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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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15浮かぶ物体

 リーシャたちは12歳になり冬の長い休日を終えミルストイ学園に戻ってきた。4年目の学園生活である。

 馬車は相変わらず坂道の手前で止まるが気にしない。最初から歩いて(のぼ)るつもりだから。

 リーシャの右手には本物の長刀(なぎなた)が握られている。今年から実剣を持つ事が許されるから、両親がこの日の為に用意してくれたのだ。

 他の3人は剣にしたようだ。邪魔にならず普段から持ち歩けるから無難な選択だろう。

 皆、そわそわと自分の剣を見つめたり触って感触を確かめたりと気になって仕方ないようである。

 宝石がゴテゴテと付いている訳ではないが、(しっか)りとした業物である。例え(つか)であっても刀の雰囲気が滲み出ている。と思っているのかティロットっとは特に気を抜くと「にへら」と顔が緩む。

 ともかく怪しげな動きを見せる4人とその侍女たちの一行は意気揚々と坂道を上っていく。坂の半ばまで差し掛かったぐらいだろうか巨大な影がその場を覆った。


「雲ですかねぇ?」


 ベイミィは反射的に思った事を口にした。だが8人と1羽が空を見上げると巨大で鳥のように翼を広げた形をしたものがあった。4人は放心状態だがマギーは彼女たちを隠すように移動する。

 巨大な物体は坂の上にある門の手前ぐらいで止まった。羽ばたきもせずにである。

 好奇心に負けたのだろう。


「マギー良いかな? ……上へ行っても」


 リーシャを突っついていたティロットも”うんうん”と首を縦にに振る。ため息をはきながらマギーは答えた。


「仕方ありませんね。急に走り出したりしないで下さいね」

「はい!」×4


 リーシャたちは上をチラチラ見ながら坂を上っていくと、空に浮かぶ巨大物体の上部から木製らしき大きな円盤が浮かび上がった。

 円盤は巨大物体の前方からすーっと降り始める。円盤の上に誰かが数人乗っているようだ。リーシャは【遠見】を使って覗き見るとアリア様たち一行が見える。

 いや、リーファ教導官と数人知らない人が居ると思った瞬間その中の一人と目が合った。


『あの方はと目が合ったと思った時には消えて、目の前に居たのです。自分が何を考えているか支離滅裂です! しかも空中で静止してるんです。

 纏っている服は見るからに仕立ての良い服で、鳥の図柄が模様として描かれている。髪は白金に近くっというか前に見た事あります』


 慌ててリーシャたちは礼を執る。マギーたち侍女は既に礼を執っていた。あっ帝国では子供たちが気づかないと確実に判断できるまで教えてはいけない事になっている。古式ゆかしい伝統である。


「大きな(すずめ)さん可愛いですね」

「チチチ、チュバ、チチッチ」

「そう、わからないけど有難うね。

 貴女たちのお名前とこの子のお名前教えて貰えるかしら?」

「お初にお目に掛かります。(わたくし)グラダード男爵家が第一女子リーシャ・グラダードと申します。

 この子は(わたくし)の従魔でメルペイクと申します」

「お初にお目に掛かります。私ハイストス子爵家が第一女子ベイミィ・ハイストスと申します」

 - 以下略 -


「うん、リーシャちゃん・メルペイクちゃん・ベイミィちゃん・チェロルちゃん・ティロットちゃんね、覚えた。

 タリス・ラギストア・ルトアニア、大公家当主です。

 娘の遊び相手をしてくれているそうね。話は聞いていますよ。

 今後とも宜しくね」

「ありがたきお言葉頂戴致しました。此方こそ宜しくお願い致します」

 代表してリーシャが答える。


「うん。その子浮遊の御業を持っているのかな?」

「いえ【豪腕】と【鉄】だけの(はず)です」

「羽ばたきとの割に浮いているのは豪腕だけじゃないと思うよ。でかいし。

 一度調べてみると良いよ。

 じゃあまたね」


 その瞬間、また忽然(こつぜん)と消えた。


「しゅっ、【瞬間転移】の御業ですね。初めて見ました。浮いてたし」

「タリス大公殿下が帝都にいらっしゃるという事は、やはりルドルド・ラギストア皇帝陛下が退位なされるという噂は本当なのかも知れませんわね」

「ルトアニア領はどうするの?」

「さあ?」


 上からリーシャ、ベイミィ、チェロル、ティロットの順で喋っている。


「アリア殿下がお継ぎになるのかしら、(いず)れにせよ私たちが考える事じゃないわ。

 もうルトアニアは物語世界の様ですわね。

 当主も領も創造の遥か上を行ってます」


 上空に静止する巨大物体を眺めるリーシャたちだった。……とならず全員首をぎぎぎと曲げてメルペイクを見つめる。

 何かあったのかと理解できない様子のメルペイクは「パタパタ」と羽ばたきながら静止している。

 言われてみれば確かに変である。


「メルペイクって生存競争で兄弟に押し出されて巣から落ちたのでしたわよね。それで死にかけていましたのよねぇ」


 ベイミィ違うぞ自分の腕力で落ちたんだ。それで死にかけたのは確かだが。


「講義やマリオン先生からも習った後天御業の取得条件の一説、死に瀕した時に御業を得やすいとかなんとか。あれよ!」

「よく覚えてないけど、メルペイクあの時浮いてたよ。それでぱしっと捕まえたの」

「……」×7


 チェロルの発言に一同黙り込む。


 門の前にいたやんごとなき方々が手続きを終えたようだ。さあ私たちも行きましょうと黙して進むのであった。

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