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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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65何を創ってる?

 御業の建築は効率的だ。現場監督の後天御業【統率】に()る指示で建築作業を着々と進めて行く。

 建物に必要な材料は力自慢の身体強化系を持つ御業使いたちに次々と運び込まれて来る。【土】の御業使いが基礎用の穴を堀り【岩】の御業使いたちが基礎と()る岩を運び込んでは敷き詰める。【鉄】の御業使いが(かたわ)らに積み上げられた鉄の材料で建物の躯体(くたい)を構築して行き、()の端から【(すず)】の御業使いが同じく傍らに積み上げられた(すず)の材料で覆っていく。チェロルが目を輝かせ熱い視線を浴びせているが、()の作業に揺るぎ無く進めていくのである。

 気付けば、継ぎ目が一切見当たらない岩素材の外壁に覆われた立派な建物ができていた。横には第二騎士団の派出所がちんまりと建っている(ため)威厳(いげん)すら漂ってくるようであった。


「……早いな」

「はい、早かったです。(しか)し随分と急ぎ造られたのですね」

「仕方()るまいて、調査や管理を此方(こちら)に任せると拝命(たま)わったが、彼方(あちら)とて実地調査をしない訳には行かないからな」

「あ、はい」

()れに聖堂の方は今(まで)立ち入り禁止だった領域に()る地下通路へ、縦令(たとえ)宮殿の上位者とはいえ、近衛騎士がおいそれずかずかと立ち入るものでは無いのだからな。」

「ああ、()れも()うですね」

()()れば必然と此方(こちら)石祠(せきし)に通うことには()るが、……」

「目立ちますよね。皇太后陛下の近衛騎士が何をしているのかって」

「……今日のチェロルはやけに積極的なのだな」

「えっ!」


 リーシャがリーファ様に(うなが)されチェロルの声が聴こえる方を見てみれば、石祠(せきし)を囲う様に(そび)え立つ建物の工事に来ていたものの1人に声を掛けている。


()()うが嬢ちゃん、おいちゃん()う見えても高給取りの【(すず)】使いさん何だよ。嬢ちゃんのお小遣いぐらいじゃ、ちょっとだけでも大変な額に()っちまうんだよ」

「チェロルどうしたの?」

()の人がね! (すず)()う金属で鉄を覆うと錆び(にく)()るんだって! だから今、私が(つく)ってる鉄の部品を(すず)で覆って()れないかなって交渉してるんだよ!」

「ああ、手間を掛けるが()の子の言う通りにして()って()れ。賃金は上乗せして(もら)えるように伝えておく」

「は、はい侯爵様、(かしこ)まりました」


(よろ)しかったのですか?」

「うむ、タリス皇帝陛下やアリア殿下、ああ皇太后陛下からもだな。チェロルが何か(つく)り始めたら邪魔せず逆に手助けして()って欲しいと頼まれている」

「チェロルへの周りの待遇が度を越して良いと思って()ましたが、()んな(おそ)れ多い事に()って()りましたのですか?」

「はは、何を言っている。お前も同じだぞ飛翔板の改良者」

「は、はあ。()れも(おそ)れ多い事です。ああ又何か(つく)って()るようですね」


「おおー! 後、此方(こっち)(すず)で覆って下さいです!」

「チェロル! 塗料持って来たんだけど……要る?」


 気の()くティロットは今日も日課の訓練をしていると、チェロルが作業をして()るのを見咎(みとが)めて、塗料を用意して持ってきたのだ。決して暇だった訳では無い! 後ろ姿が寂しそうだ。


「ティロット、有難(ありがと)う! うん、要るよー! ()の後で上から塗装したら更に強そう!」

「チュバチチチ」


(なん)だか塗装も()る様だし手伝って来ます」

「ああ、行って御出(おい)で。(しか)し今度のは随分と大きい胴体だが、乗せる人数を増やす積りなのか……(あれ)は翼の部品か、やけに小さくないか……と言うか! 何処に鉄があんなに()ったのだ。あっ!」


 どうやら余分で持込んだ鉄を現場監督と交渉して、余るのであれば買い取る約束を取り付けて()た様だ。うん何時にも()して積極的だ、余程に心を奪われる事を()って()るのだろう。

 リーファ様は現場監督の(もと)へ行き、先程の【(すず)】使いへの追加賃金とチェロルの鉄購入代金を、全て自分へと請求するよう(ことづ)けていた。



「どうぞリーシャ様、()れが最後です」

「はいっと、(なん)とか日が暮れる前に塗り終わったね。アリア殿下の有難味(ありがたみ)が十分理解できた感じだよ」

「アリア殿下が塗装を()さるとあっと言う間に、終わらしてしまいますものね」


「チェロルー! ()何処(どこ)に片付けるの?」

石祠(せきし)の周りに置いておいて!」

「えっ! ()いの? 今日建てた凄い屋敷の中だよね」

「ああ、()いぞ。チェロルが(つく)るものは大方秘匿辞令ものに()りそうだからな。彼処(あそこ)の周りで作業して(もら)った方が此方(こちら)も都合が()い。()れから明日は早速、近衛騎士の選抜組が確認に来るから、宮殿(まで)道程(みちのり)を案内()る予定だ」

「あっ! リーファ様! 分かりました!」

「ん? 違うよ! 下で組み立てるんだよ!」

「何でっ!」

「何処でっ!」×3



---

修正記録 2017-05-02 10:28


皇太后 → 皇太后陛下


()()うが嬢ちゃん、おいちゃん()う見えても高給取りの【(すず)】使いさん何だよ。嬢ちゃんのお小遣いぐらいじゃ、ちょっとだけでも大変な額に()っちまうんだよ」追加


幾つかの句点と感嘆符を追加


全て自分へ → 全て自分へと

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