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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
58/345

39空は計測作業

 アリア殿下が高高度を確認して来られた結果、空気袋の空気を減らしたり仮設置で付けられた幾つかの計測器の調整が完了できたりと、其れなりの成果を出せたようだ。

 例えば、外部と繋がる管の一つに水晶管を繋げ、()の中に円柱形状の隔壁を入れたものが、高度を変える度に問題なく移動するのを確認できた。簡易気圧計である。

 気圧計代わりの水晶管には、海抜2000mまで飛翔板で計測した情報から目盛りを加え、()れ以上はアリア殿下の【大気】の御業から得られた感覚からの推測と、メアリーの【空間把握】の御業から得られる情報を合わせた判断で目盛りを加えた。詰まり感、適当である。

 他にも全面に付けられた風圧計や内部気圧計など色々とあるのだが、面倒なので此処迄(ここまで)にしておく。


 要するにアリア殿下曰く空気循環機の調整は、此等(これら)の計測器から判断しなければ()らない難しいものらしい。(ちな)みに空気循環機は空気推進機関の初期試作品を改変した応用品である。


 さて、アリア殿下は当初の口振りでは、()もチェロル様お一人ではと情に訴えて付き添いを(うなが)したのだが、(ふた)を開ければというかニコニコと微笑みながら記帳具と調整指示表を手渡してきた。


(ただ)アルトニアへ向かうだけでは勿体無(もったいな)いですわよね。折角ですから高度毎の空気推進機関の出力値と速度計の値を記録しておいてね。()れから、先にもメアリーが()べた通り高度が上がると次第に空気が薄く()りますのよ。ですから、()の際に()の調整指示表を使って定期的に内部気圧計の変化を確認しながら、高度毎に定められた調整を空気循環機に設定してから、稼働して(もら)う必要があるのですわ」

「は、はあ」


 チェロルが素早く逃げた。いや君は操縦者だから関係ないと思うよ。あっ1人だと高高度を飛ぶ時は調整が必要なのか……まあチェロルなら大丈夫だ。

 相談の結果、チェロルの飛翔機には1人で何でも器用に(こな)すベイミィが乗り込み、メアリーさんが操縦するアリア殿下の飛翔機には二人一役のリーシャとティロットが乗り込むことに()った。


「ああ、そうですわ。向こうで離着陸用の空気推進機関を実際にせっ……ティロット様は近衛騎士団の訓練を見学するのでしたわね。私も幼い頃は1日中眺めていたものですわ」


 アリアは終始笑顔だった(はず)のティロットの悲しそうな顔に気がついた。空気の読める淑女は匙加減(さじかげん)を理解しているものなのである。


---


 澄み渡る青空の(もと)……いや雲は()っても(した)だから当たり前なんだけどね。メアリーの操舵(そうだ)する飛翔機が子連れの親鳥の様にチェロルとベイミィが乗る飛翔機を連れて先陣に進んでいる。

 メアリーは徐々に高度と速度を上げて行く中で気づいた事が幾つか()る。姫様が求める資料作成の(ため)に高度を上げて進んでいるが、右手に見えてきた3000~4000m級の雪を被った山脈群、此等(これら)と同じ高度()しくは低かったら天候次第で。いや、()の速度である。方角(ほうがく)を間違えた時点で衝突の危険性が()っただろう。

 外の気温は相当低いことが(わか)る。密閉されているとは言え定期的に空気を入れ替えているのだから、()れなりに冷えてくる。遠くに見える山々の頭頂が雪で覆われている訳が犇々(ひしひし)と伝わる。勿論、上空は寒いからと何度か経験した口振りのアリア殿下から聞及び、全員が厚着をしてきている。


「今高度6000mを越えた! 速度計650……出力の目盛りは700かな」

「了解、記録しました。空気循環機の定期稼働を行います。内部気圧計問題なし。航路上に街道がありますね」

「リーシャ様、情報助かります。航路にズレなく進めている事が確認できました」


 メアリーは(いささ)か緊張していたようだ。片手を操舵(そうだ)から離しグーパーと握り開きを繰り返してから手を入れ替えて同じことをする。

 アリア殿下の護衛として十分に鍛えられ【武技】も獲得している。だがいきなりの()の速度だ。()れなりに重圧を感じている。不謹慎だが最初の同乗者が()の子達で良かったとさえ思っている。アリア殿下でなくてと。


「高度8000m、速度計870、出力は限界値です! やっぱり帰ったらこの機体にも両翼に推進機関を付けたいね」

「記録しました。空気循環機の定期稼働を行います。内部気圧計は少し高めだけど問題なしです。あれほんの少し街道がズレてきてる?」

「予定通りですリーシャ様。少し機体が重くなりますが帰りに積めるよう、推進機関2台と必要な部品を発注しておきましょうかティロット様?」

「うん! 帰ってから(みんな)で作ろう!」

「では、リーシャ様、必要な部材を箇条書きお願いします」

了解(りょうかーい)


 メアリーはリーシャから部材発注表を受け取ると自分の印を加え【瞬間転送】で宮城へと送った。ティロットの優しさにほっこりとしながら。


「高度10000m、速度計850、出力限界値! 速度落ちた?」

(わたくし)の御業で確認する限りでは速く()ってますね」

「記録。定期稼働しました。内部気圧計問題なし。航路上の谷間に街道が重なって、また()れていく感じです。更に前方に山岳地帯が見えます。()れから南には一面森だからオーエンス大森林なのかな」

()れでしたら予定進路に(ほとん)どズレなく来れてます。どうやら追い風に乗っているようですね。体感で言えば1200ぐらいでしょか」


---


「何だか()の長椅子だと乗馬をしている気分ですわ」

「明日から本格的に騎馬の授業始まるよね! 人馬一体を身につけるよ!」

「そうですね、貴女(あなた)の場合は(はた)から見たら馬しか居ないように見えるわよ……」

「メルペイクがもう少し大きくなったら騎乗? 鳥乗? できるよ!」

「今の大きさが一番良いですよ。大きくなったら()の飛翔機に一緒に乗れなくなるわ」

「チェチチ、チバババ」

「そろそろ高度確認した方が良いよって」

「……ええ、有難(ありがと)うメルペイク」

「チバチバ」

()れは(わか)るわ! 「どういたしまして」ね!」

「構いませんよ! だよ!」

「……」



---

修正記録 2017-04-07 07:13


下の 修正日 2017-04-05 06:13 → 2017-04-06 06:13

orz

---

修正記録 2017-04-06 06:13


速度を上げていき気づいた → 速度を上げて行く中で気づいた


「 アリア殿下の護衛として十分に鍛えられ【武技】も獲得している。だがいきなりの()の速度だ。()れなりに重圧を感じている。不謹慎だが最初の同乗者が()の子達で良かったとさえ思っている。アリア殿下でなくてと。」追加


リーシャ様、少し機体が → リーシャ様。少し機体が


「ティロットの優しさにほっこりとしながら。」追加


何だか()の長椅子だと → 何だか()の長椅子だと


貴女(あなた)の場合、(はた)から → そうですね、貴女(あなた)の場合は(はた)から


追加{

「メルペイクがもう少し大きくなったら騎乗? 鳥乗? できるよ!」

「今の大きさが一番良いですよ。大きくなったら()の飛翔機に一緒に乗れなくなるわ」

「チェチチ、チバババ」

「そろそろ高度確認した方が良いよって」

「……ええ、有難(ありがと)うメルペイク」

「チバチバ」

()れは(わか)るわ! 「どういたしまして」ね!」

「構いませんよ! だよ!」

「……」

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