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試作品

 

 ミスリルナイフ改をとりあえず二つ作り、強化合成の箱に入れて閉じる。

 すると箱の側面に大きく『+1』と表示が出て、勝手に箱が空いた。


 見た目はあまり変わらないが、これで強化合成は出来ているのだろうか。

 持ってみるとたしかに重さは変わらないがなんとなく重厚感があり、輝いて見える……気がする。


 さらにミスリルナイフ改+1

 とミスリルナイフ改を箱に入れてみる。

 こんどは箱の側面に『強化値の不一致』と出てしまい、箱の中身も二本のままだ。


 なるほど、強化値も一緒のものを入れなければいけないのか。

 だとすると+2を作るのに4本、+3を作るのに8本も同じものが必要になるな。


 どれだけ強化されるのか今はわからないので、下手に売りに出すわけにはいかない。

 まずは俺の軽量ミスリル合金ソードを+1にしてみて、強さを試してみよう。

 これはなかなか商売にするには難しいアイテムを引いてしまったな。



 時間はまだ夕方前だったので、急いで八王子第2ダンジョン前に行き、買取りの看板を出す。

 朝、250MS近くの売上を立てたので、相当な量を買い込めるはずだ。

 一番必要なミスリルは様子を見ながら買取り単価を上げていき、数を確保していこう。


 ・ミスリル鉱石×21 126MS

 ・研ぎ石×4 8MS

 ・高級研ぎ石×1 6MS

 ・鋼鉄×3 24MS

 ・オリハル原石×1 12MS

 ・木材×2 4MS

 ・丈夫な糸×1 2MS

 ・のこぎり×1 3MS

 ・軽い剣×4 8MS

 ・薄い盾×1 2MS

 ・皮の鎧×3 6MS

 ・皮の靴×1 2MS

 ・麻の服×6 6MS

 ・薬草×32 16MS



 合計225MSの買取額だ。

 先日まで初心者だった子たちが供給を増やしている事もあり、今までで最大の額になった。

 さらにここ数日でさらに初心者が増えているので、ミスリル武器の需要も増えていきそうだ。


 ここでのミスリル鉱石の単価は6Mで定着してしまったみたいだ。

 まあ売りに出しているのも見られているし、足元見られるよりよっぽど良いか。


 そしてそろそろ軽い剣や薄い盾の在庫がかさばり始めている。

 これだけ買い取っているのだから当たり前だが、車の中はもうパンパンだ。



 プレハブに戻って父さんに倉庫の建設を相談してみる。

 まだまだ住民全員分のプレハブ建設が終わっている訳では無いらしく、係活動の一貫としては難しそうだが、支払い次第で非番などに手伝ってくれる仲間が居ないか当たってみてくれるらしい。

 だいたいの予算がわかれば教えてくれるそうだ。


 ひとまず今のところは、買い取った素材を加工して売りに出していくしか無い。

 ミスリル鉱石は23個分あるので、とりあえずミスリル武器を作りきってしまう。


 錬金の金槌があるおかげで、ひとつあたりの単価はかなり上がっている。

 ミスリルナイフ改を単価21本で7MS、ミスリルソード改造を16本で単価20MSが取れるので、単純計算すると467MSを売り上げられる事になる。


 ただ、これを捌くだけだと需要が追いつかなくなる可能性もあるし、どうせなら他の素材や強化錬金の箱も活かしたいので、明日は売りに出すのを一旦止め、まずは+1武器の性能を試すことにする。




 —— 八王子西ダンジョン『6F 亜人が住む樹林』



 ・E 軽量ミスリル合金ソード+1

 ・E 受け流しのミスリル盾×1

 ・E 皮の鎧+1

 ・E 魔獣のコート

 ・E 皮の靴+1

 ・E 頑丈の腕輪

 ・E 見切りの指輪

 ・E 灰光の指輪

 ・薬草×12

 ・懐中時計×1

 ・パン×1


 自作の軽量ミスリル合金ソードと、皮の鎧、皮の靴をそれぞれ+1にしてみた。

 装備している感じで品質が上がっているのは分かるのだが、使い勝手がいまいちわからない。


 岩壁沿いに歩いていくと、早速ゴブリンが三匹で歩いている。

 昨日は一薙ぎした時に一匹仕留めそこねたが、+1になった軽量ミスリル合金ソード改だとどうなのだろう。


 昨日と同じ様に広がって攻撃してくるゴブリン達に対して、だいたい同じくらいの振りで一蹴する。

 全く手応え無く剣を振り切ると、ゴブリンたちの胴や首がズバンッと勢いよく真っ二つになった。


 これは、すごい威力なんじゃないか?

 もしかすると倍くらいの威力になっているかもしれない。

 +1すると威力が倍になるのだとしたら、+2にすると元の三倍になるのだろうか。


 そこで俺はハッとして、灰光の指輪の効果を使い、自分を中心とした全方位に、予め練習しておいた灰光の波動を放つ。

 昨日は隠れているゴブリンに攻撃されたからな、事あるごとにこの魔法を使って隙が無いように気をつけたい。


 すると近くの木の上から二体のゴブリンが波動に飛ばされて落ちてくる。

 手には先端に鋭利な石が着いている矢を持っており、不意打ちするつもりだったようだ。


 尻もちをついているところに素早く近づき、剣で留めを刺す。

 あんな弓で攻撃されたら痛いじゃすまなかったかもしれないな、危ないところだ。



 基本この接近戦と魔法の組み合わせで、リスクは最小化できそうだ。

 頑丈の腕輪もあるから、不意打ちの一撃で死ぬことは無いだろう。


 ゴブリンのドロップは意外と美味しく、今の五匹のうち二匹がドロップし、鋼鉄と何かの石を落とした。

 何かの石はただの石に見えるのだが、こればかりは鑑定してみないとわからないな。


 五階層という大台を突破したことで、今までより良いアイテムが手に入る可能性が高い。

 まずはちゃんと六階層に慣れて、積極的にドロップを狙っていこう。


 ・ミスリル鉱石×1

 ・鋼鉄×2

 ・木材×4

 ・丈夫な糸×1

 ・皮の鎧×2

 ・何かの石×4

 ・何かの宝石×1

 ・何かの指輪×1

 ・何かの羽ペン×1


 見たことが無いアイテムも幾つかあったが、基本は今まで出てきた素材が多い。

 ゴブリンは一度に出てくる数が多いため、狩る効率は非常に良さそうだ。


 これらをDSS機構派出所で鑑定と換金をする。


『爆弾石。掛けたり割れると爆発する』

『風の封魔石。使用すると風の加護を得られる』

『命中の指輪。装備すると狙った場所に攻撃を当てやすくなる。指輪は一人につき四つまでしか装備できない』

『魔法の羽ペン。インクがなくても使える』


 爆弾石はかなり危ないな。

 袋の中で爆発しないで本当に良かったが、これは今後扱いに困るな。

 あまり良い保管方法がなければ、ダンジョンの中に置いておこう。


 風の封魔石はどういう使い道なのだろうか。

 使ってみたが、体に風を纏って、空気抵抗や風力に寄るアシストで動きやすくはなったのだが、片手に持っていなければいけないので、そのデメリットのほうが大きい気がする。


 命中の指輪は汎用性が高そうだ。

 剣もそうだし、灰光魔法の遠距離技でも狙いがつきやすくなるのはありがたい。


 何より、魔法の羽ペンは、今までメモができる道具がなかったので非常にありがたい。

 当日限りだがマッピングに使えるので、この広いフロアでは重宝する。

 もっとも紙が無いので、平たく加工した木材などに書くことになりそうだが。



 今日は八王子中央第1ダンジョン前での買取の日だ。

 しかし昨日結構買い取ってしまったため、手持ちの資金が50MSくらいしかない。

 申し訳ないが、今日のところは買えるだけ買ってしまって、早めにプレハブへ帰ることにする。


 ・ミスリル鉱石×8 32MS

 ・皮の鎧×3 6MS

 ・研ぎ石×1 2MS

 ・木材×1 2MS

 ・薬草×6 3MS



 今日は色々な武器の加工を試してみようと思う。

 俺が使っている軽量ミスリル合金ソード改のように、新たな可能性が見いだせるかもしれない。

 まあしかしこれは大きくて取り回しづらかったりするので、必ずしも良いわけじゃないのだが。


 基本素材はミスリル鉱石、鋼鉄、オリハル原石、軽い剣になるのだろう。

 皮系素材も糸も充分にあるので、グリップは皮を張るのが正解かな。


 武器の制作に詳しい人がいれば良いのだが、そんな人が現代日本で、しかもたまたま生き残っているとは思えない。

 となると自分で色々試してみながらより良くしていくしか無いんだろうな。


 日本刀の作り方は、昔好きで動画サイトを良く見ていたが、あれを真似できるとは到底思えない。

 しかし、グリップを木で作ったり、動物の皮を張ったり、糸を巻いたり、重心の位置をコントロールしたり……などの工夫は取り入れる余地があるだろう。


 こうやって自分なりの試行錯誤を続けていけば、少なくともより良くなっていくはずだ。

 なんにせよミスリルやオリハルなどの素材は今まで無かったのだから、誰も正解を知らないのだ。



 試作品一号は、扱いやすい片手剣だ。

 刀の構造を参考に、グリップはミスリルナイフで削り出したダンジョン産木材を父さんから借りたヤスリで整形。

 接着粘液で皮を貼り、丈夫な糸をバランス良く巻くことで、かなり握りやすくなっている。

 刀身は両刃にして、中央部分を鋼鉄、外側の刃をミスリルにし、さらに鍔として着けた鋼鉄の重さを調整することで重心が手元に近くなるようにした。

 遠心力が効きにくい分、破壊力は劣るが、取り回しのしやすさは随一だ。


 試作品二号は、威力に重点を置いた両手剣。

 これはグリップまで鋼鉄で作り、刀身を幅広にしても重心が先に寄りすぎないようにした。

 それでも刀身の比率を鋼鉄に寄せる事で、片手剣よりも先に重心が寄っている。

 全体で150センチ以上の仕上がりで、振った時の重厚感や破壊力はかなりのものだろう。


 試作品三号は、できるだけ軽くしたナイフだ。

 鋼鉄を使わず、全てミスリルで構築しており、グリップも木で作っているため、かなり軽量である。

 軽量なのだが、刀身はそれなりに長くしているので、殺傷力は担保できている筈だ。


 全て使ってみた感じは今までで一番良い出来だと思う。

 木型も全部取ってあるので、量産体制もバッチリだ。


 こんな事をしている間に夜も更けてしまった。

 この三つを軸に明日、売りに出してみて様子を見ること

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