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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
165/345

146議論する

前話の続きからです。


甲斐甲斐(かいがい)しい=(しっか)りとしていて手際よく、きびきびと立ち振る舞う

(親身で手厚く、丁寧な(さま)。けなげな(さま)などの意味もあるが作中では上記)

「あ、(わか)りました。イザベラ様、お答え(いただ)有難(ありがと)御座(ござ)います」


 リーシャは少し(ばか)り恥ずかしそうに、やや目線を下げ気味でお礼を述べるのだ。確かに少し現状を(おもんばか)れば、(おの)ずと出て()きそうな答えである。


「ええ、(よろ)しいのですよ。()()って疑問に思った事を気軽に()けるのは若い内だけですから、()く義務が()ると()っても過言ではありません。()かずに自分の狭い視野で想像するだけに(とど)まり、微妙に間違った内容で覚え判断する事の方が()(ぽど)()ってはいけませんからね」


 イザベラ様の言い分は過分に思えるが、リーシャの若干見せる後悔の念を(おもんばか)っての事だろう。


「はい、分かりました。肝に銘じて()きます」


--


 何時(いつ)に無く真面目な面持ちで其処(そこ)には6人が向かい合う形で座って()り、(なに)やら活発な意見を交わして()(ところ)なのである。


 場所は変わらずお茶も終わらず少し座る位置が変わって人が減っただけである。

 マギーとミリザさんが示し合わせたかの(よう)に、()の場を後にして何処(どこ)ぞに行って仕舞(しま)ったが、侍女3人は残って甲斐甲斐(かいがい)しくお茶の世話をする。

 そして、リーファ様、イザベラ様、マリオン先生の3人は少し離れた所で無関心を(よそお)いつつも、(しっか)り様子を(うかが)って()るのだから落ち着かない。

 (さて)、言わずと知れた6人だが何故(なぜ)か二分した集団を形成しつつ()る様だ。


(そもそも)、私は事の経緯を余り(わか)って()ないのですが?」

「あっ、私も」


 ラクス様の質問に便乗してリーシャも控えめに手を上げ賛同する。そして全く知らぬ(はず)のティロットとリルミールはごにょごにょと2人して、(これ)(また)真剣に(なに)やら話して()最中(さなか)なのである。


「――ティロット様、何故(なぜ)私たち(まで)()の場に引っ張り込まれたのでしょう? ――」

「――ふむ、()(ほど)! 確かに私たちは此度(こたび)(おい)てアリア殿下のご指名に(あずか)って()らず、(また)()の件に関しての知識も(とぼ)しい故、一見して蚊帳(かや)の外に感じるやも知れぬ。だが、此処(ここ)に座して()る事で初めて知れる事もあろう! 無知が故に気付ける事もあろう! (いず)れにせよ私たちは助っ()()るのだから、ものの方向たるを少しでも知り得れば、よりきめ細やかな御手伝いができると()うものなのである! そして、()れが騎士たるものの在り方に通ずるのではないかな! ――」

「――おお、(なん)だか()(わか)らないけれど座ってる事が重要なんだね――」

「――()()りなん! ――」


 どうやら、ティロットはリルミールの前で恰好(かっこう)を付けて()るだけの様である。


「はい、それでは私が述べさせて(いただ)きますわね」


 流石は水中音声蒐集(しゅうしゅう)機の専任担当であるベイミィだ。


「事の発端はアリア殿下と水中音声蒐集(しゅうしゅう)機の性能確認を(おこな)って()る時で御座(ござ)いました。()の性能は例えば遠くに居る人が水辺で()む歌の声が()こえる程でして、更には()の音の伝わり方や反響を【器用繊細】に()って精査し(かんが)みる事で、発生した場所の距離すらも測れるのではないかと()う結論に至ったので御座(ござ)いますわ」


「――ぬぬっ! ――」

「――何だか気になる言葉が混じってた様な……――」

「――騎士たるもの何事にも動じぬものであらん! ――」


(ただ)、問題も御座(ござ)いますのよ。音と距離が(わか)っても器具を通して()(ため)にどうしても方向を判断する事ができないので御座(ござ)います。そして音の反響から推測して周囲の地形まで把握できる可能性を見出したですが、(これ)には何処(どこ)かで音が発生して()る必要が御座(ござ)いますの。あっ、更に言えば潜泳機自体から音が出てれば、(とて)も判断や推定が簡易化されますわ」


「だからアリア殿下は音の発生する方向を確認できる方法と、自ら音を発生して反響を精査できる方法の2つを御求めに()られたのですわね。ところでベイミィ様、言葉遣いが普段と違くありませんか?」


()の方が議論を重ねて()りますって、雰囲気がありませんか?」


「特には?」


 ラクス様は首をこてりと(かし)げて率直な感想を述べるのみである。


「……では何か提案が()りましたら……各種機材取付け技術主任で()るリーシャ様、お願い(いた)します」


「えっ!」



---

修正記録 2017-07-22 10:17


其処(そこ)に6人 → 其処(そこ)には6人


幾つかのルビを追加


---

修正記録 2017-07-22 02:07


残って()りお茶の → 残って甲斐甲斐(かいがい)しくお茶の


無関心の振りをして、(しっか)り → 無関心を(よそお)いつつも、(しっか)


全く知らぬ(はず) → そして全く知らぬ(はず)


最中(さなか)だ。 → 最中(さなか)なのである。


動じぬのものであらん! → 動じぬものであらん!


「。あっ、更に言えば潜泳機自体から音が出てれば、(とて)も判断や推定が簡易化されますわ」追加

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