受難の日々 1
どこでも、ここでも、一番逢いたくない人が
近距離にいる環境に、智哉は・・・
<これまでの登場人物>
桜庭 智哉(経済1年)
藤井 和希(教育1年)
山田 拓斗(経済2年)桜の木の下の男
紅葉山会長(医3年)
部長 (教育3年)
佐伯 桃 (経済2年)
吉原 杏 (経済2年)
伊藤 雫 (経済2年)
入会すると宣言したその晩、寮に戻ると、部屋の前にある大きな
リビングのテレビの前で、アイツが、どかーっと座っていた。
うちの寮は、20人で1つのフロアを使ってる。階段を挟んで左右
対称になってて、フロアの左側に10人分、右側に10人分の個室
がある。まず、フロアに着くと、左右に玄関があり、30畳のリビング
が続いている。リビングを囲むように各個室が10部屋、配置されて
いる。キッチン、洗面所、風呂、トイレは、1フロアの人全員、共同で
使っている。
「何で、こんなとこに、山田さん、いるんですか?」
うちの同好会は、先輩だろうが後輩だろうが、"さん"付けで呼ぶと
いう決まりになっている。
「おお、サクラちゃんと同じフロアだったんだ。
俺の部屋、ここ。」
指を差したドアは、なんと、オレの部屋の隣!
うげぇ~、呪われてる?
「サクラちゃんは、どこ?」
「・・・・・・ここです」
「うっひょ~!俺って、すげえラッキー!」
案の定、ソファから、立ち上がって大喜びしてる。
あまりもの嬉しさに、リビングを奇声をあげて走り回ってる。
おいおい、そんなに嬉しいのかよ。
うわぁ、ソファを跳び箱代わりに飛び越えてる。危ないって!
今度は、ソファの座面で、でんぐり返ししてる。すげぇ、恥ずか
しいヤツだ。
こんな人、オレの知り合いには、いないことにして、さっさと
部屋に戻ろう。
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