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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
65/345

46ちゃっかり

 アリアが気づくと何時(いつ)の間にかメアリーが(かたわ)らに控えていた。


「ん、メアリーですか。其方(そちら)の様子、えーと、飛翔機の製作に(いた)った経緯(けいい)から教えて(もら)えますか?」

「はい、姫様。チェロル様が飛翔機の構造や構築手順を説明している折に、実演した方が説明し易いとの意見が()りまして。ならば部品は1機分全て揃っていますと、興奮気味の技術者たちから進言が()され、あれよあれよという間に(ついで)ですから()の際、1機の飛翔機を実演制作してしまいましょう、という話に(いた)った次第であります。

 まあ、技術者たちも躯体(くたい)の部分さえ作って(もら)えれば、後は自分たちで完成させる(つも)りでいたのでしょう」

「あー……、(わか)ったわ。()れで()の位で終わりそうなの?」

「リーシャ様からもう部品を組み込むだけだからと送り出して(いただ)きました。私が最後に確認した(ところ)では外装の部品は粗方組み上がっておりましたので、残りは計器類の取り付けと水晶硝子管類の制作を残すのみと思われます」

「分かりました。お母様、飛翔機1機分の制作過程を見せれば技術者たちには十分でしょう。(これ)以上はチェロル様を困らせるだけですわ。彼女たちの帰りの時間も考えないといけませんし、そろそろお開きとして(もら)いましょう」

「アリア、盛大に話しを誤魔化して()りませんか?」

「だって! 此間(こないだ)枢機院(すうきいん)から散々苦言を(てい)されたのですわ。最近はちゃんと段取りを踏んで正しく手続きも通して()りますわ。()の様な最中(さなか)ですのに、お母様からまで責められては悲しいですわ!」

「あ、ああ、()れは配慮が足りなかったよ」

「いいえ、私も考えが及ばずだったのは(たし)かです。失敗を(かて)とする何処(どこ)ぞの(なら)わしより、(しっか)りと指摘して(もら)える方が何倍も()(がた)いですわ」

「ふふふ、こんなのが育っちゃうものねー」

「……」


 勿論、洗練された無駄のない近衛騎士たちは「そろそろお開きとして(もら)いましょう」の()()んで速やかに手回しを進めており、イザベラにも終了の合図を送っていた。

 ティロットはイザベラ様から訓練の終わりを告げられたので、アリア殿下の許に……では無く()の傍らにいるメアリーさんに次の予定を確認しようと歩み寄ると、丁度、タリス皇帝陛下のアリア殿下への先程の発言である。何となくマリオン先生の目を思い出したのは何故だろう。


---


 宮城の一角に3機の飛翔機が並んでいた。()の中にある1機だけ鉄の銀色がギラつく機体なのは、()だ塗装が完了していないからだ。()の場に何かと便利なアリア殿下や意外と気の利くティロットが居ないのだから、態々(わざわざ)塗装を買って出る奇特な人など居やしない。

 というか迂闊(うかつ)にリーシャたちが塗装(まで)()り始めると、技術者たちが貴族様に塗装(まで)させるなんて、とんでもないとし自分たちで()ると言い出しかねない。急ぐものでもないので()(まま)なのである。


()れで完成だけど飛翔確認して見ようよ!」


 チェロルの提案に特に反対する理由もない。塗装は錆止めが主な目的だし、メルペイクとチェロルが居れば動力が無くても()べるのである。


「ええ、良いですわよ。計器類の確認と空気推進機関の稼働確認、後はー両翼の可動機構の確認ですわ。チェロルの飛翔機に取り付けた時は挙動を確認しながらでしたけど、今回は全て一気に組み立てましたから、空気袋とか部品点数が多いだけに気になりますわ」

「うん、じゃあ私は留守番しておくよ気を付けてねー。えっ! ベイミィ引っ張らないでっ」

「リーシャ様も行きますわよ」

「二人乗りじゃないの?」

()しなは3人乗りでしたでしょ。私も楽がしたですわ。計器を読み上げる役は任せて下さいませ」

「そ、そう言えば宮城の上空を飛ぶのって許可が()るんじゃ無いかな?」

「許可しますよ。私も後で試運転しますからー」

「あ、はい、感謝(いた)します。えー、あっ(かしこ)まりました」

()だ塗装が()んで無いのね? 塗料はあるのかしらってアリアの近衛騎士(此の子達)随分(ずいぶん)と準備が良いというか予測が早いというか、イザベラの【念話】と【統率】かしら」


 早々(はやばや)と用意されていた塗料を驚きつつも受け取ると、タリス皇帝陛下自ら塗装を始める。いや、アリア殿下も加わっているようだ。

 慌ててリーシャたちや技術者たちが自分たちで()りますと願い出るが、時間の無駄ですよと取り付く島もない。というか、メアリーさん(いわ)く塗装には(こだわり)りがあるらしいので、任せておくのが無難らしい。

 そして、塗り上がった両翼には予想通り皇帝陛下の御璽(みしるし)があった。



---

修正記録 2017-04-13 07:14


(つい)ですから → (ついで)ですから


句点追加


粗方組み上がっていましたので → 粗方組み上がっておりましたので


ルビを追加

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