57石祠
「あー……祠らしき岩を切ったか。ティロットちゃんは凄いなぁ」
「えへへ」
「父様褒めてどうするのですか!」
「ハハハそうだな。彼は聖堂の管轄だな」
「聖堂が管理している石祠が派出所に在ったのですか?」
「他の派出所に必ずしも在る訳ではない筈だよ。調べてみると良い」
「はい、父様。其れで直すことになり、崩れた破片を一先ず避けてみれば、其処に地下へと降りる階段が在ったのです」
「ああ、石祠は全て相当古いもので感覚としては遺跡に近い。大体聖堂の建つ土地や民間の避難所として設けられている土地に在ったと記憶しているよ。避難所の土地は他の利用を禁止した区画だね」
「一応、安全確認の為に階段の調査をした処、400m程階段を降りていった場所に地下空洞が在る様でした。空洞の規模は調べていませんが、中は一面が大量の水で覆われていると御業で感じました。此の事は騎士団に連絡した方が宜しいのでしょうか?」
「難しい問題だね。多分、第二騎士団では与り知らぬ話だろう。ああ……其の階段は何の方向に……真っ直ぐだったかい?」
「降りしなは宮殿の区画へ向かって降りていましたが、僅かに螺旋を描く形で曲がっていましたよ」
「ううん、取り敢えず問題は無さそうだね。此れは聖堂や第二騎士団より、直接第一騎士団か宮殿に連絡して判断を仰ぐ方が良いな」
「何故でしょうか?」
「もし其の地下空洞が宮殿の区画に迄広がっているのだとたら、此の案件は第一騎士団の与りとなるんだよ。場合によっては秘匿辞令が出される可能性も在るからね」
「然うですね。判りました」
「此の件については私から上申報告しておくので、念の為に其の周りだけ封鎖しておいておくれ」
次の日には早々とリーシャの父様ことガルトア・グラダードに頼まれた、石祠を石塀で囲み簡易の封鎖をしたり、他の派出所に祠らしきものが無いかを確認したりと、遣れる用事を全て済ませた後は、特に変わらぬ派出所任務を過ごし2日が経った。
相変わらず妙に威厳高く格好付けたティロットを先頭に朝の巡回から戻ると、派出所の中にリーファ元教導官とマリオン先生が居た。
「御前たち元気にしてたかい。巡回中の札はちゃんと確認して勝手に上がらせて貰った」
「ライチェさんが居たので中に入れて頂いたのだよ。先程お茶も頂いてゆっくり待たせて貰っていた処だよ」
「お久しぶりですリーファ様、マリオン先生。皆、息災にしていました。今日はどういったご用件でしょうか?」
リーシャが代表して挨拶をし後のものは礼に止める。勿論先程の言はリーファ様の意味不明な……ではなく騎士団の派出所に別系統の侍女を置いて、其の侍女の判断で建物に入れたと要らぬ茶々を入れさせない為だ。伊達に侯爵貴族様では無かったらしい。
「ああ、石祠の件で調査に来たんだよ」
「あれ、第一騎士団か宮殿に連絡を入れるという旨を聞いていたのですが、リーファ様自ら御出座しになられたのですね」
「然うだ、マリオン経由で上げられた報告書を、面白そうなので私が差し止めた!」
「運悪く暇に飽かして居着かれていたんだよ」
「うん、其の目! 良いよ。悪い大人を見てこうなると駄目だという見本を、敢えて私が実践しているんだ! まあ冗談は此のくらいにして、早速探検……調査に行こうか」
「じゃあ悪いけどマギーとメルペイクは留守番を頼めるかな?」
「お任せ下さいまし」
「チィチィ」
マギーが素直に留守番を受けたのはマリオン先生が居るからだ。というかリーファ様は子守をさせる積り半分で、マリオン先生を連れてきたのである。
「若しかして飛翔板で御二方は来られましたのですか?」
「勿論、リーシャに創って貰った飛翔板は日々愛用しているからな」
「リーシャが考案した飛翔板の恩恵は私も受けさせて貰ったよ。正直馬車が不便に思えて手放したいぐらいだよ」
「喜んで頂ければ私も嬉しい限りですが、服装に依っては馬車も必要ですよ」
「然う言えばマリオンの服は戦闘を念頭に置いた服許りだな……『そんな事だから未だに昔を知る騎士たちに恐れられているのだ』。さて、先導をティロット2番手が私でリーシャ、チェロル、ベイミィ、ときて殿がマリオンだな」
「了解」×5
「宜しい、ではマギーさん若し夕刻前に為っても戻らない様であれば、此の親書を宮殿東門に届けてくれ」
「畏まりました」
宮殿東門は隣の区画の中間だマギーなら数分で着く距離にある。
「ティロットは慎重に進みなさいよ。狭い通路を飛翔板で進むのだから責任重大ですわ」
「任して、魔落が襲ってきたら一刀両断だよ!」
ベイミィに留意を促され、何故か別の妄想に鼻息荒いティロット。
「其れから階段の終わりで一旦止まって、先頭をマリオンに変える。最後尾は私だ!」
「えっ!」
「順当ですわよ。ティロット」
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修正記録 2017-04-24 10:11
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服装にに依っては → 服装に依っては




