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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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79その明かり

「確かに通常の懐中気灯より明かりを集めて()るが、()の分視野が狭くなって()る感じか。まあ、()の程度であれば然程(さほど)問題に()らんか。特に【水】の御業持ちは()の下に()る地底湖の環境が()れを補うからな」


「ええ、()れでしたら飛翔板で()れなりの速度を出せそうですが、彼此(あれこれ)()う前に取り()えず出発しましょう。判断は実際に使った後と()う事で」


「やけに急かすのだな。まあ良いか、ティロット先頭を」


「了解っ!」


 最早(もはや)(かよ)い慣れた地下階段とはいえ少し「ふんす」と鼻息は荒いが油断大敵、責任重大である。今回も()れなりの荷物を運んで行くのだから、といっても荷物は既にマギーさんの芸術的な縄(くく)りに()って、飛翔板でも運び(やす)い様に(まと)められ輪っか(まで)付いて()る。

 皆、()()れに1人乃至(ないし)2人で輪っかを飛翔板に下げ片膝立ちで乗って浮き上がる。おっと()く見るとチェロルとベイミィの間に()る荷物の上で、メルペイクが踏ん反り返って()るではないか。自分で飛べ!

 そして、リーファ様の指導する荷(おろ)し隊に続きハンナ様率いる近衛小隊が、飛翔板を()り次々と地底湖に続く階段へと入って行く。

 リーファ様の隊は7名、届けられた新型の懐中気灯は8個と1つ余る(ため)、ちゃんと返してねと()いつつハンナ様に渡された訳だが、ハンナ様は思いの外嬉しかった様である。


--


()れは凄いですね……」


 懐中気灯は暗闇の地底湖を一条の光と()って瞬時に(さえぎ)る壁を探し出す。

 先に降りたティロットが周囲を警戒して真面目に辺りを確認し明かりを照らして()るのだが、ハンナ様は()の光の矛先を無作為に選んでは関心を募らせる。

 まあ、有り(てい)にいえば遊んで()るのである。リーシャたちはうずうずと来るものが()るが、近衛騎士たちの前であるから仕方無しに我慢して()るだけである。褒めても良いくらいだ。


 リーファ様たちが此処(ここ)に来た目的は荷物を作業場へ運ぶことであって、懐中気灯を試すのは(つい)でであると念押ししたのだが、矢張(やは)りハンナ様は最初から懐中気灯を確認する事にしか余念が無い様である。

 壁から壁へ壁から天井へと瞬く間に移動する。照らし届く範囲は100mを越えて()り、離れた周囲の地形を朧気(おぼろげ)(なが)らも照らし出して()る。


「ええ、思って()たより遠くを照らし出せる様だし、遠くに()れば照らす範囲も広がるから飛翔板で翔ぶ分には【水】持ちとか関係無く(ほとん)ど問題と()らんな。リーシャ、作業場の入口を塞いで()る岩扉を開けに行って(くれ)。マリオンは先行確認、ティロットはリーシャの警護を」


「了解!」×3


--


 ハンナ様は自分の部下たちが作業場へと入って行っても、(いま)だに何やら照らして()る。付き合いが良いのか上官としての(てい)なのかリーファ様は辛抱強く見守って()たのだが、消費も激しいからそろそろ荷物を置きに作業場へ行こうと声を掛けようとした時だった。


「リーファ様、向こうから光が近付いて来ます」


 見()れば確かに光が近付いて来る。光というものは照らす量が少なくとも遥か遠くからでも見(いだ)す事ができるのだ。


「確かに、だが随分遠くの様だな。800、900m()の暗闇では距離感が(つか)めないな。順当に考えればメイリア神官長殿しか()ないのだが南南西か……何かをして来た帰りか?」


「……はい、メイリア神官長殿に間違い無いですね。バルパルも前に居る様です」


()く分かったな。ああ、()う言えば【強眼】だったな」


「ええ、【遠見】の様に馬鹿気た距離(まで)は見通せない代わりに、此処(ここ)の様な暗闇や高速に動くものを普通の人より()く見る事ができます。まあ、半分は()の新型懐中気灯の性能ですが、御蔭(おかげ)()の辺りの地形は大体把握できました」


「あっ、()れは遊んで()たので無かったのだな」


「……」


--


「ぴやぁあ」


「どうも、今日(こんにち)は……お二方、何だか微妙の雰囲気ですよね」


「ええ、今日(こんにち)は、メイリア神官長殿……」


「ああ、今日(こんにち)は、メイリア神官長殿。一寸(ちょっと)機嫌を損ねて仕舞(しま)ってな。」


「バルパル? あっ、メイリア神官長殿……が浮いてる?」


「どうも、リーシャさんベイミィさん今日(こんにち)は。()れは【浮遊】ですよ」


「はい、今日(こんにち)は。あっリーファ様ハンナ様荷物を此方(こちら)で受取ります」

今日(こんにち)は、メイリア神官長殿」


「ああ、悪いな。()れで此方(こちら)へは散歩ですか?」


「いいえ、今朝、皇太后陛下から飛翔板の伝授を許可されましたのですが、生憎(あいにく)と私の知る騎士隊長様がお留守でして、此方(こちら)に来たら誰か居て飛翔板の彼此(あれこれ)を教えて(もら)えるのではないかと()って来た次第ですよ」


「……何故。南南西の方角から、いらっしゃったのですか?」


「来る途中に魔落の魚らしき蔭が()った様で、バルパルが追い掛けて仕舞(しま)って……結局逃げられた様ですけど」


「はあ、昨日マリオンたちがむ、あー、長物(ちょうぶつ)の魚を持って行った(はず)ですが?」


「え! ()だ半分残ってますよ」


「もう半分ですか!」


「ぴゃゃぁあ」



---

修正記録 2017-05-16 09:07


踏ん反り返る返って → 踏ん反り返って


ルビを追加


(まで)見通せない代わりに → (まで)は見通せない代わりに、


ですね → ですよね


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