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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
78/345

59騎士としての姿

 リーシャたちがのさばる派出所の土地は、大きさ約100m四方と結構広い。本来は4等分した土地で貴族中位の屋敷を構えるのだから、()の無駄な広さも分かって(もら)えるだろう。

 勿論(もちろん)(ただ)広い訳ではなく緊急時には、100名からの部隊を集め編成していく場所となるのだ。


 さて、ティロットが切って捨てたといえば語弊があるが、()の場所は派出所の裏手から北西に少し進んだ所、表通りから20m程の距離にある。

 リーシャたちは其処(そこ)から階段を緩やかに弧を(えが)きながら降りて行ったのだが、一回り130mぐらいを3周程回って地底湖へと辿(たど)り着いた訳だ。距離感も方向感覚も狂ってしまって当然といえるだろう。


「リーファ様」

「うん、マリオン止まって頂戴(ちょうだい)


 リーファ様はすうーと飛翔板を前へ進めながら、右腕を軽く斜めに上げ手の平で抑える形の合図を()り、マリオンに停止を(うなが)す声を掛ける。(おの)ずと皆待機の(てい)()る。

 指示を受けたマリオンは警戒しつつ波音を立てずに飛翔板へ制動を掛け、()(まま)の姿勢で警戒体勢を解かず静かに応える。


如何(いかが)()さいましたか?」

「危険は無いと思うけど気になってね。少し行った先の水中に生物が居るようだな」

「生物ですか、でしたら外と繋がっている……魔落ですか?」

(いや)()れにしては小さい。魔落ならもっと大きく()(はず)だ。()()の鳥の様に丸々……(太とった)(いや)、立派に成長している(はず)だからな」


 リーファは空気くらい読めるのだ。伊達に侯爵貴族様では無いのだから。


「元から小さな生物だったという可能性は無いでしょうか? ()れに()の魔気の濃さです。数年経たなくてもメルペイクの例で言えば、()()る事とも視野に入れてはと」

「ふむ、確かに()れは()()ると認めよう。だが私は別のことが気になっていてな。()()に捕食者が存在するのでは、()まり魔落と()る前に()しくは()った後に食して数を減らしているものが居るのでは無いかと考えている」

「おおー!」


 何故かティロットの鼻息が荒くなり、目がきらきらと光っている様にさえ感じる。


「……まあ、何方(どちら)にしても注意が必要と()う事だ!」

「了解!」×5

「リーシャは前方の水中を、チェロルは左右を、私は後方の水中に注意を払う。ベイミィは……では前進を再開しよう」


 ベイミィはリーファ様の目で訴える意を()みこくりと(うなず)き、()れに納得したリーファ様も(うなず)き返した。


 階段の穴から200mは進んだくらいだろうか、前方に壁らしきものが見える。右手を軽く上げ手の平を見せる。先頭のマリオンから停止の合図だ。


「前方に壁らしきものを確認しました。進んだ距離から考えて此処(ここ)は既に宮殿の区画を囲む城壁か……()れを越えて森に入った付近だと予測します」

「私も同じ意見だ、此処(ここ)で地底湖が終わりであってくれれば有難(ありがた)いのだがな」

「森ですか……()いても(よろ)しいでしょうか?」

「ん、構わんぞ。宮殿区画を囲む城壁の向こうには森が広がっているのだ。皇族の方々は一部(姫様)を除いて気軽に外出などできないからな、庭園や森を散策して運動がてら御心(おこころ)を御鎮めに()られるのだよ」

「皇族様方も色々と大変なんだね!」

「チェロル()れは不敬ですわよ」

「ははは、まあ面と向かっては言わない方が得策かな」

「城壁の向こうは森だったのですか、上空から緑が多いとは感じていたのですが。お答え(いただ)き感謝します」

如何(どう)(いた)しまして。では皆、此処(ここ)で待機してマリオン先行偵察」

「了解」×5


 リーファ様は又もや軽く手を上げ手の平で抑える仕草(合図)をした後、独特の返しで人差し指を立て直ぐにくるりと前を指す。

 全て指示の声に合わせて()されるのが、否応無しに理解させられる。()れは手本であり合図の意味を理解しやすい様に振る舞っており、自分たちが揃った行動が()れる様に【統率】されている()の感覚が御業だと。


 環境が変わる時に全員で向かう事はしない。こういっては何だが1人を犠牲にして確認を取る。()れは生死の場に身を置くものたちの常識といえる。

 実際は、唯単に全員で行っても引き返すなら無駄なだけで意味がないからというだけかも知れないが。


 マリオンが右手を上げ全ての指を伸ばした状態で、斜め右前に倒し水平位置でぴたりと止める。


「マリオンに従って斜め前進」


 リーファ様の指示が掛けられ全員が動き出す。壁は斜めに進めた様で()(まま)進むと再び開けた場所に出た。再び西への指示に従って進めば、今度は右から左前へと抜ける壁が現れる。


「予想だとそろそろ宮殿の本区画に入ります」

()れも又同意見だ。此処迄(ここまで)繋がっていると()ると、余り(よろ)しく無いな……ん?」


 リーファ様は無言の(まま)(ただ)、手で待機の指示をだしマリオンと前に進み出す。


「ふがっ!」


 勿論、ベイミィが素早くティロットを抑え込んだのだ。



---

修正記録 2017-04-26 08:28


腕を軽く斜めに → 右腕を軽く斜めに


(おの)ずと皆待機の(てい)()る。」追加


ルビを追加


統率 → 【統率】

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