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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
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130優先します

 (さっき)のハンナ様(よろ)しく花壇の前で座り込んでるリーシャの首根っ子に手を降ろし、服ごと(つま)み上げて立たせてる。そんなベイミィたちを背景に、黄昏(たそが)れて気を落とした(てい)を見せつつ、潜泳機の横に掛かった梯子(はしご)をラクス様は昇り()く。


「ラクス待ちなさい」


「あ、はい、アリア殿下、私は()の機会を得たからには、果敢に面白の才能を伸ばす所存で御座(ござ)いますわ」


 意外とラクス様は前向きだった。()しかしたらリーシャたちと違い面白の才能には価値が()ると真剣に考えて()るのかも()れない。

 そして真剣に精進する方法を考えて()たからこそ、心此処(ここ)()らずの(てい)(おちい)って()たのではないか。


「今、()れは(よろ)しいのですよ。先程、話の流れからエミリアより貴女(あなた)が午前中の報告で、何でもリーシャ様の提案を受けて新たに音声蒐集(しゅうしゅう)(わざ)を開発したと()きましたのですわ。()の業を使えば私にも蒐集(しゅうしゅう)した音声を()く事ができるのですか?」


 話の流れからは確かなのだがエミリア様もラクス様を不憫(ふびん)に思い、少しでも支援できればとの思いが()ったのかも知れない。まあ実際の(ところ)は面白について考察して()た節が()るのだが。


()だ午前中に一度試しただけの技術でして、如何(どう)すれば良いのか皆目見当も付きません。ですがアリア殿下が御持ち()される蓄音魔器、()の構造を調べれば()しかしたら何か(わか)るやも()れません」


 例のでかい金属の花を模したものが突き刺さった、音楽を鳴らす(ため)の機器である。


「相分かりました。ではメアリーに依頼して蓄音魔器を此処(ここ)へ運んで(もら)いますわ。では荷物を運ぶ最中(さなか)に呼び止めて仕舞(しま)って()りましたわね。作業に戻って(よろ)しいですよ」


「はっ、()の事なのですが荷物を運び終わりし(のち)此方(こちら)へ戻り、先程のお尋ねの件を検証試みるべく蓄音魔器の調査に当たりたいのですが(よろ)しいで御座(ござ)いましょうか」


「ええ、()れは一向に構わないのですが、確か今はチェロル様たちの作業を手伝われて()りましたわね。()ずは確認して其方(そちら)を優先し()さい」


「はっ、(かしこ)まりました」


 ラクス様は、再び荷物を抱え潜泳機の中へと目指し()く。先程の姿と違い足取りは軽そうだ。……(いや)、本当に浮いて()た様である。

 飛翔(ひしょう)板の軽量素材開発は防具にも影響を与え、今や普段から御業(みわざ)の適性素材を衣服に組み入れたものを装備もして()るし、()しもの事を考えて体中に適性素材で(つく)られた飛礫(つぶて)や道具類を仕込んで()るのだ。

 まあ、要するに御業(みわざ)で全身に(まと)った適性素材を浮かそうと思えば、多少ではあるものの体を浮かす事ができるのである。

 勿論(もちろん)、少量の物質で体を浮かすのは消費が激しい(ため)、体を軽くして重心を整える程度に(とど)めて()るのだが。


 軽い足取りで瞬く間に梯子(はしご)(のぼ)りきり、前方部の天井に()る扉から(のぞ)き込んで下に誰も居ない事を確認する。


「今から降りますので注意して(くだ)さいませ」

「チィチィバ」


 横に()る鉄柱に手を掛け滑らす様に降りて()く。鉄柱から伸びる横棒に止まって()たメルペイクが(なに)やら苦言を呈して()る様だが()の際気にしないで良いだろう。


「チェロルさん荷物を持って(まい)りました。何方(どちら)へ置きましょうか?」


「おー! 有難(ありがと)う! えーっと、()の部品は其処(そこ)で寝そべって作業して()るティロットのお腹に置いといて頂戴!」

「えっ!」

「えっ」


「ああ、()ぐ使う(やつ)ですね! (ただ)、流石に力が抜けそうですから一寸(ちょっと)待ってて(もら)えませんかな?」


「ええ、勿論(もちろん)、構いませんわよ」


()()う、ラクス様! 此方(こちら)()の通り1人寝そべって場所を占領してるから手狭だし、ラクス様も(なん)だか他にも使命を仰せ付かってるみたいだから、其方(そっち)を優先しちゃって()いよ!」


「名誉挽回ですね!」


「あ、扉が開いてましたから多少なりとも此方(こちら)まで、声が届いて()たのですね。お心遣い痛み入りますわ。んん、名誉挽回ですか?」


 矢張(やは)り面白要員とはラクス様の基準だと(ほまれ)なのだろうか。


「ん! よし、()の様な感じで良かろう! ()れを渡して下さるかな?」


「はい、どうぞ。では()(そば)で御業の確認をして()るだけですので、御用が()れば何時(いつ)でも呼んで(くだ)さいませ」


「了解だよ!」「相判(あいわか)りました!」


 ラクス様がメルペイクの苦言を再び無視し(なが)ら、鉄柱を軽く(つか)み持って外に勢い良く顔を出すと、メアリーさんが丁度(ちょうど)【瞬間転送】の御業(みわざ)で蓄音魔器を取り寄せた(ばか)りの様である。

 ラクス様は軽やかに()の場に立ち上がったかと思えば、()(まま)飛ぶ様にメアリーさんの(もと)(まで)駆けて()く。(いや)(ほとん)ど飛んで()るのかな。

 足取りも心も軽やかな様で何よりである。



---

修正記録 2017-07-06 08:28


 足取りも心も軽やかな様で何よりである。


---

修正記録 2017-07-06 08:14


ルビを追加


は確かだろう。 → かも知れない。


考察して()た様だが。 → 考察して()た節が()るのだが。


「 例のでかい金属の花を模したものが突き刺さった、音楽を鳴らす(ため)の機器である。」追加


()れは構わない → ()れは一向に構わない


(ほまれ)なのだろう。 → (ほまれ)なのだろうか。


「了解だよ!」「相判(あいわか)りました!」追加


鉄柱を軽く(つか)み外に顔を出すと、 → 、鉄柱を軽く(つか)み持って外に勢い良く顔を出すと、


立ち上がったと思えば、 → 立ち上がったかと思えば、


駆け付ける。(いや)、飛んで()るのかな。 → 駆けて()く。(いや)(ほとん)ど飛んで()るのかな。

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