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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
189/345

170何故

「50m以上は()りそうな亀ねー。アリア、()こえて()りましたよね! ハンナはまさか()だ植木鉢を抱えて()りませんよねー」


『ええ、()の聴音用耳当てと親和物質の接続は、本当に素晴らしく価値の()る着想ですわ。リーシャ様もラクスも()()って()れました。っと、巨大亀の話ですわね、皆に留意を(うなが)して()きますわ』


『へ、陛下、植木鉢を抱えて()りましたのは、植物を通しても周りから音が()こえるか試して()りましたに過ぎませぬ。今は当初の想定通り飛翔(ひしょう)板から音を集めて()りますから。……此方(こちら)の動きも(つぶさ)に伝わるので御座(ござ)いますか』


 潜泳機はマリオンが後部の床に降り立つや(いな)や、()(さま)動き始め前方部の操舵(そうだ)室へ着く頃には、水路の隧道(ずいどう)(くぐ)り抜ける(ところ)であった。

 それから調査任務で起きた事、得た事の情報を報告して今に至るのである。

 勿論(もちろん)、タリス皇帝陛下は【念話】の御業(みわざ)を持ち、(みずか)ら意識を(つな)いで会話して()るのだ。


 そして今の進路であるが西北西、と()っても壁柱を()けて通る(ため)で目的地は聖堂地下通路の入り江へ向かって()る。

 ()れは、調査報告の折に巨大田螺(たにし)の件が出て()た話の流れから、寄生虫が居るやも知れぬ(ため)留め置いて()る、じゃあ私が熱を通しませうとタリス皇帝陛下が(のたま)いて()()りにけり。


「陛下、()れより御業(みわざ)(もっ)ての推進を止め、潜泳機に備わる機能のみで潜行及び推進を開始(いた)します」


「はい、(よろ)しいですよー。()の指示も本来だったら、外のものたちに随時連絡し(もっ)て潜航確認をする(ところ)だろうけれど、常に聴音器具を使い()いて()れてるから便利よねー。今思えばリザエル・パッカードとやらが(おこな)った、予備部品の追加製造指示は的を射てたのね! 悔しいから兼任の役職を増やして()げるよう、()れと無く促して()きましょう」


「リザエルも泣いて喜ぶと存じまする」


 影は薄いがティアトア隊長はずっとタリス皇帝陛下の傍らに居るのである。


「――リーシャ、空気装填開始、(つい)で注水し第一潜行の基準(まで)として水深を計測――」

「=了解!=」


(ただ)、追加発注はしたものの、需要を考えれば魔石の数が圧倒的に足りないのよねー」


 操舵(そうだ)席でごぞごぞ指示を出して()たリーファ様は、当面、()る事が無いのかタリス皇帝陛下の会話に加わるべく口を開く。


「はい、ラクスやベイミィも()って()りましたが、発音……音を増幅させる魔石は希少で価値が高いかも知れませんが、潜泳機といった重要で意義の()る利用へは、ふんだんに使う事も(やぶさ)かで無いかと存じます。(しか)し今後、潜泳機の量産や聴音器具を近衛騎士団の各部隊単位で導入する事を考えましたら、(いささ)か足りないでしょう。ハンナ様も(しっか)り持ち帰るでしょうし」


 ラクス様は魔石の価値に()いて言及して()たが、値段とか製作所が天手古舞(てんてこま)いに()るとか知った事では無い(むね)の発言を、ほざいてたのはベイミィの方である。


「リ、リーファ様、()の件は……」


「ベイミィちゃん良いのよ! 確かに慎む事も時には優先しなくては()らないけれど、事、開発、特にチェロルちゃん「ヒィッ!」やリーシャちゃんの(つく)り出すものに制限を掛ける積りは無いよー。それに、()の判断は()の水中音声蒐集(しゅうしゅう)機が飛躍して性能向上した事を鑑みても十分正しいと()えるよ!」


勿体(もったい)無き御言葉(おことば)を頂き痛み入ります」


「はいー。ああ、ハンナはお母様の警護も()りますから()れは持ち帰って(かま)いませんよー」


『恐悦至極に存じまする』


 何故(なぜ)かハンナ様が本気で喜んで()ると思えてならないのは、気の所為(せい)だろうか。


(しか)し、()の潜泳機とやらは先端技術の(かたまり)だねー。空気を外から取り入れ圧縮し更には水を注入して重量を増やし潜行するのか。普通の場所で()れば常時専任の騎士を置いて警備に当たらねば()らない(ところ)だよね!」


矢張(やは)り御気付きに()られますか」


「ええ、縦令(たとえ)鉄やリーファの気で包まれて()ても其処(そこ)に空気や水の塊が存在すれば否応無(いやおうな)しに気付かされますよ! あら、止まりましたかしらー。少し中途半端な位置でしょうかね!」


「はい、背鰭(せびれ)に当たる部分を残して沈んだ(ところ)御座(ござ)います。今回大幅に部材を追加(いた)しましたので、重量加算時の潜行深度が大幅に変わった(はず)と確認した(わけ)御座(ござ)います。()の計器が示す水深だと背鰭(せびれ)の先端が60cm程水面から出て()るくらいでしょうか」


()る程ね! おっと、巨大亀ね! 主()しくは余所(よそ)から()って()た可能性も()ると、一応、定期的に監視をして移動が果たして()るのか、もう片方の主と思わしき巨大魚と接触した形跡は()るのかを確認したら良いと考えるけれど如何(いかが)かしらー。あっ、勿論(もちろん)、近付き過ぎちゃ駄目だよ!」


「はっ、御意に御座(ござ)ります」×3


「あっ、後ろの2人も返事したけれど、貴女(あなた)たちは私の護衛でしょ! (ああ)、私の近衛騎士団が到着したら此処(ここ)(しばら)く残して()ても問題無いのかな。人手も圧倒的に足りて無い(よう)だしー」


「タリス皇帝陛下、ハンナ様が部下の事でしたら、()の機会を(もっ)て徐々に慣らして()きたいと存じますが、できれば御配慮の程を(いただ)きたいと」


 ベイミィが()()ずと(はばか)(なが)()こえた内容を報告する。


「うーん、マリオン1人だった問題無かったのよねー。普段は3人ばらばらに行動してたら大丈夫なのでは?」


『それで()れば大丈夫かと、いえ、耐えさせますので問題御座(ござ)いません。()の道マリオンが警戒を促し(あまつさ)え、対峙(たいじ)するなら【慧眼(けいがん)】持ちに魔落の御業(みわざ)を確認させた方が良い、と言わしめるなど部下では手に負えませぬ』


 何故(なにゆえ)だろう、真っ青な面持ちで立ち尽くす近衛騎士たちの姿が、目に浮かぶ(よう)である。



---

修正記録 2017-08-18 08:59


()った事 → 起きた事


今に至った → 今に至る


句読点を追加


()るのである。 → ()るのだ。


操縦席 → 操舵(そうだ)


「。あっ、勿論(もちろん)、近付き過ぎちゃ駄目だよ!」追加


「。()の道マリオンが警戒を促し(あまつさ)え、対峙(たいじ)するなら【慧眼(けいがん)】持ちに魔落の御業(みわざ)を確認させた方が良い、と言わしめるなど部下では手に負えませぬ」追加

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