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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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67経緯(いきさつ)

 階段の方から飛翔板で風を切って降りてくる音がする。一瞬リーシャたちは臨戦態勢を()るが、()ぐにリーファ様が腕で抑える合図を()り示す。

 階段の出口からゆっくりと、そして次々と現れたのは5名の小隊、皇太后陛下の近衛騎士たちである。リーファ様がもうそんな時刻かと若干(にが)い顔いに()るのは仕方が無い。


「上の派出所や石祠(せきし)を囲う建物にも誰も居ませんでしたから、勝手(なが)ら上がらせて(もら)いました」


「おっと、悪いな。予想より大分時を費やしてしまった様だな。ん? (ひよっこ)が一匹混じってるじゃないの」


「ええ、()けば此方(こちら)の派出所担当の子たちと選択授業が幾つか同じだったそうですし、リーファ様も存じ上げている様でしたので。まあ放って置いても勝手に彷徨(うろつ)きそうですし、使い走りには丁度よいかと選抜(いた)しました。何だか忙しそうね、リルミール、貴女(あなた)此処(ここ)までで良いから上の派出所で留守番をしておきなさい」


「了解!」


「あー、分かった分かった。取り()えず聖堂管理の通路(まで)案内するから付いて来てくれ。飛翔板に乗っているのは……ティロット、ベイミィは一緒に、後のものは引き続きチェロルの作業を手伝って()ってくれ」


「了解!」×6

「ぴやぁ」

「チュバ!?」


 見()れば(かわうそ)(もど)きのバルパルが水面からちょっこりと顔を出している。若干メルペイクを物欲しげに眺めているが、此間(こないだ)の魔落魚は消化しきったのだろうか。


「丁度よい。彼処(あそこ)にやけに大きい(かわうそ)が居るだろう。(あれ)が神官長に飼われているというか此処(ここ)で放し飼いにされている従魔のバルパルだ。バルパル、済まないがメイリア神官長殿の所(まで)案内して()れないか?」


「びゃあ」


(いや)()れは()らないぞ。我らが一緒であれば此間(こないだ)みたいに魔落の(たぐ)いが襲ってくるやも知れんぞ」


「ぴゃっ」


「案内して()れるみたいだな」

()()(かわうそ)……あー、バルパルの言葉が分かりましたね?」

「何となく物欲しげだったからな?」

()くと言えば()の大きな固まり……造形物? は()此処迄(ここまで)運び込めましたね」

「まあ、バルパルを追い(なが)ら話そうか」

()うですね。皆、出発します」

「了解!」×3

「了解!」×2


--


(いや)、私達も最初は無理だと高を括って()たんだよな。それでも必ず通れるからと断固として()るから、それなら実際に試して無理だと納得させた方が早いと()ってな」


「隊長っ、水深12m下に60cm程の生物反応が!」


()れは小魚だ! それから、近衛騎士の皆さんが来る前に、さっさと終わらせようと行動を開始してしまったのだが失敗だったな。一切(つか)えずと()()りではあったが、とんとん拍子に進んでしまった。と言っても(あれ)はマギーさんの指示が的確だったって事が大きい要因だけどな」


「全員! 敵……「ドッボーーーォォン」ええっ!」

「隊長! 巨大魚が飛び上がりました!」


「前回と同じ繰り返しだが2.5m、まだ小さい方だな。それで、まあ、始めたら終われなく()ってしまって、視察が来る予定なのに栓をした(まま)では不味いからな」


「……成る程、それで留守番も置けずに()退()かす作業を急ぎ終わらせて下さった訳ですね。御蔭(おかげ)此方(こちら)(とどこお)りなく降りられました。()疲れ様でした。って? バルパルさん動きませんね」


「ふがっ!」

貴女方(あなたがた)動いてくれるなよ」


「シャーァァァアアア」


 遠くから徐々に近付く水の音。前方右半分が岩の壁で見えないが、何ものかが迫り来る事は(わか)る。

 そして()れが巨大な圧迫感を伴って壁の切れ目から、突然に現れるのである。前回に比べ30、40m程先と大分離れた距離を横切って行くのだが、知らぬものには十分迫力が()った様だ。

 近衛騎士たちは息を呑んで固まっているが、水面(みなも)を揺らす大きな波に飛翔板を上下に振られ我に返る。


「お、大きいですね」


「ああ、()の地底湖、(いや)、魔窟の主らしい。普段なら此方(こちら)に敵意も見向きもしないのだが、今回はバルパルが(くわ)えている魔落魚を狙ってくる恐れが()るからな」


「ぶふぅ」


 悪かったなと言わんばかりにバルパルはぷいと顔を(そむ)け、でかい(やつ)が居なく()ったのを確認すると再び進みだした。


此処迄(ここまで)が宮殿の森区画だと思われる。後は(ほぼ)真っ直ぐ行けば聖堂に繋がる道が見える、というか暗くて(わか)(にく)いが奥に見える壁の(くぼ)みが()れだ」


 階段の前、岸にメイリア神官長が仁王立ちしている。何やら(いかめ)しい雰囲気である。


「バルパル、()の魚を岸に置いて離れなさい」

「ぴやぁあ」


「[氷よ()()れ]」


 氷が魚? を瞬時に包み込む。バルパルが「ぴぃ」と小声を出すが神官長は気にしない。


「リーファ様、済みませんが()の魚を()の辺りで切って(もら)えますか?」

「ええ、構わない。よっと!」


 リーファ様が「ジャッ」と切り離すと胴体部分をぷかぷかと宙に浮かせてから言い放つ。


「バルパル、其方(そっち)の尻尾は食べて良いですよ」

「ぴゃあぁ」

「皆様、お騒がせ(いた)しました。どうぞ此方(こちら)へ」

「凍った(まま)(よろ)しいのですか?」

(あれ)(あれ)で嬉しいみたいですよ」


 確かに嬉しそうにペロペロと舐めている。魚? を半分取り上げられた事も忘れて。

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