36職人技
2基の空気推進機関を両翼に取り付ける事で、鉄の飛翔機はメルペイクや鉄系の御業持ちが居なくても、飛ばせる事ができるようになった。
チェロルは当初から目論見があった。両翼の空気推進機関を使うのは離着陸だけでなく、飛翔に移行してからの推進に利用できれば、既存中央にある1基の推進に両翼2基の推進が加わり超高速飛翔が可能となると。
折角、重量の増加や揚力の減損を呑んで両翼に取り付けたのだから、推進にも使いたい。其れに、誰しも高速飛翔とは魅力ある甘美な誘惑なのかもしれない。
アリア殿下は、こう宣う「推進機関の可動機構を作成為さるのなら丁度良いものを以前せし……いえ、開発機関から提供して貰ったものが在るのよ。利用できないかしら」との事である。
其の「もの」とは反発特性を持つ魔石という素材で作られた機械部品という話である。伸び縮みするらしき金属の棒が2つ在り、其れに管が伸びて本体の機械に繋がっていた。本体の機械部にある撮みを操作することで、金属棒が力強く伸び縮みするらしい。
前回、アリア殿下の飛翔機を制作する際に、リーシャとベイミィは操縦席に水晶硝子の取り付けを行っていたので、何となく察したのかもしれない。二人は微妙な面持ちである。流石にあれを水晶硝子の開閉に使うのは少し違う気がするし、開け閉めの調整も難しそうである。
使えそうだからと「せしめた」は良いが、微妙に使えないと判断し余していたのだろう。
両翼にある空気推進機関を上昇・推進に切り替える為の垂直水平可動の機構は、当初歯車を駆使してくるくる把手を回すだけで、重いものでも動かせるという図書館で見つけた絡繰を作り、何とか為らないものかと考え倦ねていた。
だが、反発機構を利用した鉄棒で重いものが簡単に動かせるなら、採用を検討するに値する。反発機構の機械は別として部品点数も大幅に減らせるし、今回の空気推進機関の取り付けに当たって蓄魔器の容量も大きくする必要があるから、之に消費してもさして変わりはない。
チェロルは有難く利用させて貰うことにした。
「うん、此れ凄く良さそうですわ! 使わせて頂きますわ!」
「無理して丁寧に喋らなくて良いのですが、公式の場を想定して会話練習も必要かもしれませんわね。後、空気推進機関が2基も増えたから、少し容量の大きい蓄魔器が必要でしょう? 丁度良いことに飛翔機の色々な部品が一機分在りますのよ。可動部に使えそうな部品が在れば使って貰っても宜しいのですわよ」
チェロルにもう一機作らせる積りで取り寄せたが、20機程発注できるなら必要無くなって、此れまた余していると予想するのは深読みしすぎだろうか。
「おお、とても助かりまするわ!」
「何だかカルラの喋り方に似てるわね」
「姫様、語尾だけで判断するのは早計と思し召する」
推進機可動機構の制作は、伸縮する鉄棒の特性を理解する必要があった為に少し手間取ったが、部品改造を砂鉄の輪郭で投影してはメルペイクに作って貰うという連携作業で、即座に調整して行けたので順調に進んだ。
「動かしてみますわね。此の操作把手の目盛りに垂直位置を印しておけば良いのね」
「うん、お願ーい……そこ! 止めてー、此処が垂直だね。鉄棒の設置位置も問題無さそうだし、後は外装を整えるだけだよ!」
「はい、印しを付けておきましたわ」
「ベイミィ此方の作業終わったから水晶硝子から手を離して良いよー」
「残念、リーシャ様もう少し早く終わって欲しかったわ。まあさして負担じゃありませんでしたけど。一度開閉して確認してみましょうか?」
ベイミィはチェロルの設置した推進機可動機構の確認作業を手伝いながら、水晶を手で支えて更に器具の接触で破壊しないよう御業で強化を行っていたりする。
操縦席はリーシャとベイミィでぎゅうぎゅう詰めに為っているから仕方がないが、此れを器用に熟すベイミィは【器用繊細】を使っているのだろう。
因みに、鉄棒を動かす機械部の操作撮みはアリア殿下から頂いた部品を流用して、操縦席から楽に操作できるよう目盛り付き操作把手を拵えている。伊達にリーシャとベイミィはぎゅうぎゅう詰めに為って作業している訳ではないのだ。
「そうだね。してみて」
「シュー」
「おおー、格好良いね」
「あれ、アリア殿下の飛翔機に付いてた絡繰棒を此方にも付けたんだ」
「此れ良いよ! アリア殿下ありがとう御座います!」
「喜んで貰えれば幸いですわ」
「シューー」
「んー、御業で確認したけど少し取付部の水晶に負担が掛かっているみたいだから、チェロル、此処の部分をメルペイクに補強して貰って」
「はーい! メルペイク此方来て!」
「お姉様、此の方たち騎士を目指しているとは思えないぐらい作業が早いのですけど……」
「4人集まればできない事は無いくらい便利ですわね」
「ヒッ!」
「エミリア、此の飛翔機でアルトニア迄どの位で着くと予想しますか?」
「1基の推進機関でさえ飛翔板の限界速度を遥かに越えておりましたし、限界速度まで機体が持つかは別として2刻掛からず着くのではと」
「お姉様、其の妖しい微笑みが素敵ですわ!」
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修正記録 2017-04-16 11:06
推進機 → 推進機関
ルビの追加
畜魔器 → 蓄魔器
目盛り付操作把手を拵え → 目盛り付き操作把手を拵え
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修正記録 2017-04-03 06:22
こう宣う「可動機構を作成、為さるのなら → こう宣う「推進機の可動機構を作成為さるのなら
其のものとは反発機構を利用した機械部品らしく、伸び縮みする → 其の「もの」とは反発特性を持つ魔石という素材で作られた機械部品という話である。伸び縮みする
本体の機械部で操作する → 本体の機械部にある撮みを操作する
ルビを追加
部品が一機分あるのですわよ。 → 部品が一機分在りますのよ。
宜しいですわよ」 → 宜しいのですわよ」
可動機構の制作は伸縮鉄棒の可動特性を理解する → 推進機可動機構の制作は、伸縮する鉄棒の特性を理解する
という作業で、 → という連携作業で、
確認を手伝い → 確認作業を手伝い
改行を追加
。 → が、此れを器用に熟すベイミィは【器用繊細】を使っているのだろう。
因みに、鉄棒を動かす機械部の操作撮みはアリア殿下から頂いた部品を流用して、操縦席から楽に操作できるよう目盛り付操作把手を拵えている。伊達にリーシャとベイミィはぎゅうぎゅう詰めに為って作業している訳ではないのだ。
「んー、少し取付部の → 「んー、御業で確認したけど少し取付部の




