八幡編その2
仲哀天皇は国作りに人間を超越した存在が必要であるというインスピレーションを得ていた。例えば神のような存在が必要で、まつりごとの決定には特に神託による必要があるだろうと思っていた。
しかし、その神がどういう神なのか?ということは彼にもわかる筈もなく、それには、神の正邪を見極める特殊な能力を持つものが必要とされた。
仲哀天皇の時代には竹内宿祢という能力者が神の正邪を見極めていた。これが今で言うサニワという特殊能力を持つ集団の始まりで、当時から、神のよりしろとなる人とセットで国の方向性を決める役割を担ってきたのである。
そこで、仲哀天皇はより多くの神々がいたほうが、より力強い国作りができると考えたのだ。そして、竹内宿祢と相談して伊勢の方にやって来ていたのだった。
その場所は、今の伊勢神宮がある場所とは違ってかなり海際の景色の言い場所だった。
仲哀天皇はこの地に八百万の神々を召喚したかったのだ。
仲哀天皇は竹内宿祢にこの地を結界させると、この地を再び訪れることを宣言して船で出発したのだった。
船は瀬戸内海を静かに走っていく、陸行した大半の部下たちはこれから何日もかけて険しい道を進まねばならなかった。
仲哀天皇が一番危惧していたのは、熊襲などではなく、異国の新羅だった。見たこともない武器、見たこともない船で、過去何度も日本を攻撃してきたからだ。
爺よ、時々竹内宿祢はそのように呼ばれていたが…。
私はこれからどのようにこの国を治めていくべきなのでしょうか?
竹内宿祢はしばらく考えていたが、奥方が来られましたら、神託いたしましょう。
仲哀天皇は船で発つ前に敦賀の居宅に手紙を送っていた。
その手紙には神功皇后宛にすぐに敦賀を出発して周防の国の穴門の居宅に来るように書かれていた。
穴門の街もたくさんの渡来人が往来していたようで、渡来系の人種の神功皇后は穴門の雰囲気をまた好んでいた。いそいそと支度すると今で言う大阪方面に出て仲哀天皇と同じく、船で出発したのだった。
次回、眷属物語 八幡編 3 に続きます。(©️2022 keizo kawahara 眷属物語)