受難の日々 4
オレは、あれから毎日、部室に入り浸ってる。もちろん、カズ
君も一緒だ。そして、アイツも。他にも、会長とか、部長とか、
経2の3人娘とかいるけど、とにかく、アイツが目障りだ。
部室に行くと、テーブルが2つあって、手招きされるがまま、
オレが座ったテーブルには、経2の3人娘の、佐伯さん、吉原
さん、伊藤さんと、紅葉山会長と、アイツがいる。
カズ君が座った方には、梅林部長と、部長の同じ学部の同級生、
松木さん、竹原さんと、新入生の女の子3人がいて、和気藹々と
話している。
さっきから、カズ君がなにやら、大きな声で叫んでいる。珍し
いなと話に耳を傾けると、どうやら、梅林部長と、松木さんと、
竹原さんも、オレ達と同じ寮で、しかも、カズ君と同じリビング
らしい。
「ねえ、サクラちゃん。・・・サクラちゃんっ!」
不意に意識を自分のテーブルに戻すと、山田さんが、オレに話し
かけていた。もう、何だよ~~。
「サクラちゃんの好きな食べ物は?って、吉原さんが聞いてるよ。」
え?
まじぃ。先輩の話についていかなきゃ。慌てながらも、答える。
「あ、はい。えっ・・・と、・・・オムライス!」
吉原さんは、目を輝かせて嬉しそうに言った。
「私も好きよ、オムライス。今度、作ってきてあげるね~、サク
ラちゃ~ん。」
オレには、吉原さんの目から出てるハートが見えた。ふぅ、山田
さんが、教えてくれて良かった。他の2人も、せかすように聞い
てくる。
「サクラちゃん、他に、好きな食べ物は?」
「うーん・・・チーズケーキ。」
「今度、持ってくるわ。楽しみにしててね~。」
と、佐伯さんがにっこり笑いながら言った。それを見ていた紅葉山
会長が、
「おーい。僕の事も、少しは構ってほしいなぁ~。」
「あら、ごめんなさい、会長。心配なさらなくても、会長の好きな
アップルパイも、忘れずにお持ちしますわね。」
「雫ちゃん、いつも、ありがとね。」
そう言いながら、会長が微笑んだとき、伊藤さんは、頬を赤らめ
ているのがわかった。オレも、ちょっと、どきっとした。モテる人
は、笑顔も素敵なんだな。オレも、女の子にモテまくりたいから、
帰ったら、笑顔の練習でもしようかなと思った。