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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
96/345

77それは助かります?

 朝の巡回を終え今日も日課の稽古を始める派出所の騎士たち、()の中でもこっそりと(みな)の注目を集める人物はティロット・スウェインなのであるが、本人は特に気にしていない様である。


「リーシャ様、岩を(つく)って(もら)えますか?」


「ええ、構わないですよ。今日の硬さは()の様にしますか?」


「うーん、少し金属が混じって()る感じで(たま)に結晶系も()る混在系が良いかな」


「うん、じゃあちょっと待っててね」


 ティロットは石祠(せきし)の両断事件から、稽古の折に何か()らかしはしないかと見張られて()るのだ。

 試し切りがしたく()れば岩を用意するよと細かく注文を()き届け、満足させる事で滅多矢鱈(めったやたら)其処(そこ)らのものを斬付けない様にと、まるで腫れもの扱いであるのだが、本人は嬉しいそうだし他の者たちにも良い訓練に()って()る様だ。


()れでしたら私が適当な大きさで水晶を幾つか(つく)(いた)しまして、チェロルの溜め込んで()る砂鉄を混ぜ込んでは如何(いかが)でしょう」


「えっ!」


「ああ、チェロル大丈夫だと思うよ。終わったら岩を消して砂鉄に戻すから」


「本当に? 鉄鉱石と認識して消したら駄目だよ!」


「ええ、心がけますよ……」


「お早う諸君、今日も朝から稽古に精が出て(よろ)しいことだ」

「リーファ様、マリオン様、お早う御座(ござ)います」

「お早う御座(ござ)います」×4

「チィチッチィ」

「ええ、皆さん、お早う御座(ござ)います。」


(さて)、稽古を見て()る前に今日の予定だな。昨日は近衛騎士の皆さんに思い掛けずとは言え、失礼をしてしまった(ばか)りだから、今日は前以(まえもっ)て主立った予定を言って()く。半刻(1時間)(のち)に施設の侍女という建前の管理人が来るそうだ。まあ色々兼任して(もら)う事と()るだろうがな」


「はい! ルトアニアから来た荷物は何時(いつ)受取に行けば()いですか?」


「管理人は多分住込みと()るから()れなりに荷物が()るだろうし、荷(おろ)しを手伝って()りたいから()れが終わってからだな。受取には私が連れて行くよ。(なに)せ皇太后陛下の所に一旦届けて(もら)う予定に()って()るから、荷物が早く届く分彼方(あちら)に行くのに手続きが少々ややこしい、私が行けば事が早く済むんだよ」


「了解です!」


「ところで、荷物は()れ位に()るのだ。量に()って方針を決めたいのだが」


「うーん! 中型蓄魔(ちくま)器2台と新しく飛翔機用に提案した反射板に覆われた中型気灯8個と大型気灯3個に、後は幾つかの小型動力機関かな! あっ、反射板付き懐中気灯も8個用意して(もら)ってる」


「結構数が多いな。()の際、チェロルの飛翔機と飛翔板数名で宮殿に向かった方良いかも知れんな。ところで()の反射板付きとは何だ?」


「ん! 今(まで)の気灯だと明かりが全体に拡散してたから、()れを()()く一箇所に集められないかと試みたものなんだよ! アリア殿下は早速魔動車に搭載されたとかで皆から好評を(もら)ったそうなんだよ! ()れが()れば地底湖での行動が楽に()ると思って多めにお願いしたんだよ!」


「ああ、()れは確かに助かる。流石はチェロルだな偉いぞ!」


「えへへ」


「くっ、悔しいですわ! ()れは私も助かりますから流石に茶々を入れられませんわ」


「ベイミィ……まだ()()って()るんだね。と言うか茶々って自覚して()って()るんだ……」


(さて)、そろそろ稽古見てあげようか、()ずはティロットとベイミィ前に出て打合い稽古だ」


「はい!」


「はい。あっ! リーファ様、私たちの侍女は今日来て(もら)って()りますから、荷物整理を手伝う事ができますわ」


「おっ、()れは助かるな」


--


 ()れは全長40mは()るのだろうか、ゆっくりと宮殿区画方面から近付いてくる。両翼には大型の空気推進機関が付いて()り垂直に近い状態で稼働している。

 若干後部が下がって見えるので通常の飛翔機と同じ理論で低速飛行をして()る事は分かる。だが巨大であるが故か、()れ共荷物を積んでいる(ため)か、将又(はたまた)操舵者の腕が良いのか(ほぼ)水平を保ちつつの移動であり、もう派出所区画の目の前(まで)迫って()た。

 ()の大型貨物飛翔機前方で誘導する様に飛翔板を(かけ)る数名の近衛騎士と一般的な侍女服を着たものが先だって降りて来る。


 騎士たちは地に降り立つと素早く飛翔機の着陸地へと誘導指示を開始しする。勿論、エミリア様が基礎を作り上げ提唱した誘導方式だ。リーシャは自分の意見が通った事で胸を撫で下ろしている事だろう。

 (いや)、リーシャたちは口が半分開いた状態でぽかんとして()る。リーファ様やマリオン先生は苦笑いであろうか微妙な顔だ。

 そして、ハンナ隊長と侍女の2人が飛翔板を抱えてゆっくりと歩いて来る。


「どうも。リーファ様、此方(こちら)行きの荷物が()ると聞きまして(つい)でですから下ろさずに荷物を逆に載せて此方(こちら)に来させて(もら)いました」


(いや)、流石に目立ち過ぎだろう」



---

修正記録 2017-05-14 10:37


今日は硬さは → 今日の硬さは


幾つかのルビを追加


誘導 → 着陸地へと誘導指示


「どうも。リーファ様、」追加

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