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 「次に、適正の話か……。

 いや、まずその前に判定をしようかの。

 雷祊。」


 「嗚呼。」


 何をするのか、と雷祊さんを見上げると、また目を細められた。


 「いいか、小娘。動くなよ。」


 「は、はい…?」


 なんの説明もなしに、いきなり来訪さんは私の頭の上に手を乗せた。害する意思はないだろうと判断し、私は言われた通り大人しくする。


 すると、私の足元にさっき雷祊さんが現れたときの魔法陣みたいなものが現れた。よく見ると、模様が微妙に違う気がしなくもなくもなくも………


 「終わった。『精』だ、『知』寄りの。」


 「……。」


 そこで、何故か安倍先生は黙ってしまった。


 「あ、あの、何か問題が……?」


 少し考える様子だったが、安倍先生は首を振った。


 「いや、君自身に問題は何も無い。

 それでも、これから心無い言葉を掛けられることがあるやも知れん。」


 「……?」


 核心を持った答えが得られず、私は首を傾げた。


 「ワシからは何も言えぬのじゃ。

 とにかく、これから九条君に生活してもらう寮へ案内する。そこにはワシの親戚が在籍しているから、そやつに詳しい話を聞いておくれ。」


 「わ、分かりました。」


 よく分かってないけど、面倒を見てくれる人を付けれもらえるのならば何とかなるだろう。


 「よし。じゃあ、行こうかの。」


 ぽん、と安倍先生が私の肩を叩いたかと思ったら、いつの間にか私たちは室内にいた。


 「うおぁっ!?」


 ゴン、と後ろから音がしたかと思って振り返ると、ちょうどそこにはソファーから転げ落ちた状態で安倍先生を睨む青年がいた。


 「いつも言ってるだろ…!

 せめて移転してくるなら部屋の外に、それでドアをノックして入ってこいって!!」


 ああ、なんかこの人苦労人の匂いがする………。


 「悪い、急いでいたものでな。」


 しれっと、謝る気があるのかないのかよくわからない声音で返す安倍先生に、何を言っても無駄だと思ったのか、彼は先を促した。


 「で、今日はなんの御用ですか、学長様?そこに居る生徒さんについても説明して下さいよ。少なくとも精舎の生徒じゃあ無いでしょ、その子。」


 私は話しの展開に付いて行けず、首を傾げた。


 「覚醒型なんじゃ、数日前に発見された。」


 「へー、ここ数年は血が薄まってる影響でほとんど出現してなかったよな?所属は、

 ………いや待て、俺の所に連れてきたってことは詰まり、そういうこと?」


 「嗚呼、想像の通りだろう。」

 

 「マジかよ、これまた大変な時期に生まれてきたな……。」


 「とりあえず覚醒型については話した。各舎の説明と制服、部屋の確保を頼む。」


 そう言い残し、先生は雷祊さんと共に消えてしまう。


 「うわ、本当に必要最低限の話すら話してないな?!丸投げしやがった、2週間以内に試験があるの知ってるはずなのに…!!」


 彼はそう言うと頭を抱えてしまう。しかし申し訳ないが、そうしてもらっていては話が進まないので、声をかけた方が良さそうだ。


 「……えーっと、ご迷惑をおかけします。」


 はぁ、とひとつため息を履いて、彼は私に向き直った。


 「……いや、気にしないで。新入生、特に覚醒型の面倒を見るのは寮長の役目だから。


 俺は城之内 和馬。陰陽道の宗家である、安倍家の分家の次男だ。残念ながら、覚醒型では無いけどな。」


 よろしく、と差し出された手を私は素直に握り返した。


 「さて、知らない男と二人きりで部屋にいるのも嫌かもしれないが、何分君の立場はとても特殊なものなんだ。色々知っておかないと後々マズいことになるし、外で軽々と話せる話題でもない。必要最低限のことはここで話させてもらうよ。疑問があったら、その都度聞いてくれて構わない。」


 「わかりました。」


 



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