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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
174/345

155盲信

 (なん)()んだと()(なが)ら、()の張り詰めて緊迫した硬い空気は(やわ)らいだ。

 結局、(もっと)も恐ろしい(はず)である()の方が、()り替わって3女傑が恐ろしいと()った(さい)たる原因が()れである。

 タリス皇帝陛下ののほほんとした柔らかい雰囲気が、()の真実を覆い隠す。

 ()れはハンナ様が率いる()りすぐり、と()われる騎士たちで()っても気付けない。()だ4番手5番手を争って()るものたちなのだ。イザベラ様ですら最近、(やっ)とタリス皇帝陛下に認めて(いただ)いた(ばか)りなのだから。


 だからこそ皆から認められ、だからこそ誰も刃向かわない。

 ああ、リーファ様は親代わりみたいなものだ。

 だからこそ陛下はリーファ様にも3女傑にも甘えるのだ。


「うん、ではリーファ」


 若干、(やわ)らいだ空気に満足したのか、頷き(なが)らタリス皇帝陛下は声を掛ける。


「はっ、(かしこ)まりました。先頭はハンナ様の小隊、殿(しんがり)はリーシャの小隊、アリア殿下の部隊は陛下の後ろをお願い(いた)します。ああ、()れから荷物はアリア殿下とリーシャの部隊で……」


「リーファ様、荷物は()れ程大きくなかったので、先程メアリーが全ての転送を完了したと報告が来て()ります」


 イザベラ様の中言にリーファ様は(うなず)き次の判断をする。


(あい)(わか)った。ではハンナ様」


「ええ、ほらリルミール、しゃんとしなさい」


 ハンナ様はリーファ様に(うなが)されて席を立ち、いの一番に来賓室を後にするのだ。

 そして、廊下で後ろに続く騎士たちへ言葉をかける。


「ふっ、貴女(あなた)たちも少しは地に足が着いた様ですね。全く、タリス皇帝陛下が御気を利かせに()られ3女傑を茶化して御話頂いたから、()うして真面(まとも)に動けて()るのですよ。リーシャさんたちとて御期待を匂わせあたふたと慌てさせる事で、未熟な騎士の姿から皆の庇護(ひご)欲を誘って手綱を引き締めたのですよ。()れを後からでも(よろ)しいのできちんと理解()さいませ」


「はっ!」×3

「はい」


 ハンナ様は(いささ)かタリス皇帝陛下やアリア殿下に、毒され過ぎて()る嫌いはなかろうか。

 純粋におちゃらけて2人やリーシャたちをからかい、楽しまれて()る気もする。

 ()の御話を皇太后陛下へ御伝えすると顔を綻ばし終始ご機嫌でいらせられるのが、余計に拍車を掛けて()るのだが。


--


 リーシャの(つく)り出した六角多孔(たこう)飛翔(ひしょう)板の登場で、戦術が大きく変化したのは間違いない。

 特にタリス皇帝陛下は()れの研究に力を入れ、様々なものを(つく)り出した。()の最たる例が金剛石の飛翔(ひしょう)板である。

 ()れは天然のものより硬く熱にも強いという特性(まで)()り、剣で斬り付けようものなら一度で刃毀(はこぼ)れして仕舞(しま)うだろう。

 同じく気力を通した物質なら、元の強度に準じた力関係と()るのだ。

 チェロル式や六角多孔(たこう)飛翔(ひしょう)板であれば、金剛石の飛翔(ひしょう)板に体当たりされても完全破壊からの墜落なんて事は(まぬが)れるかも知れない。

 だが、()れは一瞬で()ちるか(いず)()ちるかの違いなだけで、結局の(ところ)は体当たりもできなければ攻撃もできないと()う、余程の実力差が無い限り逃げるのが一番と()って仕舞(しま)うのだ。

 そして、()の実力差すら飛翔(ひしょう)()りきで組立てられた戦闘術を前にしては、(くつがえ)されて仕舞(しまう)のである。


「あっ、タリス皇帝陛下が御乗り()される飛翔(ひしょう)板は、前にリルミール様が使われて()たものと同じなのかな?」


「ええ、()う、私たちは目立たない様に黒にして()りますが、陛下はきらびやかに飾り立てることも御勤めであらせられますからね。リーシャさん」


「あ、有難(ありがと)御座(ござ)います。ラクス様」

「チュビ」


 地底湖の事を知るものを増やす訳には行かない、と()っても皇帝陛下と()れば()うも行かない(はず)である。

 だが、元々連れて()近衛(このえ)騎士の人数は、()れ程多くも無いから仕方が無い。

 勿論(もちろん)、急ぎ来たタリス皇帝陛下の時とは違い、(しっか)りと時間を掛けて準備を整えた別働隊が、規定の速度を守った上で夕方頃には到着するのだろう。

 (ただ)、他の皇族よりも連れて()く近衛騎士が若干多い程度という(ところ)であろうか。


 リーシャたちは今、石祠(せきし)の大広間に居る。

 地底湖へ向かう階段を次々と降りて()く御方々を、順番待ちの間呆然(ぼうぜん)と眺めて()(ところ)なのだ。

 此処(ここ)へ来る(まで)に、元タリス皇帝陛下の近衛(このえ)騎士と見受けられる方々が、礼を()る前を何度か横切って()たのである。

 ()の騎士たちは飛翔(ひしょう)板を抱える一団を見て、(なに)を感じたのだろうか。

 ラクス様やリーシャが長刀を持つ姿は明らかな武装であり、()れから()の様な場所へ赴くことは()()りと(わか)(はず)である。

 ならば自分たちも御側(おそば)に付いて御守(おまも)(いた)したいと思うに違いない。

 だが、()の3人を見て顔付きが(ゆる)んだ様に見受けられたのだ。

 目は死んだ魚の様だが、そんな事は関係無いくらい皆から信頼されて()るのだろう。



---

修正記録 2017-07-31 09:32


(まだ)だ → ()


リーシャたちとて → リーシャさんたちとて


楽しまれて()る気がする。 → 楽しまれて()る気もする。


()の話を皇太后陛下に伝えると → ()の御話を皇太后陛下へ御伝えすると


力関係と()るのである。 → 力関係と()るのだ。


(まぬが)れられるだろう。 → (まぬが)れるかも知れない。


句読点を変更


此処(ここ)の事 → 地底湖の事


人数が、()れ程多くも無いのである。 → 人数は、()れ程多くも無いから仕方が無い。


「急ぎ来たタリス皇帝陛下の時とは違い、」追加


()う、若干他よりも人数規模が多い程度しか近衛騎士が居ないのである。

(ただ)、他の皇族よりも連れて()く近衛騎士が若干多い程度という(ところ)であろうか。


リーシャたちは石祠(せきし)の大広間で、 → リーシャたちは今、石祠(せきし)の大広間に居る。


順番待ちをする(ため)唯唯(ただただ)眺めて()るのだ。

順番待ちの間呆然(ぼうぜん)と眺めて()(ところ)なのだ。


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