目次 次へ 1/212 ブラック - 第1話 とん、と、背中を押された。 結果。 僕は崖から、真っ逆さまに落ちた。彼らの言葉によれば、崖下までは百二十メートル以上。考えずとも分かる。 僕は死ぬ。 ここで死ぬ。潰れて死ぬのだ。熟れた柿が地に落ちて潰れるように。人間としての形など残りもしないだろう。ああ、だけど、この死に方は予想していなかった。 ――僕が死ぬ時は、『壁』に圧し潰されるものだと思っていたから。