64偶然です。
リルミール・ハッシベルト子爵家令嬢。学園ではリーファ様が教導官として闘技を教えていた学徒たち、所謂皇族寄りの派閥に属する子供たちであり、リーシャたちの様に中立の態をとる文官派閥に属してい乍ら、少数であるが為に害も無かろうと御座なりに放り込まれた輩とは毛色が違うのである。ああ、髪色は緑色で短く切っているね。
序でにいうと近衛騎士や特殊任務に従事する事が決まっているものたちが、学ぶ為の学園は他にも存在する。其れはルトアニアや他の領だとて同じである。
リーシャたちから預かった武器類を帳面へ記録し仲間の近衛騎士見習い?たちと共に片付けていく、休みの日にご苦労なことであり本来なら此れも中央東区画の受付で行われる筈のものである。作業が終わる頃に急ぎ足で近付く近衛騎士の姿が見える。
「はぁはぁ、此方にいらっしゃいましたか、中央東の受付に出向きましたら空を翔んで行かれたとお聞きしたのでお探し致しておりました」
「ああ、悪い悪い迷惑を掛けたな此方で荷物を渡した方が帰りが楽だからな、其れに此の短時間で引き返して来れたのなら【遠話】か何かで連絡を受けたのだろう。行き帰り800mは有りそうな往復は時の無駄だからな、結果的には得をしたと思って許してくれ」
「はあ、此れでほんの少し前迄学徒たちの手本と為る教導官だったなんて、由々しき事態かもしれませんね。一体何の様な騎士たちに育ったのやら」
「ん? 教え子なら目の前に居るぞ。其処の見習い近衛騎士も同じくだな」
「今、与り知らない所で私の近衛騎士としての株が急落した気がするのだけれど、リーシャ様はどう思われます?」
「お、御気の毒様?」
「其方はマリオンね貴女も相変わらず大変そうね、改めまして私ミグネア皇太后陛下にお使えする近衛騎士団所属、親衛隊隊長ハンナ・フェスバーンです」
「初めまして、私第二騎士団所属、区画7-6小隊長リーシャ・グラダードと申します」
リーシャたちは次々と挨拶していく。勿論、チェロルもだ。
「は、初めまして、私右に同じくです。チェロル・バーカイマーと申します!」
「ふふ、良い子じゃない。チェロル・バーカイマー「ヒッ!」と言えば飛翔機を開発した子ね。色々と助かっていますよ。担当地域はちょっと東だけど粗真正面ですか、リーファ様は帰りに其方を経由為されると謂う訳ですね」
「まあ、其の様な処だな」
「隊長、準備が整いました」
「ではリーファ様、ご案内致します」
「頼みます」
リーファ様は皇太后陛下への挨拶もそこそこに、調査結果のあらましを説明し始める。其れは皇帝陛下の御即位の折に口伝されるらしき地底湖の事、地底湖の仮説云々の可能性の是非は扨措き極一部の選抜騎士に依り監視と管理が必要な事、現在に至っては聖堂の神官長位以外は知るものが居るかどうかすら怪しく為っている事をである。
「分かりました。其の件に就いては太上皇陛下に報告してみます。何方にせよトロスト大公にはあらましを伝えておかないといけませんね」
「はい、口伝が途絶えていようがいまいが此のリーシャンハイスを治める長なのですから」
「監視、管理に就いてですが後ろに控えている小隊の駐留地に、入り口の一つが在ると聴きました。此方での管理体制が整う迄の間、此の方たちに任せてはと考えていますがどうでしょう?」
「大変良き思し召しかと拝察致します。就きましては手落ちが在ってもいけませんので、私若しくは其処に控えるマリオンが定期的に相談や指導に当たりたいと存じ上げます」
「然うね、此の子たちに貴女たち精鋭騎士が付いているのなら、私は安心できます。第二騎士団には此方からも話を通しておきますから其の様に為さい。若し建物や道具が必要であれば此方が用意しますから遠慮なく云い伝え為さい。其れで宜しいですねハンナ」
「はい」
「重々の御配慮、有難く存じ上げます」
斯うしてリーシャたちが地底湖の監視と管理の一端を担う事と為った。
本来は新任の騎士たちに指導の大人が付いて定期的に簡単な任務を与える筈なのだが、何故かリーシャたちには其の割を食った大人が付かずに放置され、偶然に見付けた地下への階段から、必然的に指導員がリーファ様とマリオン先生と為ったのである。
全ては致し方ない事なのである。
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修正記録 2017-05-01 08:42
幾つかのルビを追加
こうして → 斯うして
任務お与える → 任務を与える
句点を追加




