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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
176/345

157説明

 作業場に似合わぬ立派な椅子が、でんと2台ものさばってる。

 ()の周りでは生真面目に終始気を張る近衛(このえ)たちと、意味不明の一匹が(はべ)りたり。

 其処(そこ)に御座り(いた)すのは、タリス皇帝陛下とアリア殿下の御二方であらせられる。

 そして水路を挟んだ向こう岸では、せっせと荷解(にほど)きに(いそ)しむものたちが見える。


「ハンナ、()(まま)だと其方(そなた)の部下が持ちそうに無いねー」


「全ては(わたくし)めの不徳の致す(ところ)御座(ござ)いまする」


 3人の近衛(このえ)騎士は気を張らなければ瞬く間に腰砕けに()るだろう。来賓室の時より一層蒼白(そうはく)に顔色を変えて()る。


()ういう事じゃなくてねー。ライリッテ、マリオン、リルトル」


「ぴゃあぁ」


「……とバルパル? 3人と一匹で()の辺りの調査に行って()なさい! あー、主は殺しちゃ駄目よー。魔窟(まくつ)の主は大概の場合、其処(そこ)を管理して()るのだからー。そして知能も非常に高いのよ!」


「はっ!」×3

「ぴゃっ!」


「いえ、(しか)し、それでは陛下の護衛が……」


()の様な閉ざされた空間であれば宮城の私室と変わらないよ! ()れでも護衛が多過ぎるぐらいだから問題無いよー」


「御配慮を(いただ)き恐悦に存じまする」


「はいー。ところでリーファ、()(かわうそ)(さっき)の対応で良かったの?」


「はい、(なん)と無くですが喜んで()りましたので、御遣(おつか)いが終わったら好きに遊んで()なさい、とでも()われて()るのかも知れません。ん、ラクス、如何(どう)した?」


「はい、荷物の確認が終わりましたので、イザベラ様へ報告に参りましたので御座(ござ)いまする」


「あら、有難(ありがと)う。指示して()いのに気付いたのですね。私が発注したものが(しっか)りと届いたかは、後で確認しようと存じて()りました。それで、(なに)が届いたのですか?」


「全部で御座(ござ)います。耳当てと発音部品は組立てるだけを残して、形状加工を全て終わったものが届いて()りました」


()る程、確かにリザエル主任が、色々口添えをして()られる様ですね。見る人が見ればチェロルやリーシャが関わったかは、発注内容で()()りと(わか)りますから、此方(こちら)で組み立てられるものなら加工(まで)(とど)めて、全てを一度に送る方が有益だと判断したのでしょう。()の分だと(また)肩書が増えそうですね」


「はあ」


「ところで、ラクスは午前中の打合せを、全て書き留めて()りましたよね」


「はい」


「では、アリア殿下に()れから行われる概要を御説明できますか?」


「はい! ()らせて(くだ)さい!」


()れは私も()きたいですよー」


「ええ、ラクス、此方(こちら)に来て話し()さい」


(かしこ)まりました」


 ラクス様は意欲的に進言した後、作業を手伝う時に確認しようと持って()た書き付け文書と、()の黒い板を取り出して、左手の文書を読みつつ右手の板を向こう岸へと合わせるのだ。

 ベイミィが目聡(めざと)く気付いて屹度(きっと)(にら)むが、知らぬ顔と()うか板の調整と文書を読むのに必死で本当に気付いて()ない。

 準備ができると一度こくりと頷いてから御二方の前へ進み出て話し始めた。


「はい、()ずは新しく取り付ける水中音声蒐集(しゅうしゅう)機を聴音側と仮接続してから確認作業を行います。(これ)は幾つもの機器から伝わる音を集約して一箇所へ集める際に、てれこだったり断線や機器の不具合で音が出なかったりと、して()いかを見極めるものです」


 普通だと()の時点で何を()ってるのか(わか)らない(ところ)だが、タリス皇帝陛下は飛翔(ひしょう)艇の開発に(たずさ)わって()られたのだし、アリア殿下は言わずもがな飛翔(ひしょう)機開発どころか、水中音声蒐集(しゅうしゅう)機を持ち込んだと言うか今回の件を指示した張本人である。


「あ、順番が逆に()りましたが、今迄(いままで)の水中音声蒐集(しゅうしゅう)機は外の音は()こえても()の方角から音が()こえて()たか判断ができませんでした。()ういった事情も()り水中へ潜る(ため)(うつわ)である潜泳機からは、外の状況を確認する手段が乏しく、(また)、目視に()る確認も水中では泥などに()(よど)みで、簡単に遮断される弱みも()りましたので御座(ござ)います。先に述べた機器の確認作業は(これ)らを打破する(ため)に音の方角を確認できるよう創意工夫したものの取り付け準備で御座(ござ)います」


「ふむー、解ったよ!」


「はい、それで、詳細というかチェロルさんの発案なのですが、潜泳機の四方八方上下に集音装置、私たちは音感器具と()って()りますものを取り付けて、()の配置に合わせて音が()こえる器具を耳元に配置すれば、【器用繊細】の御業(みわざ)(もっ)て音を立体的に把握できると()う寸法で御座(ござ)います。勿論(もちろん)、潜泳機の構造上取り付けられる場所も数も制限が()るのですが」


「そして最初の話しに戻るんだね!」


「あ、はい、(いた)らず申し訳御座いません」


「大丈夫だよー。それに()ういうのは慣れだからね! 専門でも無いのに(しっか)りと()いて()る事が(うかが)い知れるよ!」


「はい! 光栄の至りで御座(ござ)いまする」



---

修正記録 2017-08-02 12:28


2台のさばってる。 → 2台ものさばってる。


句読点を変更


御座りするのは → 御座り(いた)すのは


()る。 → 見える。


行わる → 行われる


形状加工が全て終わって()る様で御座(ござ)います

形状加工を全て終わったものが届いて()りました


平仮名推奨文字を漢字に変更


()う言うと → 意欲的に進言した後


書き付け → 書き付け文書


黒い板 → ()の黒い板


左手で → 左手の


紙 → 文書


出なかったり、 → 出なかったりと、


確認作業中の機器 → 機器の確認作業

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