厳しい現実
理奈は目が覚めた。もう何もする気にならない。
「これから私はどうしたらいいのだろう? 頑張ってもまた失敗するのかな……」
また泣きそうになったが1週間泣き続けたので涙が出ないようになっていた。
「グスン、もう十分に泣いた。くよくよしても仕方ないわ!」
そう言うと勢い良く家を飛び出して新たな就職先を探しにハローワーク(職業を紹介するところ)に向かったのだった。
そして近所のハローワークに到着すると大勢の人がいた。
「すごい人……みんな仕事がなくなったの?」
驚きながらも彼女は手続き終わらせ、職業相談員との相談を始めた。
「え~、星野理奈さんですか?」
「はい。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。今日は初めてですか?」
「はい。初めてです。新しい仕事を紹介して下さい」
「残念ですが星野さん。今紹介できる仕事が1件もありません」
「え?それはどういう意味ですが?」
「そのままの意味ですよ。
今世界は新型ウイルスなよって多くの人が仕事を失っているのですよ」
「まさか・・・そんなことって」
「はい。残念ですが・・・他の人に仕事を紹介するので、
あと2~3年は紹介できる仕事はないですね」
「そんな・・・あんまりです。私の生活はどうしたらいいのですか?」
「………仕方ないですね。一件だけ紹介できる仕事があります」
「ほんとですか?教えてください」
「はい。その仕事は魔王を倒す勇者の仕事です」
「……はい? 勇者……ですか?」
一瞬聞き間違えたと思ったが確かに職業相談員はそう言った。
「あ…あなたふざけているのですか? 私は真剣に仕事を探しているのですよ」
「いいえふざけていません。 実は私、神の使いでして」
そう言うと職業相談員はパチンと指を鳴らした。
すると眩しい光に包まれた後、一瞬で真っ白い部屋に変わった。
「わぁ。部屋が変わった……ここはどこ?」
「ここは審判の部屋。あなたが勇者になれる人物か判断させてもらいます」
「判断? 私は勇者になるとも魔王を倒すとも言っていないですよ」
「まぁまぁ、そんなこと言わずに。ステータスを見てから判断しましょう」
「はぁ……?」
職業相談員(神の使い)は手を前に出しながらこう言った。
「今、あなたのステータスを見られるようにしました。手を私と同じようにしてください」
黙ったまま手を前に出すと画面が前に現れた。
・攻撃力 50
・守備力 40
・スピード 50
・魔力 70
・運 -999
「……私やっぱり運がない」
職業相談員(神の使い)はステータスを見て固まった。