表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
82/345

63南東宮殿

 仕方無い、リーファ調査隊の一行は(かわうそ)(もど)(あらため)バルパルを、飛翔板4枚を横に並べてから載せて運んだ。幸いにも此処(ここ)の階段や廊下も幅広く造ってある御蔭(おかげ)で問題なく通れ、廊下の更に置くに()る扉の無い吹き通しの部屋へと運び込むことができたようである。

 バルパルお気に入りの寝床と()う木を組んだ台座の様な所に載せ替えると、ぐたりと首をだらけさせて「ぴやぁ」と一声発した後はすうすうと寝息を立て始めた。


「後は放って置けば勝手に回復するだろう」

「お手数をかけて(いただ)いて感謝(いた)します」

(いや)此方(こちら)()の子には世話になっているから構わないよ。では戻るぞ」

「ひゃっ!」


 リーファ様はニヘラと緩んだ顔をしたチェロルを立たせ(なが)ら皆に声を掛ける。


「了解」×5


「あっ、ちょっと待って下さい。()の板、飛翔板って(やつ)だよね。前から気になっていたんだけど、()れって私にも教えて(いただ)けるものなのですか?」


()うですね……。現在の(ところ)()の飛翔板は帝国でもラギストアとルトアニアに属する騎士たちだけに伝授を許されていますが、メイリア神官長殿であれば皇太后陛下に御許可を(いただ)き、()の事を皇帝陛下へ伝達さえしておけば問題無くお教えできると思います。(よろ)しければ今日の御報告の(おり)に皇太后陛下へ御上申しておきますが?」


「はい、(よろ)しくお願いします。重ね重ねお手間を取らせてしまい恐縮に(ぞん)じます」


「ははは、まあ、此方(こちら)も迷惑を掛けたからな。()れに()ういっちゃ(はばか)れるが(つい)でだ。では皆、今度こそ戻るぞ」

「了解」×4

「ひゃっ!」


 リーファ様は再びチェロル引き起こし号令を掛ける。皆準備はできている(ため)、撤収も早い其々(それぞれ)の飛翔板を手に持ち廊下へ次々と出ていく、手ぶらのティロットも後ろ髪惹かれるチェロルと()の飛翔板を抱えて出ていく。流石は【強肩】持ちである。


--


 リーファ調査隊の一行が石祠(せきし)を封鎖した石塀(いしべい)から次々と飛び出してくる。皆が戻ったことに気が付いたマギーは様子を(うかが)いに派出所から出てきた。


「マギーさん唯今(ただいま)無事戻ったのだが、()れから()ぐに宮殿へ皆を連れて向かう事に()った。引き続き留守番の方を頼む」

(かしこ)まりました」


 勿論、馬車なんぞ置いてきたリーファ様とマリオン先生の二人である。飛翔板で()(まま)乗り付ける心積りだ。



 宮殿を取囲む森、()れを更に囲むのが城壁である。高さ22m幅25mの建造物が南北に1950m東西に1550mの距離で四方に囲っているのだから途方もない大きさである。

 ()の城壁の中は普段から騎士が警備の駐屯として使ったり、訓練場などの施設を置いたりしている。常駐している騎士は主に第一騎士団であるが、皇太后陛下が住まう南東区画だけは近衛騎士団のみである。

 城壁が貴族街の区画間際にでんと建っている訳ではなく、25m程の距離を空けているのである。但、道としては非常に便利そうであるのだが、不審なものが近付かない様に見張っているのに人が往来されては判断が付かない。()(ため)、剣を持って警備する騎士たちのみが巡回し通る事を許されている。


 勿論、()の大通りはリーシャたちが(まか)されている派出所の土地に、接してはいるが区画外である。

 そして、リーファ様は飛翔板を()り堂々と侵入禁止の区画へと()び去って行く。慌てて後に続くものたちは一様に顔は引き()り血の気は失せ唯々(ただただ)居た(たま)れない(ばかり)であった。

 (ただ)、城壁を直接越えて行かず宮殿の東門へ向かっているだけ増しだと()えよう。



 (いや)、本来なら中央東区画の受付で迎えが来るまで待機し、先導役と徒歩で目的地(まで)向かうのが一般的な慣例なのだが、リーファ様は受付に降りて要件だけ述べて()ぐ様南の宮殿へと飛び去ったのである。

 そして、降り立ったのは南東区画の皇太后陛下が住まう中央宮殿の真正面、隣に()る近衛騎士団の騎士たちが住まう宿舎から慌てて人が出てくる。素早くチェロルがティロットの後ろに隠れ身を潜める。(ちな)みに以前来た離宮は更に南に()るのだが、まあどうでも良い。


「こ、困りますリーファ様、迎えが来るまで待って頂かないと」

「ハハハ、毎度のことだ慣れろ! 武器と飛翔板を預かってくれ、皇太后陛下にお目通り願う」

(わか)りましたから、ちゃんと手続きが済むまで此処(ここ)でお待ち下さいね!」


 帰りは直接壁を越えて帰れば楽だろうとの思惑が透けて見える。わらわらと宿舎から出てきた騎士たちに武器や飛翔板を渡していく。()の辺りも見越していたのだろう。


「はい、武器を預からせて(もら)います……ってリーシャ様?」

「えっ? あらリルミール様って近衛騎士様に()られたのですか?」

(いや)()だ見習いよ。普段は城壁で訓練か警備をしているの。今日は休みで宿舎に居たんだけど急に呼び出しが掛かって出てきた所よ」

「へ、へー……、()れは災難だったよね。はい()の長刀と剣が刃物で後は籠手(こて)飛礫(つぶて)ね。靴は後で()いかな」

「……多いわね。うん靴は後で()いよ。なんか怪しい言動ね、今日はどうしたの?」

「あー……余り気軽にしゃべれない事が多いな。まあ、取り()えずリーファ様が拝命されていた件について皇太后陛下へ御報告に来たのです」

「ふうん、……籠手(こて)飛礫(つぶて)とリーシャ様はリーファ様付きに為ったの?」

否々(いやいや)、城壁の向かいに()る貴族街の派出所勤務ですよ」

「向かいって、()の無駄に広い敷地にぽつんと建物が建ってる所?」

「う、うん、(なん)か酷くない?」

「まあまあ、()れにしても良いこと()いたわ」



---

修正記録 2017-04-30 10:39


運び込むことができた → 運び込むことができたようである


「--」追加


幾つかの改行を追加


「リーファ様とマリオン先生の」追加


増しだといえよう → 増しだと()えよう


一般的なのだが、 → 一般的な慣例なのだが、


ルビを追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ