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ネーペ  作者: PpEe
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ネーペというバケモノ

「ここがアイツの住んでいる場所だ」


 国塚が指を指しているのは何処にでも在りそうな一軒家だった、機密情報にされているほどの人物が住むとは思えないほどに普通だった。


「こんな所に住んでるんですね」


「アイツがそう望んだからそうなったんだ、無駄口はいいから早く行くぞ」


 国塚がドアの前まで行くとドンドンドンと大きな音をたてドアをノックした、暫くするとドアが開くが玄関には誰も居らず、まるでホラー映画のドアが勝手に開く演出を彷彿とさせる。


「誰もいない?」


「安心しろ、ただの悪ふざけだ」


「案外お茶目なんですかね」


 玄関前で話していると奥から男か女か分からないような声がする。


「早く入ってきてくれないかな?虫でも入られたら面倒だ」


 国塚と小林は玄関に入りドアを閉め靴を脱ぐ、丁寧に靴を整えていると突然後ろに気配を感じた。


「君が新しく来てくれた小林君かな?」


「そうだ、こいつは俺が辞めた時の代わりだな」


「君もそろそろ辞めるのか、悲しいなぁ」


「人間の皮被ったバケモノが何を言ってんだ」


 そこには中性的な日本人の見た目をした人が立っていた、髪は黒く、瞳にはぜんまい仕掛けの時計が写っている、顔は整っていて体全体を観る限り恐らく性別は男?


「初めまして小林です」


「こんにちは、僕の名前というか愛称なんだけどネーペと言うんだ、ヨロシクね!」


「自己紹介はそこまででいい、早速話がある」


 国塚が話を持ち出すとネーペが話を遮る。


「そう急ぐことはないだろう?それにココは玄関だ、僕達は配達員のような玄関で話を済ませる関係ではなく、国と個人の契約によって君はここに来ているんだよ」


「分かったから早く案内してくれ」


 国塚はため息混じりに返事をする、小林は案内してくれているネーペの背中を見ていると高校生の頃にニュースで見た事件を思い出した。


2015年5月3日

今から7年前に起きた特殊能力対策部隊によるネーペへの暗殺計画、今までネーペなんて名前は一切表に出ていなかったのに当時の部隊の1人中山(なかやま)栄吾(えいご)が暴露した事によりその存在がテレビのニュースで流れていた。

実行部隊員83名死傷、民間人の被害は死傷者834人、重・軽傷者合わせて4537人の被害が出た日本史上最悪の事件。

 驚くべき事にこの被害を出したのがネーペと言われるたった1人の人物によって起こされた災害だと中山栄吾が語っていたのを今でも覚えている、更に不思議な事にネーペ殺害計画の内容がテレビで放送されていた事だった、普通暴露したところですぐに国から放送することが禁止されるような話を何故か(・・・)放送されていのだ、ネットなんかではネーペが関わっていると言う話がある。


「君少し考えを巡らせすぎだよ? 僕達の間にはいらない捨てておきなよ」


「すみません、少し緊張してたので」


 心臓が止まるかと思った、ネーペは思考を見ることが出来るのか?


「そんな事よりだ、お前に対してやって欲しいことがある」


「また依頼かい?」


「しらじらしい、知ってるだろう」


 小林には2人の話を追えないがそれでも何となくわかる事がある、ネーペと言われる人は常に人をからかいたがる性格だということと自分の未来は明るいものでは無いということだった。


「今回頼みたいのは【微睡(まどろ)みの天使】の殺害だ」


「どんな子なの?」


「対象は元特殊能力対策部隊の後処理係だ」


「へ〜」


 今のネーペ顔は嬉しそうだ、仕事を依頼された事が嬉しいのか、新人の小林がついた事が嬉しいのか判断できないが、国塚はネーペの笑顔を見ると次に小林の顔を見た。


「小林、お前はコイツの監視をしろ、民間人への被害がないか見ておけ」


「了解しました」


 小林は国塚からの命令に内心驚いていた、何故なら自分にあるのが絶対記憶(スタンプメモリー)しか無いことを理解していたからだ、決して過大評価でも過小評価でもなく自分の事を理解していたからこそだ、この能力は名前どうり記憶を無くさないだけじゃなくて他者からの洗脳や記憶の改変を許さない能力なのだが、こんな能力より更に優れている物なんて沢山あるのになんで国塚さんはこの能力に期待していたかを小林は頭で考えていた。


「それじゃ報酬は分かってるね?」


 小林は今回驚かさればっかりだったが今の確認するかのような言葉には気になる単語がある。


「報酬って何ですか?」


「報酬とは今回の依頼に対してこちらがそれ相応の対価を支払う事を報酬と呼んでいる」


 それは報酬とは呼ばないのではないかと思ったが地雷を踏むようなことはない、しかし国塚の話の中で今話した報酬が何を指しているのだろうか。


「では早速始めようか、新しい子も来たみたいだしね」

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