55騎士の仕事
アリア・ラギストア・ルトアニア殿下は学徒時代に数々の功績……えーっと、詰まり六角多孔飛翔板の開発者に素材の便宜や提供といった支援をして、著しい発展を遂げる協力をしたり、飛翔機の開発時に重量配分や空力技術の相談、果ては空気推進機関の開発に尽力し、其の技術を飛翔機と組み合わせる事で、飛躍的発展を遂げたりと、……ああ、他にも蔭では皇帝陛下が御即位為される折りに併せて飛翔板や飛翔機の登場を演出したり、幾つかの御業の特性を研究所へ流したりと、ええ、色々立派なたちま……功績ですね。
はい戻して、功績や武闘大会の優勝といった華々しい成績を残し、生まれ持った高い資質も含め皇位継承権の最上位へと位置づけられた。
此の為と云う訳ではないが、兄カルロスと同じく皇位継承者としての必要な教育課程を受けるべくルトアニア領へ戻った。
又、ルグス・グランストア殿下は、現在で11年間赴任している叔父のクワトロ・ハイリストア公爵の許に、次期交代役として執政を学ぶ為、バグルス直轄領首都アルトレイスへと赴任した。
リーシャたちは第二騎士団に所属して1週間が経つ。其れこそ最初の日は騎士団本部へと挨拶に行って、入団の意志や紹介状を渡し、護衛兼付き添いのマギーも一緒で構わないという話になり、各種手続きに右往左往としたものだった。
今5人は第二騎士団の派出所で休憩を取っている。騎士としての主な日課は朝昼晩の3回だけ担当区画を巡回する事、其れ以外は派出所で待機して駆け込み等に対処する事、一日の締め括りで日誌を書いて夜勤と交代するである。
然う、暇なのだ。此の派出所自体が貴族街の文官派閥が多い地区に在るのだから、安全で閑静で自邸を出て直ぐに着く。専ら建物裏で武技の訓練をしているぐらいである。
抑リーシャたちは13歳なのだ。本来なら指導員として割りを食った大人を付け、安全な任務を選別して当たらなければならない。マギーの様に護衛(保護者)を一緒に入団させるのはよく在ることなのだろうか?
お茶やお菓子を用意してくれるのはチェロルの侍女アイラさんだ。侍女たちが交代で来てくれている。マギーが居るから大丈夫ではと云えれば、「今は騎士様ですからとんでもないことです」と彼女達にも守らなければ為らない矜持があるようだった。
「リーシャ小隊長、此の後も引き続きメルペイク護衛官と共に飛翔機の整備に当っても宜しいでしょうか!」
「チュイ」
チェロルが今日も機嫌よく朝から飛翔機の整備を行っている。支給されている訳じゃなく私物である。しかも2人乗りの大型を新たに制作してアイラさんと乗って来ているのだ。
騎士団としても未だ配備が行き届いていない貴重な飛翔機だから、反対する理由もない。というか、機体に付いている皇帝陛下が自ら印した飛翔認可を示す模様を見て、口を出せるものは少ない。
メルペイク護衛官は学園で出した護衛としての手続きに使った書類を、其の儘出したら認可が下りてしまった。能く能く考えてみると審査するのは身内だった。書類仕事なのである。
「許可します」
逐一上官に許可を貰う。此れさえ徹底されていれば問題ない。
「聞きました? 以前、ルトアニアに向かいしな見つけた鉄鉱山、本格的な採掘が始まったそうですわよ。お父様の話では近々報奨金の査定額も算出されると仰っていましたわ」
「おー、然う言えば、其のような事も在ったよね!」
「今初めて聞いた、メルペイクが見つけてくれたのだよね。マギー今日は好物のご飯にしてあげよう」
「其のように致します」
「チュン」
「何だか此の2人の反応薄いわね。此れだから子供に報奨金を与えすぎるのは良くないのよね。今度アリア殿下にお会いしたら、うちの2人が駄目な子に為ったと苦言を申し伝えないと。ねぇティロット、……って貴女もう一週間経っているのだから、其のにやけた顔を引き締めなさいませ」
「えっ! ええ、然うですか? 私は騎士として何時如何なる場でも毅然として……」
「はいはい」
ベイミィはお喋りできる環境が水を得た魚のように宜しいようだ。
派出所は貴族街の広い区画にちんまりとだが2階建て屋上付きで建っており、屋上は専らチェロルの飛翔機が専有している。
此処が現在の自由に屈託無い笑顔を見せる小さな城なのだ。未だ未だ立派な騎士様は遠い気がする。
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修正記録 2017-04-24 17:30
ルビを追加
「リーシャやティロットから訊き出して」追加
云えれば → 伝えれば
下りてしまった。能く能く → 下りてしまったのだ。能く能く
「 派出所は貴族街の広い区画にちんまりとだが2階建て屋上付きで建っており、屋上は専らチェロルの飛翔機が専有している。
此処が現在の自由に屈託無い笑顔を見せる小さな城なのだ。未だ未だ立派な騎士様は遠い気がする。」追加




