75勘違い
地底湖から作業場へと続く水路を塞ぐ堰がゆっくりと上がって行く。
外の水嵩が若干低かったのか水路に外へと向かう流れができて、潜泳機も亦其の流れに従い少しずつ動き出した様である。
「=閘門岩を左岸1m離れた所に移動し終わったよ=」
「了解! 現在、岩閘門を退けた影響で水に流れができて、機体を勝手に押し進めて居る模様だよ! 此の儘水流を操作して加速して行くよ! メルペイクは操作しないでね!」
「チュバ」
「チェロル……両舷というか胸鰭? と水路の壁が数cmしか無い様だが、此れで良いのか?」
「全然問題無いよ? リーファ様どうかしましたのですか?」
「あー、リーファ様、其れ此方の受取違いでして、5m幅有れば良いと聞いて其の儘遊びも持たせずに水路を造って仕舞いました。後で6m幅に造り直しておこうと考えて居ますが、其れで宜しいでしょうか?」
「ああ、其の方が他のものも此の水路で操舵できるから助かる。無論、私なら此のくらいの操舵は平気で熟せるがな!」
「えー! リーファ様と私ぐらいしか此処で潜泳機を操舵しないでしょ? 此の水路位の方がシュッとしててかっこ好いよ!」
「否、其の例え……擬態語? の意味が分からないのだが。其れとチェロルは飛翔機の推進機関を此の潜泳機に転用できないかと提案したのではないか?」
「えー! 出口、シュッとしてるよね? うん、提案したよ! 反発させる物質を空気の代わりに水にしては? って!」
「チェロル、今だと外の出口は徒の長方形だけど、幅を広くしたら横の縁を削る事に為るからキュッとした感じで其れも良い感じだよ」
「キュッとかぁ……ん! 其れも良いかも!」
「……どうやら認可が降りて開発部署を発足するそうだ。之ができれば自ずと御業を必要としない推進機関を載せる事に為るのではないか? 然う為れば今は鉄系統と【水】の御業を持つものが揃って居ないと操舵はできないが、何れ【水】だけでも否、【水】の御業すら無くても操舵できるやも知れないな」
「うーん、未だ先の話だと思うけど、まあ、キュッとするのも悪くないから其れで良いよ! おっ、もう外に出てたね! では、早速だけど潜水確認を開始しますよ! あっ! リーシャ様、喫水位を確認し乍ら後部貯水槽に水を入れて来て下さいませ! 目指すは機体部が背鰭を残して水面下に沈むぐらいだよ! 慎重にだよ!」
「了解、中央上部の隔壁より上が水面上に残る位だね」
「では、私が右側の水袋群に水を注いで行こう」
「ガチャ」
「其れでお願いします! リーファ様。[水よ其に在れ]」
「宜しい! [水よ其に在れ]」
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「ガチャ」
「マリオン先生、潜水作業が始まりましたよ。取り敢えずは此処の上部隔壁位迄が水面下になる位置を目標だって」
「ええ、連絡有難う。後ろの水槽へ注水に行くんだね」
「はい、然うです」
「何ですって! 其れでは未だ此処の水面下での状態確認が、終わらないと謂うことに為るのですわね」
「然う然う、其の通りだね。然う為ると矢っ張りベイミィは此処の席が一番便利が良かったみたいだね。チェロルの事だから単純に後々も考えて丁度都合が良いから此処の席を進めたんじゃないのかな。じゃあ私は後部の部屋で貯水槽に水を注ぐ作業をして居るね」
「ガチャ」「ガチャ」
「後でチェロルに我が儘云ったことを謝った方が良いかもね」
「はぁい」
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『後部注水の進度が若干早いです。はい、其れでお願い致します。……唯今7の位置です。……8、中央上部の隔壁位置に喫水が到達致しました。皆様、注水作業の中止をお願致します。引続き注水量の記録作業の方を開始して頂きますようお願い致します』
「はい! 左側の記録完了したよ! 次、機体各部異常・浸水確認共に無しだね!」
「=中央上部操舵席異常無し=」
「ガチャ」
「後部貯水槽の水量記録完了、並びに異常も無かったよ」
「ガチャ」
「よし! じゃあメルペイク前進だけ制御してね!」
「チュビ」
潜泳機は背鰭を水面上に残し徐々に速度上げていく。背鰭は水飛沫を上げ乍ら「シャー」と音を立て地底湖の水面を裂き進む。傍目から見れば間違いなく魔落魚であろう姿であるが。
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修正記録 2017-05-12 09:30
「ガチャ」の行を移動
御業前の改行を削除
幾つかのルビを追加
改行を追加しました
一部擬声語を鉤括弧で閉じました




