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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
87/345

68ジュゴゴゴゴ

「ふー、じゃあ上の派出所で留守番をしているよ」


「待て待て、()だ運ぶ荷物が()るから皆の飛翔板を取りに行きたい。乗せて行って(もら)えないか?」


「あ、構いませんです。えっと」


「マリオンだよ、タイラスト子爵。此処(ここ)の派出所にリーファ様と共に指導の任を拝命している。今後共(よろ)しくね」


「はい、此方(こちら)こそ(よろ)しくお願い(いた)します。リルミール・ハッシベルトです。ミグネア皇太后陛下にお使えする近衛騎士団所属、()だ騎士見習いです」


「はい了解です。では、私は貴女(あなた)たちの飛翔板を取りに行くから、取り()えずチェロルの作業を手伝って()てね」


「はい! マリオン先生」×2

(かしこ)まりました」


 マリオンは次の段取りを考えてリルミールと共に天井の階段へと昇っていく。飛翔板を()の場で(つく)っても良いが、()れなりに時を費やすし消費もするのだから、(つい)でが()るならばと利用して効率化を(はか)った訳である。


「リーシャ様! 岩で作業場作って欲しいのだけど!」


「良いよ、チェロルはどんな感じで心象(しんしょう)しているの?」


「うーん、()の鉄の潜泳機(せんえいき)()だ下側に胸鰭(むなびれ)腹鰭(はらびれ)を付けたいんだよ! だからね! 浮かしたいのと安全な場所で作業したいの!」


「――潜泳機(せんえいき)って名前()ったんだ……――安全な場所?」


「うん! 此処(ここ)だと作業に夢中に()ってたら、ぱっくりとお魚さんに食べられちゃうよ!」


「あー、確かに不味いね」


「大掛かりに造り込む事を考えれば岩壁に横穴を空けて()れも材料に()れば何かと都合が(よろ)しいかと思います」


()うだねマギー、近くにはー……」


(あれ)(なん)如何(どう)でしょう?」


「うーん、()の北北東に20~30mぐらいかな暗くて見え(にく)いけど確かに大きい壁が見えるね。実際に見に行くとしても飛翔板を取りに行ったマリオン先生を待った方が良い? ()れ共一先(ひとま)()の潜泳機だけでも向こうに移動しちゃう?」


 リーシャたち3人と1羽は水面にぷかりぷかりと浮く潜泳機の上に居るのだ。此処(ここ)で作業しないのであれば()れる事は限られてくる。


「30mであれば念話は十分届きますよ」

「うん、動かしちゃうね」

「おうー!」

「チュィチュッ」


 ゆっくりと12m程は()鉄塊(てっかい)の潜泳機は動き出した。慎重に動かさなければ駄目なのに怪しい動きを見せる。


一寸(ちょっと)待って! 誰が鉄の機体も動かしたの? と言うかチェロルは水流を操作したね!」

「チュバ」

「私も動かしたかったの!」

「怖いから()めてね。と言うかもう惰性で十分ね」


 懐中気灯の明かりは周り全体を照らす作りである(ため)、遠くを照らすのは不向きなのである。30m先を僅かにしか照らせないといっても、動かせば()ぐに着いてしまう距離に()る。


此方(こっち)で操作するからね!」

「チュバ」

「はーい」


 近付くと岩壁は右と左に抜けている。()まり目前に鋭角な壁が迫っている訳で、何方(どちら)に着けるか迷う(ところ)である。


「えーっと、リーファ様戻られた(おり)に目印に()る様、左に着けますね」

()うですね。()れが無難と思います」


 リーシャは潜泳機の機体を岩壁と平行にしてから寄せて行く。そして完全には密着せず少し隙間を空けて移動を停止した。


「[岩よ()()れ]っと問題無さそうね。[岩よ()()れ]」


 前方部を覆っている六角多孔(ろっかくたこう)(つく)られた岩と岩壁の間に新たに岩が繋がれがっしりと固定される。そして後方部も同じように岩で繋ぎ完全に岩壁と固定された。


「取り()えず壁に固定したけど、場所が決まれば其処(そこ)に移動して固定し直すね」

「ほーい!」


 飛翔板が()れば()ぐにでも()び立ち良さげな場所探しに出る(ところ)だが、()うもいかずリーシャは(ただ)、岩壁に手を当て気を流して岩の周りを調べる。

 チェロルは水面に手を刺し入れ同じく気を流して水中の周囲を探り始める。そしてマギーは……。


「敵意です。此方(こちら)を餌と認識した様ですね」

「北西30m位(ぐらい)先で速度を上げ始めたよ! 薄く水を支配してるのかな? 私に任せて! メルペイク()の形で鉄を創って!」


「[砂鉄よ()()れ]」


 ()れは三角針を槍程に大きくしたものだった。()(つか)の途中には2箇所程、風車や竹とんぼの様な羽が3枚斜めにちんまりと付いていた。


「よし! 行けー!」


 チェロルが手を離すと()れは「ちゃぽん」と少し水を()ね、()(さま)水中へと沈み行く。チェロルは()れに水流を当て此方(こちら)へ近付く何ものかに向けて押し流す。

 水の流れを受けて進み出した大きな三角針は6枚の斜めに付けられた羽板に()ってくるくる回転し始める。勿論、鉄自体にもチェロルの御業で気力が流され剛性と推進力が加わている。


「ジュゴゴゴゴゴゴ」


 魔落の巨大泥鰌(どじょう)は近付くものを()けた(はず)だった。だが()れは()けた方に進路を変え進み出て巨大泥鰌(どじょう)に突き刺さる。

 お互い速度が()ると行っても水中の事、空中に比べると()れ程速くもないし威力も落ちる。だが()の分操作が容易(たやす)く気の繋がりを保ち(やす)い。

 大きな三角針は高速回転し(なが)ら魔落泥鰌(どじょう)の周りに張られた気力の防壁を()き消して、チェロルの水流を受け取り続け突き刺さっても(なお)回り続ける凶悪な武器だった。


 リーシャもマギーもメルペイクすらどん引きである。



---

修正記録 2017-05-05 19:16


穴子 → 泥鰌(どじょう)

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