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受難の日々 2
オレは、個室のドアを開けて中に入った。閉めて鍵をかけようと
後ろを向いてギョっとする。ドアが閉まらないように手で押さえた
山田さんがいた。
「サクラちゃんの部屋だ。うわーい!お邪魔します。」
山田さんが、あまりにも予期せぬ至近距離にいたことに驚いてい
るうちに、するりと入ってきた。
「何で、先に行くんだよ~。置いていくこと無いだろ。俺が全身で
喜んでたの、見ててくれた?」
それはわかったんだけど、でも、怖いよ、怖すぎるって。あんな
の見たら、絶対無視だろ。
でも、こんな人でも、一応、先輩だから・・
いやいや。でも、どうしても、一言、言いたい。
「リビングに、動物園から脱走してきたらしいゴリラが、暴走して
たみたいで、危ないから避難してきたのに、何で、オレの部屋に、
ゴリラも一緒に来るんだろう?」
「うわぁ、ひどい。俺はこんなに、サクラちゃんとお友達になりた
いのに~。」
それも何となくわかったんだけど、でも、拒否!絶対に拒否だー。
こんな、恥ずかしいヤツと同類だと思われたくない。
山田さんは、まだ、部屋に居たかったみたいだけど、全力で追い
返した。