ただのオモチャ?箱
「お前はアイツに会うのが初めてだったな」
渋い男の声だ、立ち姿もまるで何処かのヤクザの様に見えるほど顔が怖い、そしてその隣を歩いてる若い男が緊張した面持ちで喋る。
「そうですね、私は初めて会います」
「そう緊張するな、俺もそろそろこの仕事を辞める、それまでにはお前に俺の役を渡さなきゃいけねぇ」
そう言うが若い男の顔から読み取れるのは簡単な仕事を任せられた様なものではなかった、まるで今からやる仕事の影響か、今すぐにでも何処かに逃げてしまいたいという気持ちがその顔に現れていた。
「小林、今回は俺の仕事を見てるだけで良い、余計なことをするな、いいな?」
「わかりました国塚さん、ただネーペの事を私は噂程度でしか知りません」
「噂か、アイツの情報に関しては国のトップシークレット扱いだ、それにアイツが出した条件によりお前に対して情報を与えられない」
2人の発言から国に所属している事が分かる、その他にはネーペと言う謎の人物により国に対して何かしらの条件をかされているようだ、そして国塚というのはネーペという人物との交渉を任されているらしい。
「俺はお前の能力に期待している、絶対記憶にだ、何があってもアイツの事を忘れるなよ、常に思考を止めてはいけない」
「思考を? それは何故ですか?」
「...」
2人が歩く街並みの風景はビルが並ぶ都市部から郊外へと変わっていった。