表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
164/345

145伝えるもの

 周りを見渡すと(みな)一様に(にこ)やかで優しげだ。

 ()の顔には任せて()れと言わん(ばか)りの頼もしさが(あふ)れ出てる。

 (いや)、ベイミィだけは”(なに)()ったか教えて差し上げても(よろ)しいのですよ”と()う面持ちなのではなかろうか。


 くよくよして()ても仕方が無い。()の際、覚えて()いのだし割り切ろうと、そんな感じだろうか。

 ()(かく)、若干(へこ)んで()たリルミールだが、「よし」と()こえて()そう感じで顔を上げた(ところ)である。


(さて)、先程も少し話に出た不審者の捕らえ方と言うのも(なん)だが、まあ、注意点だろうか……。()(かく)、相手の戦術や常套(じょうとう)手段が(わか)って()()れを踏まえて詰め寄ったのなら問題無いが、()れも無く不用意に近付くのは悪手だな」


「うっ」


「直前にマギーの罠に掛かりあっさりと無力化された不審者を、目の当たりにし(なが)ら警戒を怠り不用意に近付いたのだから尚更(なおさら)駄目駄目だ」


「ううっ」


「リーファ様、リルミールの反応で遊ぶのは……」


 リーファ様はマリオン先生に自重(じちょう)(うなが)されたので、ごまかしめいた咳払(せきばら)いをしつつ話を戻す。


「ん、んん、まあ、今回の相手は(たまたま)設置や常駐できる御業(みわざ)を持って()なかったが、リルミール、お前さんなら相手の情報が不明な場合に、()の様な手段を講じて()ると予想する?」


「え、はい、ティロット様の(よう)に、【酒】の粒系因子を前以(まえもっ)て周囲に散布して()く事でしょうか。(これ)()って周囲に近付けば、制御を離れた酒粒が降り掛かります。あっ、(あと)空気系の御業(みわざ)持ちが周囲の空気構成比を偏ったものに改変して()る事でしょうか」


「そうだ。見る事ができない気体の(たぐ)いで周りを固められると中々厄介だぞ。特に空気系は運動能力を低下させ、時には重症を負い()ねない危険なものだからな。(あと)は落とし穴やマギーさんの使った罠の類い、(これ)()前以(まえもっ)て準備が必要だから、今回の場合では当て()まらないのだがな」


「では、では、どう()って気体系の罠を攻略するのですか?」


()ずは今朝見た様にマギーさんの罠やティロットの牽制攻撃で、徐々に動きを止めて()く事だな。そして動きが鈍った(ところ)で遠距離攻撃を(もっ)て昏倒させる。特に相手が今朝みたいな明らかなる不審者であれば手加減はするな。生死云云(うんぬん)躊躇(ちゅうちょ)して自分が怪我する(ばか)りか仲間が大怪我でも負ってみろ。後悔だけでは済まないぞ」


「は、はい! 分かりました!」


「後は……人数が多い時に全員で大気を吹き飛ばし(なが)ら一気に詰め寄って、全員の気で飽和状態を作り御業(みわざ)を封じる方法も()るが、(これ)は武力寄りのものたち業で、経験も技術も必要だからお前さんたちには関係ないな」


(ああ)()れは連携も凄い必要そうですね」


「ああ、他にも注意しないといけないものが()ったが、(これ)はハンナ様から教えて(もら)え。団長()しくは指導官からしか教えては()らないものも幾つか()るからな。こんなぐらいだな。よし、以上だ」


「あ、はい!」


「ところで、本来の予定でしたら水中音声蒐集(しゅうしゅう)機の改変を行う事に()って()たのですが、()れに()いて案を(つの)って相談する(まで)なら、此処(ここ)談話室でも可能なのでしょう。ですが()(のち)の事を考えますと矢張(やは)何時(いつ)頃に()れば、潜泳機の許迄(もとまで)行けるのか気になりますのですわ」


 ラクス様は曲がり(なり)にもアリア殿下の命に()って此処(ここ)に来て()る訳だから、()れが(とどこお)る事態は居ても立っても居られないのだろう。


「一応、(たま)此方(こちら)へ入って()る情報に()れば、包囲展開索敵陣は3区画全て終了した(ため)、現在一部の騎士部隊を残して引き揚げに入って()る状況だな。()だ全市街地の警邏(けいら)強化は引続き継続して()るが、私の動かして()る元近衛(このえ)騎士団の部隊は午前中で解散する予定だから、昼からで良ければ何時(いつ)でも下に降りられるよ」


「はい、リーファ様、お答え(いただ)有難(ありがと)御座(ござ)います」


「ああ、構わない。ん? イザベラの方も(なに)か情報が入って()るのかい?」


「ええ、はい、つい先程入った情報に()れば、自供に基づき他の4人の潜伏先と思われる場所の数箇所へ、騎士隊に()る強襲が行われたとの事ですが、既に(もぬけ)の殻だったそうで御座(ござ)います。()る程度の自供は身柄を本領へ送還させる(ため)の要求手段として、最初から許されて()りましたのかも知れません。それとも()の隊長格とやらが信頼されて()らず、騎士たちの急変を皮切りに早々に引き揚げたのでしょうか」


「……()の辺りの微妙な意味合いも、今後の捜査に影響しそうだから連絡して()くよ」


有難(ありがと)御座(ござ)います」


()の……イザベラ様は何故(なぜ)リーファ様より早く情報が入るのですか?」


 矢張(やは)りリーシャは気になると()いて仕舞(しま)(たち)なのだろうか。()れは()れとして、帝国貴族でも上位に位置する侯爵家当主であり、曲がり(なり)にもタリス皇帝陛下直属の臣下でもあるリーファ様よりも、アリア殿下直属の近衛(このえ)騎士団と(いえど)も最新の機密情報が入るのは不思議に思える様である。


「ええ、()れは(ただ)単に近衛(このえ)騎士団の中枢(ちゅうすう)陣営がアリア殿下と共に宮殿に()り、(しか)其処(そこ)は皇太后陛下に謁見が許される場なのです。(おの)ずとハンナ様乃至(ないし)他の方から情報は次々と入って(まい)りますわよ」



---

修正記録 2017-07-21 08:48


自重(じょちょう) → 自重(じちょう)


幾つかのルビを追加


気体 → 気体系

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ