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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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27姫様宣う

 演習場の一角には2機の飛翔機が並んでいた。(そもそも)何故か朝から休校の知らせが届き、ならばとサボりがちだった自主訓練を一通り(こな)すと自習項目も無くなり、遺憾(いかん)ながら飛翔機の制作に着手と相成(あいな)った。

 リーシャたちは頑張った。正直大変だった。アリア殿下の本気度が2機目から違かったのだ。部品点数が格段に増え取り付け難易度も同じく上昇した。

 例えば翼の隔壁補強毎に空気袋の様なものを入れ込んだり、座席を覆う水晶硝子は左側から押し上げ開きの構造と成っており、鉄棒のからくりで少し開けると後は勝手に開いてくれる。取り付けたときには側に居た全員がなんじゃこりゃーと一瞬固まってしまうぐらいに衝撃的だった。

 取り敢えずやっとの思いで完成し、こうして2機並べてリーシャたちは感慨(かんがい)(ふけ)っていると、塗装を終えた(のち)何処(どこ)ぞへ雲隠れしていたアリア殿下が正装を(まとい)て登場し、[皆様今から宮殿へ向かいますわよ]と(のたま)(すさ)ぶる。


「……え、いえ私達は泥だらけで汗もかいているし」

「大丈夫ですわ。宮殿に着替えも用意してありますし、其々(それぞれ)飛翔板で向かって貰いますからどうせ汚れます。何も問題ありませんわ」

「……」


 何故だろうか皆の目が死んだ魚ようだ。マリオン先生とはまた違うのだろうが同じく酷い目に遭われて来たのだろうと、今更ながらに師匠の目を気の毒に思い返して現実逃避しがちのリーシャは仕方ないと思う。


 アリア殿下とその侍女のラエルさんが、新型飛翔機に乗り込むようだ。飛行確認も行っていない機体に殿下自ら乗り込み、(あまつさ)え侍女の方を乗せるのは無謀ではとリーシャは一応作った者の義務として進言してみたのだが……。


()の機体は私1人で操作できるように工夫を()らして設計致しております。自らが搭乗し微細を確認しなければ意味がありませんわ。それとラエルは【砂鉄】の御業を授かっております。補助としては最適でしょう」


 リーシャはエミリア様へ目を向けると《言っても聞かないよ》と(ばか)りに首を振る。後はリーシャたちができる限りの動きで補佐するしかないのだろう。


「メルペイクも連れて行って宜しいでしょうか?」


 一応は護衛? でありチェロルの安全装置である。何らかの不慮の災難で単身空に放り出された時に安心だ。いや、そんな恐ろしい予定は無いからね。


「勿論構いませんわ。メルペイクちゃんは飛翔機の一つの完成形ですわ。外出許可も取ってきています。真剣の携帯も許可しますので演習場に忘れないように、さあ余裕も少ないですし急ぎましょう」

「はい」×全員


 飛翔板4名が先に上がって安全を確保する。上空から安全確保と上昇許可の合図が手振りで示されると地上の合図担当が制止から上昇許可の変更を手振りで示して(ようや)く飛翔機は上昇可能となる。

 面倒だが騎士団での新たな連携運用として必要らしく、エミリア様が鋭意(えいい)模索中とかでリーシャたちも協力して試験運用している。伊達に親衛隊長ではないらしい。


 アリア殿下とラエルさんが搭乗した新型飛翔機はゆっくりと浮き上がり方向を南へと移動していく。()れと同時にエミリア様と侍女のメアリー他ルトアニア令嬢3名が周りを固めながら浮き上がる。

 そして順次指示していき最後はチェロルの飛翔機の番になる。合図担当が……というかリーシャなのだが、新型飛翔機の規定安全域に到達するのを確認して、待ての制止合図から上昇許可の手振りをする。


()の合図! 恥ずかしいというか長刀が邪魔っ! 今度からベイミィに()って(もら)う。だけどその前に()の合図は変えてもらう。絶対!』


 リーシャは左手をぐるぐる回してチェロルの飛翔機に上昇を(うなが)す。同時にベイミィ、ティロット、ラクス様が飛翔機と共に飛び立つ。アリア殿下と上昇の表現が違うのは()(まま)だからだ。()の人達は飛翔に慣れてしまい慎重に浮き上がるではなく御座(おざ)なりに飛び立ったのだ。


「ちょっ! 待ってよー」


 すぃーっと飛び上がりみるみる遠ざかっていく飛翔機を見て慌ててリーシャは飛翔板に駆け寄り飛び立つ。

 エミリアは上空から一連の流れを観察しており帳面に離着陸整理員が編隊飛行に加わる場合は一旦待機が必要だ!と書き入れていた。



 新型飛翔機は2基の空気推進機関を備え操舵の調整で単発でも飛翔を可能としている。初期型に比べると2座席と機体は全体的に大きくなったが、その分安定し揺れが少なく双発の空気推進機関で速度も向上している。


「ラエル、()の飛翔機は貴女(あなた)でも扱えそうですか?」

「そうですね。()の重量であれば、少しの間だけ浮かせていても消費は少なそうです。操舵の感覚も姫様が操作している間は鉄に気を通して確認しておりましたし、補助翼、方向舵、昇降舵は部品を壊さないよう留意(りゅうい)していれば直接動かして(よろ)しいのですよね。()れでしたら問題ありません」

「私達は()の飛翔機を強引に直接浮かせていまいしたが、(いず)()のような御業の相性が無くても飛び立てるよう運用形態を模索しなければ()りませんわね」

(ところ)であの方たちへの所作は、あれで良かったのですか?」

何方(どちら)にせよ騎士の礼服は持っていないでしょ。女性の正装で空を舞うわけにも行きませんし闘技服が統一感もあって丁度良かったのです。()れに向かう場所は殿方立ち入り禁止の場、侍女たちに恥じ入る必要もありませんわ。ただ遠目に()の飛翔機2機と()れを警護する飛翔板の騎士隊が物々しく見えれば良いのです」

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