出会い 1
大学入学を果たした主人公、桜庭智哉のまわりは、いつも騒がしい。
今日も、また、何かが起こってるようですよ。
ああ、やっと寝れたような気がする・・・
昨夜は、緊張して、なかなか寝付けなくて大変だったぜ。
今、何時だろう?
まだ、5時くらいなんだろうな。
それにしては、朝日が眩しすぎるような・・・
目覚まし時計を見て、青ざめた。
「大変だぁ~。遅れる~。」
昨日のうちに、着る服を出しておいて良かった。今日の為に、新し
く買ったスーツの前まで行き、寝間着を脱ぎ捨てYシャツのボタンを
留める。最後のボタンを掛けようとするが、掛からない。よく見ると
段違いに掛けてる。慌ててやり直す。
やっと、着替えが終わり、玄関で靴を履きながら、ふと鏡を見ると、
髪の毛の寝癖に気付く。手で押さえても、戻らないところが、3ヶ所
ほどある。いくらなんでも、このままにはしておけないので、靴を片
方だけ脱ぎ、洗面所まで片足でケンケンして、濡らした手で髪の毛を
なでつける。
ようやく寮から出たオレは、木が鬱蒼と生い茂っている、森のよう
にバカでかい、長い長ーい校庭を全力で走っていく。
何だって、今日に限って目覚ましが止まってしまったのか。この、
大事な日に、遅れる訳にはいかないというのに…
自分の不幸さ下限を、呪いそうになる。
兎に角、急がないと。
しかし、何なんだ、ここは。
寮を出てから、もう、ゆうに5分は走ってる。なのに、今までに見え
たものは、寮を出てすぐの大きな池と、大量の木々。
どこを見ても、建物一つ見えやしない。
昨夜、案内図を見た限りでは、確かにめぼしい目印などなかったが、
この道で間違いない……よな?
時計を、チラリと見ると、式の始まる3分前の時間を指している。
間に合わな~い!
「急げ~~!!」
章管理の編集過程で出た説明文を、前書きに書き足してみました。(12/1)