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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
71/345

52騎馬

 休み空け、騎馬の授業は朝から始まる。学徒たちは乗馬用の衣服に身を整え、普通に(ふもと)へと降りるのだろうと思っていた。

 だが実際には、学徒たちが其々(それぞれ)に創意工夫した飛翔板に乗り、(ふもと)の牧場へと()け降りて行くのだ。勿論、今でも飛翔板は秘匿事項の枠であり限られたものたちにしか、製法や飛翔理論は伝えられていない。

 ()う、限られたものたちには教えているのである。(さら)には選抜戦以降から破竹の勢いで勝ち進む、クラウト・デンバンサーに()って喧伝(けんでん)されてしまったのである。

 他領の子息令嬢たちは見様見真似(みようみまね)では()るが、()れを(なん)とか作り上げ乗り(こな)そうとしている。

 だが、やはり重量は数倍で普通の岩や水晶ですら65kg前後は()りそうだ。人は()れを見ただけでは理解できぬものである。

 木が水に浮く事は経験則から水より軽いからと理解できても、船が浮く構造理論までは考え至らない。彼らには木が水に浮く事実で十分なのだ。

 ()してや、古い書物を収めた図書館は一般には開放されていない。(あれ)は特別な資格を持つものだけが入れるのだから。


 ただ、薄く平たく伸ばして幾分軽量化に成功した岩板や鉄板で()ぶ行為は、()ぐにでも危険行為として禁止されるだろう。うん、刃物で()んじゃ駄目だよ。


「私達も飛翔板で降りましょうか」


 ベイミィの言葉を皮切りに其々(それぞれ)部屋へ戻り飛翔板を用意する。昨日はどうしたかって? 普通にエミリア様が到着するのを待つ間に(つく)ったようだね。

 ただ、リーシャはルトアニアで手に入れた磁器標本を参考に、鉄を含む精密磁器型六角多孔で(つく)って見たのだが、部屋へ戻りしな目を爛々(らんらん)と輝かせるチェロルにせしめられてしまった。

 此間(こないだ)メルペイクに軽量化と強度を兼ね揃えたものを(つく)って(もら)った上に、アリア殿下に塗装までして(いただ)いた一品が()るんじゃないのかと()いてみる。すると、(あれ)は流石に見るものに()っては風切り音などから構造を悟られてしまうので、おいそれと使えないし大切な収蔵品の一つだと(のたま)う。()う言えば部屋に飾ってあるなとリーシャは思い至ったようだ。


 馬たちは学園の(ふもと)にある牧場で飼われている。普段から乗馬は定期的に行っていたが、刃引きといえど刃物を馬上で振り回すことは今(まで)禁止されていた。刃物の扱いが(つたな)い学徒が自分で怪我する分には良いが、馬たちが怪我をする前提での訓練は()ての外と()うことらしい。


「ティロット様、待っていましたわ。ささ、私と打ち合い稽古を(いた)しましょう」

「あっ、……『ぐぬぬ何たることかティロットがアリア殿下に差し押さえられてしまった』」


 チェロルはベイミィと既に稽古を始めてしまっている。(いや)、先に動かれたのだ。リーシャはティロットと訓練をする心積もりだっただけに、反応が(やや)遅れてしまったのである。

 最近(まで)は御業を得た(ばか)りという事でティロットの調整の(ため)に遠慮していたのだろうが、リーシャの調整は御座(おざ)なりである。

 不本意では()るが御業を抑える制御を鍛えるのも(やぶさ)かで無い。()の様な意気込みを(かも)し出すリーシャと目が合い、嫌な予感を察してか顔を引き()らせるルグス殿下を確保して、馬上での打ち合い稽古を申し出るのであった。


 馬上のリーシャは長刀を斜め前に下ろし右手で挟み込む様に持つ、馬が駆け出しルグス殿下に近付くとスーと水平位置に(まで)持ち上げて固定する。

 ()う、()れはルグス殿下が剣技を(もっ)て、迫りくる長刀の(やいば)()らす訓練が主目的なのである。リーシャとしては長刀を固定する事で、其処(そこ)へどれだけ全ての力を伝えられるかが訓練の要点なのだ。

 まあ、慣れる(まで)ルグス殿下は吹っ飛ぶ訳で、無残である。

 昼前に()って(ようや)く、リーシャから繰り出される長刀に合わせて綺麗に()らす折を得たようで、長刀の(やいば)を跳ね上げた瞬間に決まった感を醸し出されるがリーシャは大人である。


「おめでとう御座(ござ)います。ルグス殿下」

「いえ、()れは(ひとえ)にリーシャ殿が投げ出さずに根気よく尽力して(もら)えたからこそです。感謝(いた)します」


 爽やかな笑顔で()(おっしゃ)るが、ずたぼろである。リーシャはまたアリア殿下経由で侍従の方から苦言を()くのだろうかと思わず苦笑いしてしまう。(いた)し方あるまい。


 昼に向かう前にチェロルたちに合流しようと当たりを見回すと、丁度ルグス殿下が飛翔板で飛び立とうとしていた。精密磁器型六角多孔の飛翔板である。【岩】か【土】系統の御業だろうかと見ていると、水を顕現させて浮かし昇っていくようだ。チェロルが()の前まで多用していた様式である。


()う、チェロルが見あ……何だか前にも()ったよね。ベイミィを探せば……居ない?」


 (いや)、馬が2頭向かい合っている。2頭? リーシャが目を凝らすと2騎に()った。人馬一体? の完成形だろうか。


「リーファ教導官、(あれ)所謂(いわゆる)人馬一体と()うものなのですか?」

「ん? (あれ)? 馬隠れの術じゃないの?」



---設定を入れ忘れてました。

修正記録 2017-04-19 13:06


「 ()してや、古い書物を収めた図書館は一般には開放されていない。(あれ)は特別な資格を持つものだけが入れるのだから。」追加

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