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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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61語りすぎ

 横穴に入って直ぐには階段が()る。()れをどう上がるのかと見守っていると、(かわうそ)(もど)きは四つ()いに()って階段を登り始めた。

 (いや)、2本足と尻尾で歩いていたの意味ないよね? 少しがっかり感は(いな)めないが、リーファ調査隊の一行は魚の横たわる岸と、横穴を挟んで反対側に飛翔板を置き一列並びに戻ってから、(かわうそ)(もど)きに付いて階段を上って行く。


 階段を少し(のぼ)ると廊下の様に真っすぐ伸びた通路が見える。

 (かわうそ)(もど)きは再び立ち上がると、ちょこまかと()の廊下の半ば(まで)歩み寄り、(おもむろ)に右側の壁をトントンと叩くのである。


 ()の行動に意味はないと思っていた一行は、()れに応える人の声に再び警戒を固め息を呑む。(いや)くぐもって()るが聞き覚えの()る女性の声だったからだ。


「はいはい、ちょっと待ってね。バルパルちゃんと食事してきたの? 又懲りずにでかい奴追っかけていたんじゃないでしょうね?」

「[岩よ()から()ね]」


 壁と思っていた場所の一部が消え去り、現れたのはスラリと背が高く中性的な面立ちの神官服を着た灰色髪の人物。


「あら、()れは珍しいお客様ね。お久しぶりですリーファ・アルドラデ侯爵。確か今は教導官を()されていると伺っておりましたが?」

「ええ、お久しぶりですね。メイリア・ティオテライトス神官長殿、教導官は一時的に皇族の御方を指導させて(いただ)(ため)、拝命していただけですよ。さて、色々お尋ねをしたいのですが(よろ)しいでしょうか?」

「はい、構いませんよ此処(ここ)では(なん)ですから、どうぞ中にお入り下さいませ。バルパルは……食事の途中、()だって事かしら? ()いわ、案内してくれたのね行ってらっしゃい」


 岩の扉を開けた(まま)、といっても閉められても困るが、メイリア神官長はすたすたと部屋の奥へと歩いていく。リーファ様は一行の皆に振り向くとこくりと(うなず)()の後を付いて中へ入って行く、皆も(うなず)き後を追って部屋の中へ入って行った。

 部屋の中は書棚や文字の書かれた木板、石板の(たぐい)所狭(ところせま)しと置かれている。中には歴史的価値の()りそうな儀式用の様々な道具まで積み上げられている。


「どうぞ皆様、其方(そちら)へお掛け下さいませ。遠慮なさらずに」

「座りなさい、じっくり()かせて(もら)う積りだ」


 皆直ぐには座らずに、リーファ様の指示を待っていたのだ。騎士として来ているのだから相手に(うなが)されたからと言って、易々(やすやす)と戦闘態勢を解除するわけには行かないのである。


「さてさて何が()きたいのかしら?」

()ず、()の部屋は皇帝陛下の許可を取って(こしら)えたものなのですか?」

「はい、と言っても大昔と付け加えないといけませんがね。見て(いただ)いて()かる通り、おいそれと口外できぬ事柄です。本来なら皇帝陛下の(がわ)でも代々継承が()されている(はず)ですが、(これ)(おい)ては此方(こちら)(あずか)り知らぬことです」


 リーファ様が渋い面持ちになるの仕方無かろう。相手は正論であり、事、皇帝陛下の継承で何代まで(さかのぼ)って正しく継承されてきたかなど調べようが無い。

 ()してや此度(こたび)のタリス皇帝陛下の御即位は、遷都(せんと)が前提で行われている。言わば他国である。()えて継承されていない可能性もあるのだ。そして()の地下調査の件を(うかが)い御許可を(いただ)いたのは皇太后陛下なのである。


()かりました。次に()の地底湖は何処(どこ)までの人物が知り()ているのですか?」

「私と先代の宮殿付き神官長は全容を知っています。神官長補佐は地下通路の存在(まで)は知っていても入ることは(ゆる)されていません。聖堂の神官長を務めるものは(ただ)石祠(せきし)の一部が地底湖に繋がっている事だけを知識として知り、(これ)は秘匿事項であり関連する事を()くものが()れば禁令に触れる事のみを伝え秘匿とし、後に宮殿付き神官を通して宮殿へ()の秘匿を知りしもの、調べしものを連絡する任を命じられています。武官、文官に()いては私どもの(あずか)り知る事では無いのでご容赦をお願いしますね」


 リーシャたちは息を呑む。下手に聖堂の神官へ石祠(せきし)の事を尋ねていれば、最悪の場合は秘匿物件を調べしものとして通報され拘束されていたかも知れないのだ。

 そして今話されている内容は明らかに自分たちが()いてはならない秘匿事項なのである。


「……石祠(せきし)の一部ですか?」

「はい、()の地底湖がリーシャンハイス全てに広がっている訳ではありませんからね。多くは(ただ)、大地の神レクトーワ様を(まつ)り、()の地を守って(いただ)(ため)のみに建てられています。我々は(これ)を目的に各区画へ建てたのですが、昔の皇帝陛下は()れを利用したのでしょうね」

「成る程、ああ、()の地底湖の地図と繋がった石祠(せきし)(わか)る資料は()りますか?」

石祠(せきし)は確か……」

「ああ、探さないで()いです。此方(こちら)で保管されているか確認したかっただけなので」

「全ての石祠(せきし)の位置と地下への繋がりを示す資料は保管してありますが、地底湖の地図は在りません。多分、()れは抜け道として使う(ため)に知らされなかったのでしょう。(ただ)、どうやら()の地底湖は魔窟と()った様なので、管理する必要性ができてしまいまして、【聖歌】の練習がてら個人的に作ったものなら()りますよ」

「魔窟ですか……」


 事態の不穏さに頭を抱えるリーファ様の傍らで、ある程度予想はしていても完全に()いてはならない話しの連発にアワアワと狼狽え取り乱すリーシャたち。


「ちょっと、チェロル! 痛いから余りしがみつかないで下さいませ」

「リーシャ様!、先程から立場上()いてはいけない話しが続いているようですけど私達大丈夫なのですか?」

「うん、余り良くないかも……」

「皆さん静かにして下さいね。今リーファ様が大事なお話し中ですよ」



---

修正記録 2017-04-28 06:28


「くぐもって()るが」追加


「灰色髪の」追加


色々お尋ねしても(よろ)しいでしょうか? → 色々お尋ねをしたいのですが(よろ)しいでしょうか?


ルビの追加と修正


指示を待つ → 指示を待っていたのだ


行かないのだ。 → 行かないのである。



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