後を追った。
寮の風呂は、5人が横一例に並んで、楽々、足を伸ばせるくら
いの浴槽が2つと、シャワーが8つ付いている。オレが入っていく
と、先に入ってるカズ以外は誰もいなかった。
「うわーぃ!貸し切りみたいだね~。」
オレは、ちょー、テンション上がりまくりだ。
「同級生と入るなんて、修学旅行以来だよ。」
体を、ササッと洗ってから、オレは、カズ君が先に入ってる湯船
に、勢い良く飛び込んだ。
「うげっ、顔にかかった。」
「あははは!」
「笑って、ごまかすなよ。」
「うひょひょひょひょひょ!」
と言いながら、両手ですくったお湯をかける。
「こらぁ~。」
「うわぁ、ごめんごめん。」
「タオルで顔を拭きてぇ~。」
カズ君、残念でした~。カズ君のも、オレのも、洗い場に置いて
きたんだよ。カズ君は、目があまり開けられなくて渋い顔してる。
手で、目をゴシゴシこすって、水を飛ばそうとしてる。いやいや、
伸ばしてるだけだろ、それ。