表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
33/345

14移りゆく日々

 アリア殿下に気に入られたティロットはその後、何度か連れ去られては対戦をしていたようだ。

 アリア殿下がエミリア親衛隊長の剣技を受け継いだように、ティロットはマリオン先生とリーファ教導官の剣技を受け継いでいる形になるのだろうか。

 途中から対戦の観戦にリーファ教導官が来るようになり、ティロットに熱心な指導もしてくれるようになった。何故か別の対戦を見ているようだった。


 ベイミィは変わらず剣技と武技をそつなく(こな)していく。この(さま)を見ていたのか、ベイミィの趣味を見抜いたのかは判らない。

 ただ、アリア殿下は休園日にベイミィを連れ出してルトアニアから遠征に来ていた歌って踊る演劇なるものを見に行った。リーシャたちはオマケでご一緒させて貰えたようだ。

 アリア殿下の予想通りなのかベイミィは()まった。そして推しは誰だの談義に花を咲かせていたと思っていたら、剣技や武技に踊りを加える試みを始めていた。それを気隠使って見ていたチェロルも修得しつつあるようだ。


 リーシャは本格的に長刀を修練し始めていた。ちゃんとお子様用の長さである。

 ルグス殿下とたまに対戦する時に、最初は長刀を使っていたのだが、足下への攻撃と近接時の拳打・膝蹴りは流石に(こた)えるようで、剣技で対戦する事が大くなった。

 決してアリア殿下経由で、侍従の方がたまにボロボロになって帰って来るのを心配していたと知った事が理由でわない。


 ルグス殿下は型どおりの皇族だが、あの騒動以来は無難な対応に心がけ大きな失敗を避ける傾向にある。リーシャ自身は思いやりのある()き人の印象であった。


 アリア殿下は演劇の他にもリーシャたちに色々と便宜を図ってくれた。宣伝していた訳ではないのだが、リーシャが【聖】の御業を持つ事を知っており、メルペイクが魔落ちした原因を話すと大変驚いていた。

 【聖】のような超希少属性は滅多に授かるものが現れない為、あまり詳細がわかっていない。小動物に聖光を掛けすぎた結果だが、資料としては貴重なものとなったようだ。

 御業の掌握圏についても基礎を幾つか教えて貰い戦闘にも役立つ事がわかった。

 例えば気力の線、これを無意識に伸ばし対象を操作するのが御業だと。そして対象に気力の線が繋がっている状態であれば対象に強力な制御力が発生し、気力の線も強力になる。

 つまり対象を次々と経由して行けば遠隔制御でも他を抜きん出る。

 また、対象を制御することで気力の状態が強力になる現象を利用して、他人の気力が制御対象に届く前に力関係で上回って阻害する。この阻害する業、”対象を経由して網目状に広がった気力の線”を掌握圏としているそうだ。網状といったが実際は平面でなく立体なのだがね。

 リーシャたちは今まで直接繋いだ対象を制御する方法を行っていた。体から直線が何百と出ている状態だ。

 これを数本の線で数珠(じゅず)繋ぎにしていくのだ難しいというか最初はできる気がしなかった。

 アリア殿下曰く[元々数千の対象を無意識に制御していたのです。慣れれば数珠(じゅず)繋ぎも無意識でいけますわ]だそうだ。

 とういうか数千っておかしいだろとリーシャたちは言わなかった。ただ顔が引きつっていただけである。

 ティロットが自分の御業【酒】を使い掌握圏の練習をしていると、近くに居た数名のルトアニア令嬢たちが倒れてしまい。危険すぎると演習場では使用禁止となった。仕方なく普段は【海水】で練習している。

 アリア殿下はティロット自身は大丈夫なのかと尋ねたら【胃強】を持ってるという。はて【胃強】の御業があればある程度の酒精や毒などは分解できるのか、と疑問に思ったのか侍女に文を綴らせルトアニア領へ問い合わせをしていた。

 リーシャたちはそれを横で見ていて遠くルトアニア領の【胃強】持ちを思い酒や毒を試されるのかと想像しガクガクと震えた。


 チェロル? 最近全部隠れてるからなあ。ただ掌握圏は3人の中で格段に一番上手い。ああベイミィは粒系因子で使えるものが【石灰】ぐらいだから粉塵を普段練習する訳にもいかないからね。

 そういえばチェロルは最近は水の中に砂鉄を入れて高速に回す遊びをしている。まだまだ子供だなあ。


 ミルストイ学園には夏と冬に長期休日がある。リーシャたちは親元に帰れる貴重な時間だった。仲の良い友達が側に居るとはいえ、まだやはり子供である。親元を長期に離れるのは寂しい。

 リーシャは意外と甘やかされて育った。特に母サリアが甘やかし父ガルトアが苦言を呟くほどだった。帰省した折には飛びついて抱きしめられた。

 帰省中はまたマリオン先生に剣技・武技の指導をして貰える事となり充実した休日を過ごせた。

 チェロルがマリオン先生にびくつきながら言霊を習っている時だった。【砂鉄】の粒系因子を操るものだ。メルペイクの周りに漂わせていると、その部分がメルペイクの制御下に移動した。

 御業である。マリオンは【砂鉄】の御業と見当を付けながら驚きつつも小刀だし一応と目の前でぷらぷらさせて、「これも動かせる?」と訊くと止まり(ちゅう)に浮いた。【鉄】の御業である。

 【鉄】の御業は【砂鉄】の20分の1ぐらいしか授からないうえ、鉄で造った武器からは殆ど攻撃を受けなくできる。

 マリオンがこれは……と色々考えを巡らしていると、チェロルがまたもやよからぬ事をメルペイクに指示していた。

 上空に舞い上がるメルペイク、ある程度高度を上げるとピタリと止まり翼を少し折りたたみ地面に向かって滑空を開始する。地面に近づくと翼を広げ角度を上げる。そして庭の大きめの石(リーシャ5歳作)に鉄の礫が発射された。「どごーん」の大音響と共に木っ端微塵である。

 少し目が点になっていたマリオンだが、ハッと我に返り気隠で隠れようとするチェロルを捕まえて、眉をハの字にしながら危ない事をする前に先生に断りを入れなさいと説教をするのは仕方がない。そしてやはり昔を思い出したのか魚の死んだ目をするマリオンであった。


 そうそう、入学の時に行われた模擬社交の立食会であるが、少し裏の内容が変わったようである。

[皇族はその正当性が認められる場合に於いて、指示の上書きが可能となる。

 また皇族の采配を試す場では無い。

 場を乱した者たちの一時待機は学園寮の自室とする]

 と根本的には変わっていない気がする。普通に教諭の介入する事にすれば無難に()むと思うのだが。



 楽しくとも辛い事もある。知らないとも幸せな事もある。移りゆく日々、皆は小さな幸せを糧に生きていく。

 ミルストイ学園3年目、帝国暦81年、アリア殿下の妹、タリス・ラギストア・ルトアニア大公の第二女子テリシア殿下が入学した。

 姉にベッタリの甘えんぼで長旅も全く苦にならない様子であった。アリア殿下は何故かぐったりしていた。



 この頃だろうか、魔落ちした死兵がバグルス領に頻繁に出没するようになったのは。

 死兵は装備から旧バグルス王国の兵ではないかと推測された。魔落になった死兵は人だった頃の記憶が少しでも残っているのか故郷を目指したのかもしれない。

 この事からロクスサス渓谷での戦いに参加した兵士が、死してから長い年月放置されているのでは。と、バグルス領各地から戦後の処理不備を疑う声が上がった。

 だが戦場跡地で行われた後処理の作業には旧バグルス王国の兵たちも参加しており、その疑いは即座に否定された。戦地に死体は残っていなかったと。

 シリーズ管理の機能を使い「アリアは知らない」設定資料のページを追加しました。


 ラギストア帝国地図を投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ