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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
171/345

152機会

 其処(そこ)にはアリア殿下の近衛(このえ)騎士たちと派出所の一同並びにおまけのリルミールが、ずらりと列を()し一様に(かしこ)まって礼を()るのである。

 リーシャたちは()の長い礼を()る間、(なん)()の前衛的な切り口に()る岩芸術を片付けなかったのかとか、何時(いつ)の間に移動用の簡易階段を立派で頑丈そう階段に替えたのかだとか、色々な思いが駆け巡って()る事だろう。

 勿論(もちろん)、皇帝陛下だと宮殿の上を飛び越しても()いんだとか、演習と称して駐留する近衛(このえ)騎士団の次は(なん)とごまかして()るのだろうかとかは、考えもする(はず)無いだろう。

 西からはアリア殿下が降り立ち、東からは飛翔(ひしょう)板を派出所に立て掛けて、タリス皇帝陛下の元近衛(このえ)騎士たちが駆け足で()って()る。


「陛下、()越し頂くのは一向に構わないのですが、何故(なにゆえ)突然に()の機会を選ばれたのですか?」


 リーファ様は駆け付けた元近衛(このえ)騎士たちへ、()(まま)護衛に()くよう指揮を()りつつ話し始めるのだ。

 ()の口振りから(いず)れ来られる事は想定済みだったのかも知れない。


「うん、今朝の話は()いたよ! おっ、リルミールちゃん面白い所に混じってるねー。ティロットちゃんと一緒に活躍したそうじゃない。色んな意味で! お母様も()めていらっしゃたわよ!」


「恐悦至極に存じます!」×2


「うん、それでね、今なら此処(ここ)を中心に騎士が(あふ)れ返って()ても不思議じゃ無いでしょー。騒動の原因も程良く話が行き渡って()るだろうし、此処(ここ)も宮殿を飛び越して()れば目立た無いしねー。あっ、荷物も届けに来たのよ!」


「イザベラ指示を」


 イザベラ様は()の言葉だけで部下に荷物を下ろすよう指示を出す。まあ、受取人の指定はイザベラ様なのだが。


此方(こちら)へ」


 そして、リーファ様は話を()(なが)ら施設へと向かう(ため)に先導を始めるのである。

 勿論(もちろん)、目でリーシャたちに付いて()なさいと指示する事を忘れない。

 僅かに顔の引き()るリーシャたちは、できれば()の場を御暇(おいとま)したいとか、派出所は質素だけど物置小屋じゃ無いんだよとか、考えて()(はず)は無かろうて。

 そんなリーシャたちはアリア殿下一行の後ろに続いて行けるよう立ち止まり、其方(そちら)に顔を向けるとハンナ様の小隊が飛んで()るのが見えるのだ。

 既にイザベラ様には連絡が入って()る様で、(なに)やら指示を出して……封鎖の解除だろうか。

 ()(かく)、ハンナ様を待とうとするリルミールを逃すまいと引きずって、アリア殿下一行が過ぎ去ると()(あと)を粛々と続いて歩くのである。


()れは好機じゃないかと網を張りつつ悩んで()た訳なのよー。そしたらアリアが荷物を大至急に納品させて音を超えるぐらい特急で、此処(ここ)に届けさせる指示を出した上に、お父様にも話を付けて()れたみたいで、多少轟音(ごうおん)が鳴り響いても良く()ってたのよね!」


 リーファ様がちらりと後ろを見遣(みや)るとアリア殿下は目を()らす。どうやら騒動の原因を作った後ろめたさは()る様だ。


「あら! ミリザ、此処(ここ)を受け持って()るのね?」


「はい、陛下がお気に入りの茶葉を用意して()ります。()ぐに来賓室へ向かいますのでしょうか?」


 後半からはリーファ様を見ての質問である。


「ああ、人数は多いが護衛はどうせ立った(まま)だから、()れで(よろ)しいでしょう」


 リーシャたちは嫌な予感を感じ始めたのか、顔色が(すぐ)れない。リルミールだけ平然として()るのは、事態を()く理解できて()いのだろう。


「うん、それでね、こんな絶好の機会は逃す手は無いでしょ! 他で視察と()れば(また)(なん)らかの偽装を考える必要が()るし、折角アリアがとちった事態をお母様が上手く修正してごまかせて()る状況なんだから勿体無(もったいな)いよね!」


「陛下、奥の席へ、確かに地底湖への視察と()れば(あと)は、儀式の折に聖堂から下りるぐらいしか当面の手段としては無いでしょう。(ただ)()だ地底湖の調査が(ほとん)ど進んで無い状況ですから、正直な(ところ)はもう(しばら)く待って(いただ)きたかったので御座(ござ)います」


「アリアが無茶をして強引に事を進めて()るのですよ! (なに)か面白そうな事が()るに違いない! ()う思ったら居ても立っても居られないよね!」


「まあ、結局は其処(そこ)に落ち着くと薄々(わか)って()りました。お前たちも座りなさい」


「い、いえ、皆様が立っていらっしゃるのに滅相も御座(ござ)いません」


(いや)、他の騎士はマリオンも含めて護衛だぞ。座ったらいざという時に動けないから立ってるのだ。理由も無いのに立つ意味が無い。リルミール、しれっとして()るがお前もだぞ。(ひよっこ)たちが下手に動かれても困るから座って()た方が増しだ」


「ええっ! わ、(わたくし)陛下の御前(おんまえ)に長時間()りますると、緊張して逆上(のぼ)せ上がって仕舞(しま)ます……」


「大丈夫よ! 前は1刻程持ったのだからねー」


「あわわ、そ、()の節はとんだ失態をば……」


「……(ああ)、もうすぐハンナ様が来るから()の後ろにでも隠れときなさい」



---

修正記録 2017-07-28 11:51


()の長い礼を()る間、」追加


勿論(もちろん)」を文頭に移動


近衛(このえ)騎士団たち → 元近衛(このえ)騎士たち


リーシャたちはできれば外して欲しいとか、

僅かに顔の引き()るリーシャたちはできれば()の場を御暇(おいとま)したいとか、


(はず)は無いだろう。 → (はず)は無かろうて。


「 ()(かく)、ハンナ様を待とうとするリルミールを逃すまいと引きずって、アリア殿下一行が過ぎ去ると()(あと)を粛々と続いて歩くのである。」追加


語尾を変更


平仮名を漢字に変更


句読点を追加変更


とちった状況をお母様が → とちった事態をお母様が


確かに視察と → 確かに地底湖への視察と


下りるしか無い → 下りるぐらいしか当面の手段としては無い


正直な(ところ)(しばら)く → 正直な(ところ)はもう(しばら)


着くとは(わか)って → 着くと薄々(わか)って


「ええっ! 私緊張して鼻からお茶を出して仕舞(しま)ったらと思うと……」

「ええっ! わ、(わたくし)陛下の御前(おんまえ)に長時間()りますると、緊張して逆上(のぼ)せ上がって仕舞(しま)ます……」


「大丈夫よ! 前は1刻程持ったのだからねー」追加


「あわわ、そ、()の節はとんだ失態をば……」追加

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