40衝撃波
ラギストア帝国地図
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「今、谷間を通過して山岳地帯に入りました。更に遠方の航路上に街道が重なって……開けた場所に……門、関所ですか? ルトアニアの旗が掲げられています」
「谷間はロクスサス渓谷ですね。だとしたら延長上は間違いなく領境の関所です。一応連絡は前もって入れておりますが、まさか線を引いた計画の通り真上を通るとは驚きました。宮城経由で上空を通過する事を伝えておきましょう。リーシャ様、文の記載をお願いします」
「了解しました」
アリア殿下がお持ちに為られた地図の怖ろしい程の正確さと、リーシャの【遠見】による情報から導き出したメアリーの推測補正が、此の結果を為し遂げたのだろう。
「高度10000mに戻りました! 速度計840、この高度を維持するのですか?」
「ええ、12000迄の調査が目的ですから、後は巡航速度と高度を維持するだけですよ。出力限界で維持している此方より、彼方の記録情報の方が重要ですけどね。体感速度980、先程までの追い風は無くなったので少し上空で吹いてるのでしょう」
「記録を付けている身としては、其れはちょっと悲しくなるので聞きたくなかったです。記録。定期稼働します。内部気圧少し調整します。そう言えば、先程の下降時に記録した体感速度1250の時ですが、其の前と後に一瞬凄い音がしましたけど大丈夫でしょうか?」
「確かに気に為ってます。機体にも少し負荷が掛かっていましたし、余り良いものでは無いのかもしれません。取り敢えず体感1200以上は速度を出さないように致します」
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「先程の音? には驚きましたわ。観測の結果だと高度10500m、速度計850でしたわ。機体にメルペイクの支配、水晶硝子に私の支配が掛かっていましたから全く平気でしたが、凄い騒音でしたし機体もビリビリ揺れていましたわね。音は多分、前の飛翔機から発生したものでしょうね」
「リーシャ様が乗る飛翔機の周りに僅かに在った氷の粒が弾かれて膜状に見えてたね!」
「彼は氷だったの? まあチェロルの御業で捉えたのなら氷ですわね。此の機体も一瞬だけ白く靄の様に包まれていましたし、音と一緒に発生した感じですか。後で報告しておく必要がありそうですわね」
「だね! そろそろ一刻経ったよね! ルトアニアに入ったかな?」
「頂いた地図の写し、此れ多分写しちゃ駄目なやつだと思うけど其れは置いといて、山脈群が北北東に見えるから、まだもう少し掛かるかしら」
「此の辺は岩山ばかりだね。村とか見当たらないよ!」
「街道から外れているからかしらね。まあ人も住み辛そうですわ」
「チュッチチチ」
「ええ、お腹すいたのね。少々お待ちを」
「違うよ! 此の辺りの山に鉄の鉱脈があるみたい」
「チェバチェバ」
「だけど食べるって」
「……其れも報告した方が良さそうですわね。どうぞ」
「チチチ」
「……どういたしまして」
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「そろそろルトアニア領境の関所を通過します。って騎士の人達が出てきて礼を執ってる? 両翼の御璽は消えてるのですよね?」
「何方にせよ此の高さでは見えないですよ。宮城経由で連絡があって通過するのが姫様の関係者で在れば、騎士は礼を執って当然かと。其れに今後騎士団に配備される可能性のある秘匿指定の飛翔機が通過すると聞き及んでは一目見ようと出てきたのではありませでしょうか」
「はあ、成る程。あっ! 今ルトアニアに入りました。一応連絡して序でに何も問題ないか確認しますね。此れ転送お願いします」
「承ります」
「さっきの音について聞かれるかもね!」
「あー、ベイミィが返事用意してるから届いたのね。おっ……うわー、其の話だね。ロクスサス渓谷付近を下降中、高度10500mにて衝撃を伴う爆音が此方の機体から発生していたから何かあったか尋ねてきてます。此の機体から目に見えない何かが発生してベイミィたちの乗る飛翔機に接触したと予想します。
其れからメルペイクが山岳地帯で鉄の鉱脈を感じたと、チェロルが言ってるらしいです」
「鉱脈については後日ラギストアへ連絡しておきます。もしかしたら報奨金が出るかもしれませんね」
「おー!」
「其れと先程の降下中に追い風で速度が増した時、一瞬だけ発生した2回の音とは違うのですね?」
「回答と質問を書きました転送お願いします」
「はい」
「あー、ベイミィとチェロルの二人共自身の乗る機体が一瞬音を出したと知覚した瞬間に、此方の機体から発生する音を確認したと。音は30を数えたぐらいで消えて同時に2回目の自身の機体から生じる音が聞こえたようです。衝撃に因る機体の被害は無いそうですが、硝子など強度によっては破壊する強さがあったとの事です」
「記載をお願いします。現時点を以て速度計700以上の飛翔を禁止します。当機も指示書を転送次第700に減速します」
「はいっ、か、書けました。転送お願いします」
「承ります」
リーシャはメアリーさんが急に真剣な、いや、深刻な態度で話し始めた為に驚いてしまった。そうだ、よく考えてみれば飛翔機の外は空気が薄く温度も可也低い。水晶硝子が破損したら大変な事態に為っていただろう。
「リーシャ様、此の事をアリア殿下にお知らせ致します。文の執筆をお願いできますか?」
「直ちに!」
未知の飛翔速度で起こった出来事とはいえ、チェロルやベイミィを危険に晒してしまったのだ。此れはメアリーの失態であり、其の上のアリア殿下の失態でもあるのだ。起きた時点で直ぐ連絡を取る必要がある。
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「うわっ! アリア殿下から手紙が届きましたわ。何だか怖くて開けたくありませんわ」
「ヒッ!」
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修正記録 2017-04-07 07:23
「出力限界で維持している」追加
句読点の追加
確かに気になります。 → 確かに気に為ってます。
無いかもしれません。 → 無いのかもしれません。
速度を出さないようにします」 → 速度を出さないように致します」
ルビを追加
一刻経ったかなルトアニア越えた?」 → 一刻経ったよね! ルトアニアに入ったかな?」
先程の追い風で速度が増した時に一瞬だけ → 先程の降下中に追い風で速度が増した時、一瞬だけ
音は30数えたぐらいで消え同時に2回目の自身の機体が出す音が聞こえた
↓
音は30を数えたぐらいで消えて同時に2回目の自身の機体から生じる音が聞こえた




