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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
152/345

133明日の予定は?

 前話(四章132)の修正で400字ほど文を追加しております。

 (また)、前話(四章132)の後書きに少しややこしい意味合いを持つ言葉の補足説明を加えております。

 始まりあれば終わりある。皆は潜泳機での作業も(ほぼ)終わり外に出て()て作業場の所々で打合せや雑談をして()る様子が見受けられる。

 そんな今にも”そろそろ戻りましょうか?”と言い出しそうな頃合いの折である。主立った面々は今後の予定を話すべく、アリア殿下の一声で集められたのだが。


「はい、明日は(しっか)りと予定を組ませて(いただ)いて()ります」


 アリア殿下の提案はハンナ様に()ってけんもほろろに却下されたのである。悔しそうだが仕方が無いと観念したのか話を切り替える事にした様だ。


「……ではラクス、私は非常に残念なことですが明日の午前中一杯(いっぱい)予定が詰まって()り、此方(こちら)に来ることが(まか)()りません」


「あ、はい」


 突然、声を掛けられて少々困惑気味のラクス様である。


「ですが、今日、(おこな)った数多の重要・・な検証で水中音声蒐集(しゅうしゅう)機の有用性が証明された訳ですから、ラクスには是非とも()()の技術を高めて()って(もら)いたいのですわ」


 ()の盗聴(まが)いの執拗(しつよう)なリルミール観察も全てが重要な検証の一環らしい。

 そうですわよねとアリア殿下が目で訴える(よう)にエミリア様を見遣(みや)ると、()の意を理解したのか捕捉するようにエミリア様は語りだすのである。


「はい、()の技術から得られる情報は可也(かなり)有用です。目的地の状況や動向を詳細に読み取れる上に、知覚系の御業(みわざ)を使用した時に漏れ出る特有の気配が全く出て()りません」


「あら、そんな事が(わか)るのですか?」


「はい、(たゆ)まぬ訓練次第で【暗見】【慧眼(けいがん)】といった御業(みわざ)出す気力の線を感知できますよ。話を戻しますが、今回の検証で地形精査も可能だが音が何処(どこ)かしら発生して()る必要がある事、水中に比べると大気中での音声蒐集(しゅううしゅう)は有効範囲が短い事が判明したのは大変に良い収穫でしたと存じます」


間諜(かんちょう)(たぐい)が使って()いとは言い切れないから、()れを想定して動くには(わざ)や技術の特性を知らないと駄目だからな。そして、護衛を行う上でも()の業があれば気配を消した相手や不穏分子を逸早(いちはや)く見付けられるのではないかな」


 エミリア様やリーファ様の言葉を受けて、アリア殿下は満足そうに頷いてから本題に入るのである。


()きましては明日は朝から……そうですわね。水中音声蒐集(しゅうしゅう)機を担当するベイミィ様、潜泳機総合技術責任者のチェロル様、「ヒッ!」各種機材取付け技術主任のリーシャ様の3人と()く打合せをして、今上がって()る問題、音の発生した方向を確認できるようにする事と、音が何処(どこ)からも発生して()ない状況で自ら音を出して反響音を精査できるようにする事、()の2つを考えて(もら)いたいのですわ」


 ベイミィやチェロルは()(かく)何時(いつ)から自分は技術主任に()ったのだという顔付きをして()るリーシャだが、皆()の様な担当を任じられた覚えが無いのは確かだ。

 ()の分だと(また)何時(いつ)の間にやら見に覚えのない報酬が、支払われて()そうで怖いものである。


(わか)りました。御期待に添えるよう努力したい所存で御座(ござ)います」


 正直、ラクス様としては絡繰(からく)り関係の事は専門外なのだろう。蓄音魔機から音を出せたのも当てずっぽうの節が()る。(なに)せ音の抽出元と思われる箇所へ手当たり次第に気力の線を(つな)ぎ、(ようや)く音が鳴った瞬間は喜びよりも()め息を()いて()たのだから。


(かしこ)まりました」×3


 リーシャたちの役職は()(かく)()る事は何時(いつ)もの事であるのだから、手伝って()れるものが増えて喜ぶ事はあれど反対する理由は無い。()してお世話に()って()る皇族の御命令なのだから、(にこ)やかに笑顔を見せて従うのみである。

 チェロルだけ顔が硬いのは責任の重さに引き締まっての事だろう。突然に話題を振られて驚き強張(こわば)って()るからでは無いのだ。


 アリア殿下は()れに応えて唯唯(ただただ)笑顔を返すのである。自分も参加したいなどと(おくび)にも出さずに。


--


 そして此処(ここ)ではリルミールがにへらと顔を(ほころ)ばせ続けて()り、アリア殿下の話を()いて()たのかさえ不安に()()(さま)なのだ。

 明日は皇太后陛下の近衛(このえ)騎士として振る舞うのが主の仕事であるから、今迄(いままで)の話し合いが関係無いのは確かなのだが、横に居るハンナ様には唯唯(ただただ)不安なだけである。


「リルミール、()だ見習いである(はず)貴女(あなた)は、()(ところ)の忙しさで(しばら)く訓練ができて()りませんでしたからと、明日は久し振りに同期の子たちと訓練をさせようと考えて()りました」


「おお、久し振りで……」


(ただ)貴女(あなた)を見て()ると無性に不安が(よぎ)るのを禁じ得ないのです」


 うん、間違いなく自慢するだろう。アリア殿下に会った事自体が秘匿事項なのに、何処(どこ)何故(なぜ)と芋づる式に秘匿事項が更に(つな)がるのだから。


「ですから、貴女(あなた)は明日、1人でですがリーシャさんたちを手伝って()なさい。できますね?」


「はい、お任せ下さいませ」


 と自信満々にリルミールは返事をする。勿論(もちろん)()れにも不安だが幾分()しだと思わせるのは仕方無かろう。



---

修正記録 2017-07-09 07:59


「 ()の盗聴(まが)いの執拗(しつよう)なリルミール観察も全てが重要な検証の一環らしい。」追加


良い収穫 → 大変に良い収穫


リルミール、明日は、()だ → リルミール、()


、久し振りに → 、明日は久し振りに

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