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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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18解禁された業

 ミルストイ学園最後の年に騎士候補学徒が行う武闘大会。この大会に出られるのは代表8人のみ、その枠を勝ち取る為に裏方に於いて着々と選抜戦が行われていた。


 リーシャたちはアリア殿下に誘われて注目の選抜仕合とやらを見に来ていた。3年未満は講義の時間で見に来られない為、4年目からの特権の一つと言える。

 ただ、この時間は闘技実習も受けられるので普段は大体闘技実習を選択している。

 アリア殿下の周りは左右を同級学徒のスェイリー様とミリル様、前後を護衛のエミリア様、侍女のメアリー様、ラエル様、四方をルトアニア領の令嬢たちで固めている。あの中に入るには気が引ける為、集団の隣の位置を座するにとどめている。

 ()()う、リーシャ視線で語っていると侍女たちは様付けになる。皇族・王族の侍従は貴族がなるからね。


 対戦者の一人はクラウト・デンバンサー、文官派閥の情報網を使って調べてみるとルトアニア領公爵家の御子息である。

 この公爵家は母親が当主となっているが、事情が複雑なようである。公爵家の第三女子として生まれバグルス王弟に嫁ぐが、敗戦時にルトアニア領へ夫を伴って引き上げた。(のち)に、タリス大公よりデンバンサー公爵家当主を拝命する。

 父はルトアニア領で監視、保護という立場であるから、そこそこ自由はあるものの管理地からの移動は申請が必要だったり、子供たちとの接触は制限(二人きり等の接触は不可)される。

 まあ要するに、クラウト・デンバンサーは元王族でそれなりに監視されてますから帝国に準じた振る舞いを心がけ資質を見せていかなければならない立場にある。


 そしてもう一人の対戦者はラクス・ラクトール、公爵家御令嬢と此方(こちら)は流石に詳しい情報は入らなかった。ああそれと個人の御業を流布(るふ)することは一般的に忌避(きひ)されている。


 解ったことは両方ともルトアニア領に属する人物で持って生まれた資質も多分同程度である。アリア殿下が注目とした仕合とは両人物に対してなのか、それともどちらか一方に対してなのか。まあ見て判断するしか無さそうだ。


 規定時間となり両名が闘技場に入ってくる。少し離れた位置に担当教諭が終了を告げる為だけに居る。()まり入った時点で仕合は始まっている。


「ルトアニアの情報規制が一部解除されまして、新しく試され始めた戦闘が今回使われますの」

「あ、有難う御座います」

 隣に居たよく自主練習でご一緒するルトアニア令嬢から解説を貰った。リーシャたちはにこやかに会釈(えしゃく)する。どうやら今までに無い戦闘方法が()されるようだ。


 それぞれ両端からの登場である。現在両者の間は相対距離にして60mほどであろうか。両者片手に武器、片手に板を持つ。板といってもちゃんと加工して角を丸く落とし表面に硬い樹脂が塗られている。

 両者唐突(とうとつ)に板を浮かして乗るという行動を起こす。帝国では全く見たことの無い光景だった。

 板に乗り風に乗り器用に移動していく。走るよりずっと速いし軌道が不自然……というよりこれも見たことが無い。

 両者共に【木】属性……()れだけではない、【水】か【海水】の粒系因子を展開している。リーシャは【遠見】を使って詳細に状況を把握していく。実に観戦に都合の良い御業である。

 ラクスは両手に中型の長刀を持つ、武技を使うようだ。対してクラウトは剣と盾を持つ、これは盾も含めて剣技である。

 互いに上下に移動して風に乗り、左右に板を動かしバランスを取る。これは遠距離攻撃の御業に対しての回避運動になる。これだけ離れた処で見ているから判りにくいが、近くで見ていれば目視するのもやっとの()れ幅である。事実互いに牽制の礫を放つが全く当たる気配が無い。


「[岩よ礫と成りてそを穿て]」

「[水晶よ在れ、そを射抜け]」


 クラウト、ラクスの順に語句の違う言霊で放たれた。御業は違うが系統は同じものである。統一すれば威力が上がると思うがこれが難しい。両方の語句とも同じだけ使われていて()つ種類・系統・個人によって威力が変わるのだ。

 例えば光りに礫と成れと言って成ると”思う”だろうか。【岩】【氷】を持つものは礫の方が威力が強く、【光】【氷】の場合だと射抜けの方が強い。そして一番影響するのが個人の思いである。勿論、統一した方が最終的には威力が高くなるが、其処(そこ)まで威力に(こだわ)る人も多くない。中々難しいものなのだ。


 それはさておき、飛び回る二人にこの闘技場も狭そうだ。教諭もいつの間にか端に退避していた。

 牽制も終わりとばかりに両者が対峙した瞬間、お互いに中心に向かって勢いよく進み出す。


 ラクスの周りに水系統の粒系因子の道が浮かび上がり螺旋を描くと、板がそれに沿って滑り始め交差の時には体が上下反対になっていた。両手の長刀を振ると刃がうっすらと光を放つ、【武技】である。


 クラウトは相手が逆さになったことで意表を突かれたようだが盾と剣で(さば)く。御業を捌けるのは此方(こちら)も【剣技】を極めているからだ。

 クラウトはそのまま反転し後ろに着く。だが両者ともに横向きに板に乗っているから後ろに付かれても大して問題は無い。


 ラクスは体を板の向きに合わせ長刀の(つか)を合わせ「カチリ」ひねった。まるで船漕ぎ用の(かい)(ごと)く長い柄と両側に剣を付けた長刀となった。もの凄い速さで振り回される。

 本来牽制で使われる石突きの技も主攻撃となる。()まり攻撃的な棒術、長くも短くもなる。ちょっぴり取り扱いに注意が必要だ。


 クラウトは防御に徹し(なん)とか(しの)いでいるが劣勢だ。相手の勢いに押されてしまった体制を、取り戻す為の挽回策として周囲へ煙幕代わりに炭を放つ。


 炭はラクスの支配域に入った瞬間に消え失せる。【炭】も同じく持っているということだ。そのままクラウトの頭部にラクスの長刀が「ガキン」とあたり、その後クラウトの剣がラクスの腹部に「ズシッ」と食い込む。


「それまで!」


 端に逃げ込んでいた担当教諭から終了の声が掛かった。教諭は【守護】を担当していた賓客に礼を執ってから確認する。


「勝者! クラウト・デンバンサー」


---


「えー!」×大勢




ここからネタバレ含むかも

---


ランダムで出して設定した御業です。

すげー、あっ! 後天御業は作者設定です。








クラウト・デンバンサー

 ルトアニア領 公爵子息


 言霊属性:木、岩、海水、炭

 先天御業:健康、強頭、器用繊細、肺強

 後天御業:剣技、礼儀


ラクス・ラクトール

 ルトアニア領 侯爵令嬢


 言霊属性:木、水晶、海水、炭

 先天御業:健康、音感、器用繊細、熱耐性

 後天御業:武技、礼儀


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