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変則のリリア  作者: 源 蛍
リリアの望み
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プロローグ『人とは全然違う自分』

新作です!

バトル作品です!よろしくお願いします!

 私自身は一度も事故に遭ったことは無い。でも同級生達は何度かある。

 何せ、小学二年生に頃の遠足でバスが端から川に落下したから。


 何が原因なのかハンドルが突如機能しなくなった高速道路上で、他の車も走ってる為簡単には止まれなくて、そのまま壁に激突して落下。

 かなり勢いがあったのか、バスは逆さに立ちひっくり返った状態で着水した。

 かなり深い川だった故に、窓も開かず乗車している三クラス百余名が絶体絶命に陥った。

 ──その時だった。


 バスの天井。正確に言えば床なんだけど、そこが大破した。

 まるで内側から大砲でも放たれたかの様な、外側に向かって開かれたの。水はまだ大して入って来てないから、それがチャンスだった。

 一人一人が協力し合って脱出し、死者は奇跡的にゼロ。バスが逆さになったのに、だよ。


 その時思い返して気がついたんだけど、他の皆は腕や頭から血を流し、骨折してしまった子もいた。

 だけど私だけは無傷な上、痛みすらも無かったんだ。


 垂直に浮遊している中、皆が皆下(天井だけど)に叩きつけられている。

 そんな光景を物ともせず見つめる私は、浮いていた。

 正確には、どこにぶつかる事もなく横向きに立っていたんだ。皆を見下ろす感じで。


 そこから、私は自分の異質さを実感して行くことになる。


 物理的に不可能な、三十メートル程高く聳える崖からの飛び降り自殺の回避。何故か現れた柔らかい布に防がれる。

 原理を考えれば絶対に衝突事故が起こる筈の交差点への飛び出し。何にも触れることなく、車もスムーズに道路を渡って行った。

 警察に厳重注意を受けちゃったけども。

 科学的に大爆発を起こせる無茶な水素の実験を一人で行ってみたけど、不発。有り得ないことがそれからも延々と続いて行った。


 かくして私は、自分が異常者だということを受け入れることにした。

 私は全てを無視する。

 確率を無視する。

 物理法則を無視する。

 原理なんてのも無関係に変わる。

 私は、普通のやり方じゃ絶対に死ねないことも分かってきた。これまでの実験の賜物だ。


 暫くしてこの世が生きにくく思えて来た。

 私とは合わない環境に法則。私が避けられても周りは避けられない大事故。

 こんな人生を望む人間はいないと思う。受け入れ難いものだと、勝手に思ってるから。


 でも、どうしたら生きることを楽しめるのかが知りたい。自殺が無理なら人に殺してもらうしかない? 真っ平ごめんだ。

 誰かに殺されるくらいなら最後まで生き抜いてやる。最後なんていつなのか分からないけど。


 両親には見放された私の不気味なちから。教師からも、友人達からも敬遠されてしまう結果に。

 私は何もしていないのに、周りから人が消えてく。どうやっても、上手くいかなくなった人間関係に絶望を────抱かなかった。

 むしろこれで被害者は減るだろうことを、私はとっくに理解していたんだ。心の何処かで。



 寂しさは埋まる事なく、高校生活が幕を開けた。中学までで天才とまで言わしめた私の脳は実は平凡だ。しっかり学んだだけ。

 誰よりもハッキリと分かる様に、身体を張って中毒実験なども行った。

 その甲あってか、今や分からない勉強は殆ど無い。

 高校ではどんな課題が待ち受けているのかな。楽しみと裏腹に、少しだけ気分が悪くなった。


 案の定高校でも誰とも話せなかった私は、数年間友達がいなかったのが災いしたなと少し反省。仕方ないよね、誰も近寄らないし。



 そんな時、一人の男の子に出逢った。


 明らかに不良気取ってて目つきとか最悪なのに、私を知ってからというもの、幾度となく話しかけて来てくれる男の子に。

 彼もクラスメイトと疎遠になってしまっているから同情されてるんだと勘違いしてたけど、後々知ったんだ。私のことを守る為なんだって。


 一生懸命、私なんかの為に行動を起こしてくれる彼に惹かれていったけどアプローチは伝わらない。凄い鈍感だけど、直ぐに伝わらなくていいかなとも思う。

 何よりも確実に心の底から願ってる事は、彼といつまでも関係が続いて行ってほしいということ。それ以外は望まないから。


 私が能力を失うことになっても、君は傍に居てくれるのかな。私を見ててくれるのかな。

 私の為に行動を起こしてくれるのかな。それとも見捨てられちゃうのかな。

 ネガティヴ思考は思考を遮る邪魔なつっかえ物。

 この考えは捨てなきゃ。


 好きだよ──って気持ちをいつか伝えられるまで、私は彼と共に生きたい。

 それだけが、私の生きる意味なんだ。 

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