第一章"戻ってきた日常"1
新キャラ登場です。
ちょっとずつ進めていきます。
「つ、疲れた……」
土日を挟んで無事退院、学校へと再び通学することになった僕は数度の休み時間を経て机の上にぐったりと伏せていた。
交通事故に遭って一週間の入院となった僕は学校に着くなり質問攻めというか心配攻めというか……嬉しいんだけど精神的に数年の時差がある僕にはなかなかしんどいものがあった。まともに事情の説明もできないしね。
「おつかれー漆間くん。だいじょぶ?」
「一応ね」
正面から声がする。声の主は柊 遥という僕のクラスメイトだ。
明るい茶色の髪を横に結んで、いかにも今時なギャルって感じの女子。性格も見た目通り明るくて顔もかわいいと来たもんだからまぁモテる。問題はちょっと腹黒いくらい。
「私も凄い心配したんだからね。梓ちゃんと三崎くんがそれどころじゃないくらい取り乱してたからちょっと落ち着けたんだけど」
「それに関しては本当にご心配おかけしましたとしか言い様がないです……」
そんなモテ女子と僕が何故こんな風に話しているかというと、柊は梓の友達だったりする。それで一年の時にちょっとしたトラブルに巻き込まれていた柊を梓に紹介されたのが縁でこうして話すようになった。二年で同じクラスになったし。
彼女は悠斗に恋する女子ではなくて、僕と一緒に悠斗周りの恋愛模様を面白そうに見守ってたりする。
「私もお見舞い行けたら良かったんだけど、バタバタしちゃっててさ」
「その気持ちだけで十分だよ。ありがとね」
そういえば、あの夜の襲撃以降変なモノの襲撃はなかった。
あの手のって魔力欲しさにバンバン来る印象があったんだけど、こっちだとそんなこともないのかな。
まぁ……来たところで全部斬って捨てるけど。
「漆間くん……?」
「はい? あ、ごめんぼーっとしてた」
まだあっちとこっちのギャップとか年齢の時差に慣れないのか考え事だらけになってしまう。
柊が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「体調、あまり良くないの?」
「違う違う! ちょっと気疲れしてるだけだよ」
モテる自分を自覚してる腹黒女子の柊は、でもこういう時はちゃんとしてると言うか、友達付き合いが上手なのだ。さすがに心配かけるのは悪い。
「柊にそんな心配かけさせてたら男子に刺されちゃうな」
「もー、茶化さないでよ。てかあいつらだって私の見てくればっかだし。ちょっとカラッと話すとすぐ勘違いするだけだし」
「こらこら出てるよ」
梓から紹介されたときの出来事で彼女のこういう黒い一面を知った僕は、こうして素で話せる友人として傍に置かれてるらしい。
多分こういうところは梓にも見せてないんだろうし。
「私の全部を知ってくれてるのは漆間くんだけ」
「はいはい」
「つれないなぁ」
こちとら恋愛に関しては達観してるし年齢だって精神的にはちょっと年上になっちゃったからね。
柊の性格も思い出せてるというか覚えてるし、今更こんなことでドギマギするかと言えばノーだ。
「悠斗ならドキッとしてくれるかもよ?」
「やだよ、私馬に蹴られたくないし。三崎くんの周りの女の子美人ばっかだし」
「それは確かに」
幼馴染としての贔屓目を抜きにしても柊みたいな明るめ系美少女の梓を筆頭に悠斗に恋する女子達はこれまた美人や美少女揃いなのである。
悠斗も背高いし男らしいからまぁ見栄えの良いと言うか……
「それと、恋愛絡みの話になると三崎くんの名前出して話を逸らすの良くないと思うよ?」
「そう言われましても、今までそうだったもんで」
異世界に行く前は自分の恋愛は諦めてるから大人になってからお見合いでもすればいいや。なんて言ってたな、そういえば。
今はそんな気持ちすら浮かばないけど。
「今まではそうでも、これからは違うかもしれないじゃん。ずっと同じなんてことはないんだから」
「それは一理あるかもしれないね」
「あれ、いつもならそんな事ないと思うけど。とか言ってたのにどうしたの?」
「ちょっと、心境の変化があったのかもしれない」
事故に遭って異世界に行くこともあるんだから、そりゃずっと同じことが続くなんて思えなくもなるもので。
そう思うと、これからの学校生活も何か変わるのかな。なんてちょっとワクワクしてきたのだった。
Tips
三崎 悠斗
美少女ゲームとかの主人公っぽい名前にしたかった。
漆間 朔月
その手のゲームの主人公の友達ってなんとなく名前難しい人多いからという理由で名付けられた。




