1
処女作ですので、色々と荒が目立つと思いますが、誤字脱字などありましたら教えていただけると嬉しいです。
「……ここ、どこ?」
私の言葉に返事をするかのように、風によって木々がざわめく。おかしい、私は今まで確かに自宅で机に向かっていた筈なのに。寝落ちしてしまったのかと思い、頬をつねってみるもしっかりと痛い。
………待て待て、私。
混乱してやみくもに動きたくなるが、遭難したときにその行動を取るのは最悪の選択だ。
そう、まずは冷静になって、周囲の観察から始めてみよう。
まず、人工的な光がいくら目を凝らしても見当たらないあたりから考えて、ここが自宅付近でないことは明白だ。
深呼吸をすると共に私の肺に入ってきた空気はとてもおいしくて、こんな場面でなければそこそこ楽しめたかもしれないのに、と恨みがましくすら思う。
植生を観察しても見慣れない草木がなく、どこか既視感のある周囲の様子から見て、おそらく日本国内なのでは、と予想した。
暦上で言えばもうすぐ春とは言えど、まだまだ夜は寒い、肌寒いなんてレベルではなく尋常でなく寒い。これは、餓死とかの前に凍死を視野に入れるべき…?
「……っ!」
途端に、どこか現実逃避をしていた頭が冷える。
……本当に、意味がわからない。なんで今?
高校受験で私は失敗をした。それはもう、無残に。都内トップの高校にだって余裕で入れると塾の先生型からの太鼓判をもらっていたにも関わらず、私は本番で盛大にコケた。
だから、大学受験でリベンジしようと、そう思ってそれまで続けていた弓道もやめて、高校では本当に勉強しかしてこなかったのに。明日の試験が終わるまで、せめて待ってほしかったな、なんて。
生存できるかできないかの問題が目の前にあっても、それでも自分の大学入試のことについて心配してしまう自分に、少し苦笑する。もう薄々気付いてたけど、私って大学に入ることじゃなくて、試験に受かることを目的に勉強してた。ほかの受験生に失礼だから、ある意味これでよかったのかも知れない。
……まあ、人生なんてこんなものか。
「でも、やっぱり死ぬのは嫌だなぁ……」
だって、わたしはまだ十代だ。
別に、こういう生き方をしてきたことに対しては後悔なんてないけど。でも、例えば海外に友達と旅行に行ったりとか、彼氏作ったりとか、そういう経験が当たり前にできる同級生達にちょっ嫉妬してしまうくらいは許して欲しい。
「誰かたまたま通りかかって、私のこと助けてくれないかなぁ…。」
馬鹿みたいだとは思うけど、それでも願うのはやめられなかった。
終いには雨まで降り始めて、私のなけなしの体温を奪う。木陰まで移動する気力すら無かったので、私はその場でしゃがみ込み膝をきつく抱えた。
本当に正気の沙汰ではないと思うけど、そこで私は意識を手放してしまったんだ