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第11話 大集合

ある朝、カイエンは庭で野菜の収穫をしていた。


「今日も平和だ……と……、いいなぁ。………………はぁ……」


しかし、遠くから村人たちの悲鳴が聞こえる。


「お、おい……またかよ」


カイエンは額を押さえた。


原因は予想通り、兄ベルクスの「異世界オタク発明品」が暴走したらしい。


今回の標的は、村の水車だった。


「これは、俺が直さなきゃ……!」カイエンは走り出す。



水車の周囲にはすでに全員集合していた。


祖父タイカン(元魔王)は腕組みして「フッ、また俺の息子たちが世界を騒がせているのか」と冷静だ。


祖母パナメーラ(恋ゲーヒロイン)は「まぁ! みんな仲良くしているじゃありませんか!?」とニコニコ。


父ティーガー(勇者)は水車に駆け寄り、「皆の力を合わせて止めるぞ!」と力押しして、何か?を壊そうとしている。


母ミュレーヌ(悪役令嬢)は派手なマントを翻し、「誰が邪魔者かしら……?」と睨め付けて、過剰演出。


姉ミトス(聖女)は手を軽くかざし、壊れかけた水車の一部をそっとを直す。


妹レミリア(小悪魔)は「お兄ちゃん、面白そう♡」と水車周りで遊び回りながら村人を魅了して混乱させている。



ブラチス(武)は力任せで部品を固定し、ブリュック(智)は精密に計算して歯車を調整中のようだ。ヴァルメ(美)は視覚的に美しく?何か?を配置、ビジョン(闇)は影から邪魔なカラスや野良犬を排除しようとしている。


カイエンはその中で、ただ一人冷静に現場を見守る。もう、勘弁してくれよと思いながら。




ベルクスの発明が突然暴走し、水車が巨大なスプラッシュ装置に変化した。


水が村中に飛び散り、ミュレーヌのドレスと靴はびしょ濡れになりながらも「オホホホホ! これは不愉快だわ!」と、おおはしゃぎ。ミュレーヌは喜び叫ぶが、カイエンには大量の水が降りかかる。


レミリアは水しぶきで大はしゃぎ、「お兄ちゃん、捕まえて〜♡」と、カイエンに流し目をつかう。


カイエンは一応は捕まえるそぶりを見せつつも、周囲の暴走を止めなければならない。


そして、タイカンは遠くから冷静に指示する。


「カイエン、そのまま全員の力を流れに乗せるのだ」


その通り、魔法無効の弟を中心に、全員の暴走が収束に向かう。


ベルクスが最後のスイッチを押した瞬間、巨大水流が全員を包み込む。


しかし――


ミトスの奇跡で水は人や建物を傷つけずカイエンの魔法無効で発明の暴走が止まり、ブラチスの力、ブリュックの計算、ヴァルメの美的配置?、ビジョンの影操作が完璧にかみ合った。


――結果、村は水で濡れただけで無事。


村人たちは歓声を上げる。


「聖女様と勇者様のご家族のおかげで、また村が平和だ!」


カイエンは顔を真っ赤にして呟く。


「……これが、平和……?……そもそも、この騒ぎの諸悪の根源は、ベルクスだろ……」




夜、家族全員で茶の間に集合。


水浸しの服を脱ぎ捨て、四天王もぐったりしているようだ。


タイカンはくつろぎながら一言。「フッ……世界征服をやめて、村で愛に生きて正解だったな」


ミュレーヌはドレスを絞り、靴を干しながら「ふふふ、次はもっと派手にやってみようかしら?」


ティーガーは力なくため息を吐き、ベルクスはまた何か企んでいる顔だ。


レミリアは無邪気に「明日もお兄ちゃんと遊ぶの〜♡」と宣った。




カイエンは静かに、しかし確信した。


「……俺、この家族の尻拭いで生き延びるの、もう嫌だ……」



だが彼は、今日も誰よりも頼れる存在として、辺境の村を守るのであった。


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