第26話 うまうま続くな!
この話は、、なんの意味もありません。。馬か鹿か。
飛ばした方が良いかもしれませんよ。
読むのは自己責任でお願いしますw
その日の朝も、タイカン邸は相変わらず賑やかだった。
きっかけは、タイカンの突然の一言だった。「やっぱり、やっぱり!俺は馬を飼いたい!」
前回の馬と鹿の議論を経ても、やはりタイカンは馬への情熱が収まらないらしい。
ため息混じりにカイエンが呟く。「……いい加減にしてほしいもんだな」
「人間万事塞翁が馬って言うだろ? 良いことも悪いことも、すべて馬次第なんだよ!」
タイカンは得意げに胸を張るが、魔王の理論はいつもよくわからない。
「……それ、意味合ってんのかよ?」
カイエンが冷ややかに突っ込むと、タイカンは無言でドヤ顔を維持する。
その横で、ティガーは突然筋肉を誇示するかのごとくポージングを始めた。
「見てみろ! 俺の馬鹿力は一馬力以上あるぞ!」
するとヴァルメが口を開いた。
「まあ、私はタイカン様とは昔から戦場を共にした仲、いわゆる馬が合うってやつですわ。だから馬を飼うのは賛成です」
隣にいるミュレーヌに肩を組もうとするヴァルメに、ミュレーヌは露骨に嫌そうな顔をした。
「あなたとは馬が合いませんのよ!タイカン様よりも、私はあの唐変木のティガー様一筋ですの!だから私は鹿がいいのです!」
バシッと肩を払いのけるミュレーヌ。
「おおっと! これこそ鍛冶場の馬鹿力だ!」
ベルクスが慌ててフォローしようとしたが、どう見てもティガーの得意げな筋肉ポーズの方が目立っていた。
「ティガー様!さっきから目障りですわ! 正直者が馬鹿を見るって言いますけど、さっきから鹿が良いって言ってばかり。一番馬鹿を見ているのは、あなたなんですのよ!」
ミュレーヌの鋭い突っ込みに、ティガーは一瞬でシュンとしてしまう。
(寝室ではあんなに俺に優しかったのに……)と呟きながら。
そこへ、ベルクスがぽつりと口を開く。
「尻馬に乗るようで悪いけど……俺もやっぱり鹿じゃなくて馬がいいかもな」
「ええっ!? 裏切ったのですか、ベルクス様!? ずっと鹿が良いと言ってたではありませんか!」
パナメーラが大げさに立ち上がり、騒ぎに輪をかける。
「いや、あれだよ……馬主になれば大儲けできるかもって思っただけさ。新しい研究資金も手に入る!」
ベルクスの苦しい言い訳に、皆から一斉に「馬鹿か!」と罵声が飛んだ。
そんな混乱の中、ブラチスが突然しんみりと呟いた。
「実は、四天王になる前、わたしには竹馬の友がいてな……。あいつと再会したら、いつか一緒に馬を走らせたいんだ。だから、私も馬が良い」
「しんみりすんなよ! 突然に!」カイエンが即座に突っ込みを入れる。
一方、耳をなぜか、ダンボにして話を聞いていたミトスが小声でつぶやいた。
「へぇ……わたくしには関係ない話ですわね、それこそ馬耳東風ですわ」
「ちょっと! 真剣に語ってるんだから、ちゃんと聞いてよ! 竹馬の友の話を!」
ブラチスが怒ると、レミリアが悪びれずに笑った。
「いいじゃない、どうせみんなには、馬の耳に念仏よ」
こうして馬か鹿か、鍛冶場級の筋肉自慢、竹馬の友談義……ドタバタの掛け合いは延々と続く。まぁ、馬の方が有利そうだが。
結局、全員が入り乱れて喧嘩状態になってしまった。
議論はますます白熱する。馬か鹿か、筋肉は鍛冶場級か、それとも鹿の角が良いか……。意見は一つにまとまらない。
そんな騒ぎの中、タイカンが大きく手を広げ、声を張り上げた。
「みんな! 重要なのは結論じゃない! 人馬一体、みんなで協力することこそ、我が家族の本当の強さなのだ!」
四天王もパナメーラも、ティガーもベルクスも、思わず黙る。
馬と鹿のどちらが良いかなんて、結局どうでもよくなるほど、タイカンの熱意に一瞬心が揺れる。
「そう、結局、俺たちは皆――馬が合うんだ!」
ティガーがにこやかに言い、ブラチスも小さく頷く。
庭を見れば、誰が買ったのか、馬も鹿も草を食んでおり、まるでこの混沌を見守っているかのようだった。
カイエンは小声でつぶやいた。
「……やっぱり、くだらなくても、家族団欒ってやつは、いいもんだな」
こうして、タイカン邸の朝のドタバタは、笑い声と共に一日を始めたのだった。
馬の故事やことわざって、たくさんありますね。。
というだけの話です。