表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
55/345

36職人技

 2基の空気推進機関を両翼に取り付ける事で、鉄の飛翔機はメルペイクや鉄系の御業持ちが居なくても、飛ばせる事ができるようになった。


 チェロルは当初から目論見があった。両翼の空気推進機関を使うのは離着陸だけでなく、飛翔に移行してからの推進に利用できれば、既存中央にある1基の推進に両翼2基の推進が加わり超高速飛翔が可能となると。

 折角(せっかく)、重量の増加や揚力(ようりょく)減損(げんそん)()んで両翼に取り付けたのだから、推進にも使いたい。()れに、誰しも高速飛翔とは魅力ある甘美な誘惑なのかもしれない。


 アリア殿下は、こう(のたま)う「推進機関の可動機構を作成()さるのなら丁度良いものを以前せし……いえ、開発機関から提供して(もら)ったものが()るのよ。利用できないかしら」との事である。

 ()の「もの」とは反発特性を持つ魔石という素材で作られた機械部品という話である。伸び縮みするらしき金属の棒が2つ()り、()れに管が伸びて本体の機械に繋がっていた。本体の機械部にある(つま)みを操作することで、金属棒が力強く伸び縮みするらしい。

 前回、アリア殿下の飛翔機を制作する際に、リーシャとベイミィは操縦席に水晶硝子の取り付けを(おこな)っていたので、(なん)となく察したのかもしれない。二人は微妙な面持ちである。流石にあれを水晶硝子の開閉に使うのは少し違う気がするし、開け閉めの調整も難しそうである。

 使えそうだからと「せしめた」は良いが、微妙に使えないと判断し(あま)していたのだろう。


 両翼にある空気推進機関を上昇・推進に切り替える(ため)の垂直水平可動の機構は、当初歯車を駆使してくるくる把手(とって)を回すだけで、重いものでも動かせるという図書館で見つけた絡繰(からくり)を作り、(なん)とか()らないものかと考え(あぐ)ねていた。

 だが、反発機構を利用した鉄棒で重いものが簡単に動かせるなら、採用を検討するに値する。反発機構の機械は別として部品点数も大幅に減らせるし、今回の空気推進機関の取り付けに()たって蓄魔(ちくま)器の容量も大きくする必要があるから、(これ)に消費してもさして変わりはない。

 チェロルは有難(ありがた)く利用させて(もら)うことにした。


「うん、()れ凄く良さそうですわ! 使わせて頂きますわ!」

「無理して丁寧に喋らなくて良いのですが、公式の場を想定して会話練習も必要かもしれませんわね。後、空気推進機関が2基も増えたから、少し容量の大きい蓄魔(ちくま)器が必要でしょう? 丁度良いことに飛翔機の色々な部品が一機分()りますのよ。可動部に使えそうな部品が()れば使って(もら)っても宜しいのですわよ」


 チェロルにもう一機作らせる(つも)りで取り寄せたが、20機(ほど)発注できるなら必要無くなって、()れまた(あま)していると予想するのは深読みしすぎだろうか。


「おお、とても助かりまするわ!」

(なん)だかカルラの喋り方に似てるわね」

「姫様、語尾だけで判断するのは早計と(おぼ)()する」


 推進機可動機構の制作は、伸縮する鉄棒の特性を理解する必要があった(ため)に少し手間取ったが、部品改造を砂鉄の輪郭で投影してはメルペイクに作って(もら)うという連携作業で、即座に調整して行けたので順調に進んだ。


「動かしてみますわね。()の操作把手(とって)の目盛りに垂直位置を(しる)しておけば良いのね」

「うん、お願ーい……そこ! 止めてー、此処(ここ)が垂直だね。鉄棒の設置位置も問題無さそうだし、後は外装を整えるだけだよ!」

「はい、印しを付けておきましたわ」

「ベイミィ此方(こっち)の作業終わったから水晶硝子から手を離して良いよー」

「残念、リーシャ様もう少し早く終わって欲しかったわ。まあさして負担じゃありませんでしたけど。一度開閉して確認してみましょうか?」


 ベイミィはチェロルの設置した推進機可動機構の確認作業を手伝いながら、水晶を手で支えて更に器具の接触で破壊しないよう御業で強化を行っていたりする。

 操縦席はリーシャとベイミィでぎゅうぎゅう詰めに()っているから仕方がないが、()れを器用に(こな)すベイミィは【器用繊細】を使っているのだろう。

 (ちな)みに、鉄棒を動かす機械部の操作(つま)みはアリア殿下から(いただ)いた部品を流用して、操縦席から楽に操作できるよう目盛り付き操作把手(とって)(こしら)えている。伊達にリーシャとベイミィはぎゅうぎゅう詰めに()って作業している訳ではないのだ。


「そうだね。してみて」

「シュー」

「おおー、格好良いね」

「あれ、アリア殿下の飛翔機に付いてた絡繰(からくり)棒を此方(こっち)にも付けたんだ」

()れ良いよ! アリア殿下ありがとう御座(ござ)います!」

「喜んで(もら)えれば幸いですわ」

「シューー」

「んー、御業で確認したけど少し取付部の水晶に負担が掛かっているみたいだから、チェロル、此処(ここ)の部分をメルペイクに補強して(もら)って」

「はーい! メルペイク此方(こっち)来て!」

「お姉様、()の方たち騎士を目指しているとは思えないぐらい作業が早いのですけど……」

「4人集まればできない事は無いくらい便利ですわね」

「ヒッ!」

「エミリア、()の飛翔機でアルトニア(まで)どの位で着くと予想しますか?」

「1基の推進機関でさえ飛翔板の限界速度を遥かに越えておりましたし、限界速度まで機体が持つかは別として2刻掛(約4時間)からず着くのではと」

「お姉様、()の妖しい微笑みが素敵ですわ!」



---

修正記録 2017-04-16 11:06


推進機 → 推進機関


ルビの追加


畜魔(ちくま)器 → 蓄魔(ちくま)


目盛り付操作把手(とって)(こしら)え → 目盛り付き操作把手(とって)(こしら)



---

修正記録 2017-04-03 06:22


こう(のたま)う「可動機構を作成、()さるのなら → こう(のたま)う「推進機の可動機構を作成()さるのなら


()のものとは反発機構を利用した機械部品らしく、伸び縮みする → ()の「もの」とは反発特性を持つ魔石という素材で作られた機械部品という話である。伸び縮みする


本体の機械部で操作する → 本体の機械部にある(つま)みを操作する


ルビを追加


部品が一機分あるのですわよ。 → 部品が一機分()りますのよ。


宜しいですわよ」 → 宜しいのですわよ」


可動機構の制作は伸縮鉄棒の可動特性を理解する → 推進機可動機構の制作は、伸縮する鉄棒の特性を理解する


という作業で、 → という連携作業で、


確認を手伝い → 確認作業を手伝い


改行を追加


。 → が、()れを器用に(こな)すベイミィは【器用繊細】を使っているのだろう。

 (ちな)みに、鉄棒を動かす機械部の操作(つま)みはアリア殿下から(いただ)いた部品を流用して、操縦席から楽に操作できるよう目盛り付操作把手(とって)(こしら)えている。伊達にリーシャとベイミィはぎゅうぎゅう詰めに()って作業している訳ではないのだ。


「んー、少し取付部の → 「んー、御業で確認したけど少し取付部の

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ