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アリアは知らない  作者: taru
四章 リーシャ編
143/345

124まだまだ

 メアリーさんとマギーは皆様一度休憩して下さいと声を掛けて()く。ああ、勿論(もちろん)、メアリーさんは外のアリア殿下御一行に声を掛けて()(まま)道案内を(つかまつ)り、マギーは潜泳機の中に入って()て各部屋へ声を掛けて()れた訳である。

 (ただ)、皆が素直に中断したとか()()う話ではなくて、皆()()れ一様に一段落ついて()て、(さて)、次は何をしようかと考え始めた折であったのだから、()れなりに見計られた機会なのだろう。


 ()の様な機微に感心しつつも、リーシャが目指すは()く気が回る人物といった(ところ)なのか、遠隔気力通話器の前で待機して()るマリオン先生の(もと)へ交代しに行こうと考えた様である。

 だが一足遅かった。(また)してもティロットがするりと一団から抜けて、マリオン先生の(もと)へ向かおうとするのだから。

 リーシャは口を一文字に結んで()れを口惜しそうに見て()ると、(ほぼ)同時に動き出した人物が()たのである。


「ティロット様、()れからマリオン様と交代を()さりに行かれるのでしたら、()の役目を(わたくし)に譲って(いただ)けませんでしょうか? ()ういった伝達系の仕事は私の得意分野でして、できれば率先して()って()きたいのですよ。我が(まま)なことなのですが」


「え! ええ、構わないですよ! 私も常日頃から人の役に立ちたいと心掛けて()るだけでして、()れが本分を阻害したとあっては本末転倒と()ります故、私が引くことは(いささ)かも問題ありませぬぞ! どうぞイザベラ様、本分を果たして下さいませ!」


「はい、感謝(いた)します」


 リーシャは自分とは違う一つ上の領域で行われる、()の度量や配慮といった駆け引きに舌を巻く(ばか)りであった。一歩先んじられて悔しく思ったことが恥ずかしい限りなのである。


 ()れは扨措(さてお)き、作業場の右奥に()る階段を(のぼ)って()き、()(まま)通路を真っ直ぐ進めば休憩室だった(はず)である。以前はと付け加える必要が()るかも()れない。

 遠隔気力通話器を設置する(ため)の部屋をマリオン先生に(つく)って(もら)い、()の関係で廊下が丁字路と()って()る訳なのだが、左は()の新設の部屋で右に行けば休憩室の扉が()る。此処(ここ)(まで)は以前からと変わらないのだけれど、廊下は更に奥へと続いて()たのである。

 リーシャたちは首を(ひね)りつつも休憩室へ向かおうとすると、マギーに呼び止められたのだ。


「皆様、奥に増築(いた)しました新しい休憩室で、アリア殿下が御待ちに遊ばされて()られます。其方(そちら)の部屋へ向かって(いただ)けますでしょうか」


 マギーの姿が見えないと思っては()たのだが、てっきりメアリーさんに休憩室とかの案内でもして()るのだろうくらいにしか考えて()なかったのだ。皆一様に予想外だったらしく目をぱちくりさせ(なが)(いぶか)しげに()の奥へと進んで()く。

 どうやらメアリーさんとマギーは今(まで)2人して、()の部屋を(つく)って(いた)たのだろう。うん、扉が上の施設に()る貴賓室の扉と同じ程度の質に見えるから、()の部屋に()る調度品や内装も同程度に高級であると容易に予想できて仕舞(しま)う。


「マギー、()の部屋の材料は何処(どこ)から持って()て、如何(どう)()って此処(ここ)(まで)運んだの?」


 リーシャは素朴な疑問をつい()いて()仕舞(しま)うのだ。


(なん)でもメアリーさんが(あらかじ)め上の近衛騎士たちに頼んで()た様でして、昼餉(ひるげ)の折には宮殿から既に届いて()りましたから、一部は私とメアリーさんとで此処(ここ)へ下りる際に持って()ましたので御座(ござ)います。()れと家具や扉などの木材の(たぐい)でしたら、多少大きくともメアリーさんの持つ【瞬間転送】の御業(みわざ)に余り負担は掛からないそうなので、残りは全て()れで転送(いた)しました」


「あっ、適性属性か。だけど、新しい部屋を(つく)るのにも御業(みわざ)を使ったら気力の負担が相当大きかったのでは?」


 メアリーの場合【木】【砂鉄】【岩】と(ほとん)どの素材に適性が()るのだから、実は余り素材を気にする必要もないのである。(ただ)、流石に何から何(まで)運んでいたら負担が大きいから木材に限定して()るのだろう。


「岩の荒削りの時はマリオン様と私が交代して作業して(いただ)きましたので、()る程度は負担の軽減に()ったかと思われます。()れよりも皆様もう行って仕舞(しま)われましたのですが?」


「えっ! うわあ、本当だ。御免ね。つい気になった事を()(まま)()いて仕舞(しま)って」


「いえ、問題があれば()(むね)()の都度、進言させて(いただ)きますから」


「……はい、(よろ)しくお願いします」


 少しは大人びた行動を()るように()って()たリーシャではあるものの、マギーの前では()()だ子供の様である。




---

修正記録 2017-07-02 00:44


適正 → 適性


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修正記録 2017-06-30 08:59


マギーに皆様一度休憩をして下さいと → マギーは皆様一度休憩して下さいと


句読点を追加


「口惜しそうに」追加


「どうぞイザベラ様、本分を果たして下さいませ!」追加


ルビを追加


()れは扨措(さてお)き、」追加


御待ちに遊ばれて → 御待ちに遊ばされて


「 メアリーの場合【木】【砂鉄】【岩】と(ほとん)どの素材に適性が()るのだから、実は余り素材を気にする必要もないのである。(ただ)、流石に何から何(まで)運んでいたら負担が大きいから木材に限定して()るのだろう。」追加

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