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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
70/345

51夕餉

 リーシャンハイスへ向かう帰路の飛翔機は、終始暴走気味のチェロルの話し声で埋め尽くされ、時折出てくる技術的提案や着想を、見掛けによらずといえば失礼だが何かと気の利くティロットが、小忠実(こまめ)に帳面へ(まと)めて整理した(のち)に、メアリーさんへ渡すと大変感謝されたそうだ。道理でやけにおとなしい(はず)である。


 リーシャは(ついで)だからとタリス皇帝陛下に頼まれて載せた荷物を下ろし、ベイミィ作の航行記録って(やつ)を、飛翔機の荷物下ろしの時に手伝って()れた騎士様へ渡して一息ついた。えっ、どんなもの書いたかって? 場所や高度に()って変わる蓄魔(ちくま)器の蓄積率の変化とか、写してはいけない詳細地図を元にした航路や地形の間違いを(つづ)ったりとか、脈略(みゃくりゃく)もなくただ色々と書き散らしたものなのだが、騎士様は読みものとして琴線(きんせん)に触れたのか真剣に読み(ふけ)っていた。


 離宮に皇帝専用と()った飛翔機を届け、()(まま)ミルストイ学園へ蜻蛉(とんぼ)返りすると思っていた一行は、食事をして行きなさいと夕餉(ゆうげ)に呼ばれた。寮の方は心配()りませんと、アリア殿下の侍女ラエルさんを経由して、リーシャたちの侍女には既に連絡済みだと()う話だ。何とも抜かりがない。


 振る舞われた料理は只々(ただただ)丁寧に調理したものだった。職人が趣味でやっているのかと思わせる様に一つ一つが小さな世界を作っている。小さめの皿に様々な料理が盛りつけられていた。

 汁が半ば(まで)()たされた(うつわ)に団子がでんと構えていて、上に乗った飾りらしき添え物と合わせて崩さぬように(かぶ)り付くと、中には肉と野菜と弾力質の何か(春雨)が口に広がる。

 小さな籠の様に竹で編まれた(うつわ)に紙が敷かれ、魚……ああ、今日運んだ奴だね……と葉と海苔を合わせて巻き込んで、衣で包から油で揚たものが輪切りになって鎮座している。勿論、横には野菜や茸の揚げ物も添えてあり、別の(うつわ)(そそ)がれた汁に漬けて食べるらしい。

 流石に生魚が出た時は皆が驚いた、ルトアニアの様な海に近い土地では新鮮なうちに食べられていると()う。恐る恐る(かじ)り付いてみると、少し弾力が()るものの()ぐ歯切れて口に(うっす)らとした甘みが溶け込み濃い漬け汁と絡み合って初めての感覚が広がる様だ。


 まあ()まり()の様な3口で食べられそうな料理が順を追って並べられていく。

 ティロットは生魚の料理が気に入ったようで、目が爛々(らんらん)と輝いていて垂れ下がる。(にこ)やかに味わいを()み締めていたが、盛ってある(うつわ)自体小さいのだから()ぐ無くなってしまう。


「ティロットちゃん刺し身を気に入って()れたのかなー。貴女(あなた)たちに運んでもらった食材はまだ()るかな……うん、()の子に追加してあげてねー」

「感謝(いた)します!」

()の食材は新鮮だと()うして生で食べられるのだよー。内陸では海の幸を新鮮な(まま)手に入れるのは難しいからねー。全ては貴女(あなた)たちの御蔭(おかげ)だよー」


 少し物足りなさそうな顔つきだったのがバレバレのようだ。タリス皇帝陛下はうんうんと(うなず)此方(こちら)も満足そうである。

 ティロットは、()の後も野菜を牛肉で包巻いた料理を御代(おかわ)りさせて(いただ)いていた。ああ、1人近衛騎士団訓練所の見学に行っていて、体を動かしていたからお腹が空いていたんだね。


 食後はタリス皇帝陛下から改めてお褒めの言葉を賜り4人は感謝を述べて()の場を辞した。メアリーさんは別席で食事を取っていたと()う。アリア殿下の前では、食事を取るよりも御世話をしたく()るから落ち着かないというのもあるけれど、()れが(つか)えるものの()り方なのだろう。


「え!」×4

「? 私も一緒に帰りますわよ?」

「いいえ、アリア殿下、護衛が少なすぎるのでは?」

「大丈夫ですわ! そろそろエミリアが到着しますし、既にルトアニア自治邸区に使いを出していますから間も無く親衛隊も駆け付けますわ。後はティロット様とリーシャ様、ベイミィ様が周りを固めれば完璧ですわね。()()う、チェロル様からの数々の提案は大変素晴らしいものでしたわ。ティロット様が(つづ)ったものを触りだけ見せて(もら)いましたが、(たし)かに暗がりでは色々と問題も起きましょう。簡易ですが先程離宮にあった懐中気灯をせ……(もら)ってきましたの。後日、蓄魔(ちくま)器に接続できる気灯を運ばせますわね」


 そしてリーシャは懐中気灯を照らして、飛翔板を駆り先導を行っている。勿論、空中だから前を照らしている訳じゃなく、後続が進むべき道を自ら示しているのである。

 エミリア様が誘導指示はリーシャが一番上手だと、意味の分からない褒め方をされて()の任を(つかまつ)ったのだ。まあ、半分【遠見】の御業も当てにしているのだろう。リーシャは遥か遠くミルストイ山の(ふもと)に見える寮の窓明かりを頼りに真っ直ぐ帰路を進んだ。



---

修正記録 2017-04-18 08:30


「といえば失礼だが何かと」追加


幾つかの句点追加


頼まれていた荷物を下ろし → 頼まれて載せた荷物を下ろし


航行記録を飛翔機の荷物下ろしを手伝って()れた騎士様に渡して

航行記録って(やつ)を、飛翔機の荷物下ろしの時に手伝って()れた騎士様へ渡して


食事を取っていた。 → 食事を取っていたと()う。



---保存を忘れてアップしてました。

修正記録 2017-04-18 00:17


 リーシャンハイスへ向かう帰路の飛翔機は終始チェロルの話し声で埋め尽くされ、時折出てくる技術的提案や着想を見掛けによらず気の利くティロットが、小忠実(こまめ)に帳面へ(まと)めて整理した(のち)にメアリーさんへ渡すと大変感謝されたそうだ。道理でやけにおとなしい(はず)である。



 リーシャンハイスへ向かう帰路の飛翔機は、終始暴走気味のチェロルの話し声で埋め尽くされ、時折出てくる技術的提案や着想を、見掛けによらず気の利くティロットが小忠実(こまめ)に帳面へ(まと)めて整理した(のち)に、メアリーさんへ渡すと大変感謝されたそうだ。道理でやけにおとなしい(はず)である。

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